TrySail|デビュー5周年を経て、みんなと一緒に次なる旅へ

“おふざけ感”を落とし込みたい

──「モノラル」と対照的なのが、ディスコっぽいノリのパーティチューン「マイハートリバイバル」ですね。比較的遊びが少ない楽曲群の中でこれでもかと遊んでいるというか。

雨宮 遊んでますねえ(笑)。

──どなたからレコーディングされたんですか?

雨宮 これは誰だっけ? 私は2人のを聴いてから録ったから、私じゃない。

麻倉 ナンちゃんじゃない? 私はナンちゃんの歌を聴いた記憶があるから。

夏川 じゃあ、私からですね。この曲は、さっきもちょっと言いましたけど、ライブで「Sunset カンフー」だったり「disco」(2017年8月発売の2ndアルバム「TAILWIND」収録曲)だったりを天さんがコブシをきかせて歌うみたいな、ライブならではのおふざけ感を落とし込みたいと思わせる曲で。例えばAメロは今まであんまりやってこなかったラップ調になっていて、ここはそれこそ「モノラル」みたいに、各々が好きなように歌うことで歌い分けしたときにわちゃわちゃ感が出ると思ったので、好きにやらせてもらいました。なんなら仮歌も無視するぐらいの勢いで、あとの人のことは考えずに(笑)。

麻倉 私は仮歌さんの通りに練習していたんですけど、ナンちゃんのラフミックスを聴いたときに「あれ? あれ? 全然違う!」とびっくりして。

雨宮夏川 (笑)。

麻倉 「そうか、これはそういうやつか」と(笑)。そこからは私も好き勝手に歌って、仮歌さんともナンちゃんとも違うようなニュアンスの付け方を試してみたりして。そうやって何回もテイクを重ねるんですけど、1本も同じテイクがなくて、どれも一発勝負、生モノみたいな感じなんですよね。なので、結局どのテイクが使われたのかわからないんですけど、いろんなことができてすごく楽しかったです。

雨宮 私は2人がやっていない表現で、でもこの曲にばっちりハマる濃いめのやつをやりたくて。ある意味、どうとでも歌える曲でもあるので、先に2人が歌ってくれたおかげで自然と「じゃあ、私はこっち系で攻めよう」「2人とは違うキャラでいこう」と方向性が定まったし、その中でいろいろ暴れまくりました。歌い方にしても、テンポも揺らすし、音符通りじゃなくてもいいからそのとき出てきたものをぶつけるみたいな感じで。

夏川 たぶん、それぞれのソロバージョンを聴いたら全然印象が変わっちゃうくらい、自由にレコーディングできたんじゃないかな。

雨宮 そうそう。聴いてほしいよね、みんなにも。ソロバージョンのラフミックスは私たちで共有しているから、それをちゃんとミックスしてもらって。

夏川 一番、濃いやつをね(笑)。

TrySail

自分に喝を入れ続ける人生でした

──「マイハートリバイバル」における雨宮さんの歌……ではないかもしれませんが、1番の「炭酸をぐびっといこう」のあとの「プハー」という声は、完全におっさんのそれですよね。

夏川 「プハー」はみんな録ったよね?

麻倉雨宮 うん。

夏川 たぶん天さんのテイクが一番よかったんだよ。キャラ的にもリアルだしさ。

麻倉 私も天のが使われると思った。「ぐびっと」感がすごいから。

雨宮 逆に言うと2人のテイクがすごくかわいかったんですよ。「ぷっひゃあ」みたいな。だから「なにかわい子ぶってんだよ!」と、飲み会のやつを出しましたね(笑)。

夏川 「炭酸」だから、お酒だとは言ってないよ!

──やはりここの歌詞は、最初はビールやハイボールだったんですか?

雨宮 私たちがもらった歌詞は最初から「炭酸」になっていました。

麻倉 たぶん、この曲の主人公はまだ炭酸しか飲めない年齢なんじゃないかな。

夏川 言うたらビールだってハイボールだって炭酸なんだけどさ、ここで「ビール」じゃなくて「炭酸」になるところがTrySailっぽいのかも。

──ちょっと話が逸れますが、もうすぐファイナルを迎える夏川さんのライブツアー(参照:夏川椎菜がバンドスタイルで武者修行!最終地でヒヨコ群と一緒に見た景色)、僕はZepp Haneda公演の2日目、夜の部を拝見しまして(※本インタビューは7月下旬に実施)。夏川さんがMCで「今日はおいしいお酒が飲めそうですね」と言ったあとに「おいしいごはんの人もいますね」と付け加えていて、「いいやつだな」って思いました。

夏川 ありがとうございます(笑)。みんながみんなお酒を飲めるわけじゃないと思って。

──話を戻して、「マイハートリバイバル」の歌詞は不甲斐ない自分に喝を入れるという内容だと思いますが、自分に満足しないという意味で、やはりガツガツ感が出ているのではないかと。

夏川 「余計なプライド ぶん殴れ」とか「本音でマジ パンチ」とか言っちゃってるもんね。

麻倉 自分をKOしようとしてるからね。

雨宮 言葉遣いこそ軽いノリではあるけど、この人は1曲を通してずっと自分と戦っているから、言ってみればものすごくストイックなファイターなんだよね。

夏川 ミュージックビデオを作るなら絶対ボクシングやりたいよね。

麻倉雨宮 やりたい!

──そうやって自分に喝を入れることって、皆さんあります?

雨宮 もう、私は自分に喝を入れ続ける人生でした。日々、自分と戦っていますね、家に帰ると(笑)。

──具体的にお聞きしてもいいですか?

雨宮 例えばアフレコから泣きながら帰ることもあって。「結局、OKは出たけど本当にあれで正解だったの?」「でも、今の自分にはこれが限界だし、ほかの正解がわからない」みたいなことを思いながら、最終的に「なんで正解がわからないんだ!」って走り出したりして。

夏川 もう映画じゃん。

雨宮 どうしたらいいかわからなくなって、泣きながら全力疾走するっていう。1人になった途端に、そんな感じで戦いが始まります(笑)。

TrySail

TrySailにはまだまだ無限の可能性がある

──続くアップテンポなギターロック「Good Luck Darling」の歌詞も、「マイハートリバイバル」と重なる部分があるような。要は、この歌詞には20代前半と思しき女性の寂しさやフラストレーションが滲んでいますが、それでも「乙女達は戦う」と。

雨宮 社会人1年目ぐらいの女の子が、実家を出て初めて自立した生活を送ってみて、初めての壁にぶつかるみたいな。

麻倉 これも自分と戦ってるところがあるよね、1人で。

夏川 「孤独な夜を その手で壊せ!」って。

──自分を奮い立たせる感じ、不屈の精神のようなものが表れていますね。

夏川 さっき「2020年は思うように活動できなかった」と言いましたけど、そのフラストレーションが爆発している曲なんじゃないかと思います。

雨宮 今思ったんだけど、「今日もあなたを想って」という歌詞の「あなた」って、もしかすると自分のことなのかなって。レコーディングしたときはそこまで深く考えていなかったんだけど、この曲には別に他者が出てくる要素がないから「あなた」は未来の自分だったりとか、そういうことなのかも。つまり自分との対話みたいな。

麻倉 うんうん。

夏川 TrySailにしては珍しい、内向きの歌詞かもね。今までは、どちらかというと「みんなで楽しもう!」とか「みんなのために!」みたいな歌詞が多かったから。

麻倉 確かに内向きで、挫けそうになるんだけど、最後は「乙女達はあきらめない」って。

夏川 ちゃんとハッピーエンド!

──そういうあきらめない態度は、明確に他者を想定している最後の曲「君となら」でよりシンプルな形で打ち出されているのかなと。

夏川 「君となら」はメロもすごくキャッチーで覚えやすくて、歌詞も「絶対、絶対、叶えよう」とか「絶対、絶対、負けるか」とか、伝えたいことが一発でわかる感じですよね。

麻倉 曲も歌詞もストレートだよね。

雨宮 それもあって、私は最初に聴いたとき、ちょっと子供っぽい印象を受けたんですよ。特に「絶対、絶対」とかは、あまりにもシンプルだから。でも、じっくり曲を聴いて歌詞を読むと、何歳になってもこういう気持ちはあるように思えてきて。個性あふれる曲たちを最終的にいい感じにまとめてくれるこの位置が、すごく似合っていますよね。

──「絶対、絶対、叶えよう」「絶対、絶対、負けるか」にしても、最後まで強気だなって。

夏川 うんうん。ちゃんと未来を歌っている感じもして。TrySailはもともと未来のことを歌うことが多かったんですけど、そういう意味では原点回帰でもありつつ、それだけじゃない意志の強さみたいなものも感じさせてくれる。

──その未来を、皆さん自身は今どう見ていますか?

雨宮 なんか、やっぱり「Double the Cape」の思い出がいまだに強く残っていて。

──それ、とてもいいことだと思います。

夏川 本当にいいライブだったよね。

雨宮 「ああ、みんなと一緒って楽しいんだな」「こんなにありがたいものだったんだな」というのを今までも感じていたけれど、改めてガツンと感じさせてくれる機会だったというか。ずっと会えない状況を乗り越えてのライブだったので、1曲目からめちゃくちゃ泣いてる人もいましたし、みんなもそういう思いで来てくれているのがわかったから、5周年のタイミングであのライブができたというのは絶対にこれからのTrySailの活動に生きるはず。1曲1曲、みんなの表情とかを思い浮かべながら歌っていくだろうし、一瞬一瞬を大事にしながら活動していける気がしますね。

麻倉 今日、「ガツガツしている」と言ってくださって、改めて攻めたアルバムになったなあと思いましたし、TrySailにはまだまだ無限の可能性があると信じているので、今後も攻めの姿勢を崩さずに進んでいきたいですね。

夏川 デビューから6年経って「中堅」と言われるようなユニットになりましたけれども(笑)、私たち自身はまだまだフレッシュというか、言うたらまだ子供なので。

──赤ちゃんの人もいますからね。

雨宮 私が赤ちゃんです。

夏川 よくも悪くも、精神年齢はデビュー当時とあんまり変わっていないと思うので、そのフレッシュさを忘れずに、みんなと楽しい時間をもっともっと共有していきたいです。

TrySail

ツアー情報

LAWSON presents TrySail Live Tour 2021 “Re Bon Voyage”
  • 2021年9月25日(土)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
  • 2021年9月26日(日)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
  • 2021年10月3日(日)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
  • 2021年10月23日(土)宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21
  • 2021年11月12日(金)東京都 東京ガーデンシアター
  • 2021年11月13日(土)東京都 東京ガーデンシアター
  • 2021年11月20日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2021年11月21日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2021年11月27日(土)福岡県 アルモニーサンク北九州ソレイユホール
  • 2021年11月28日(日)福岡県 アルモニーサンク北九州ソレイユホール
TrySail(トライセイル)
TrySail
ミュージックレインに所属する声優の麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜からなる3人組ユニット。2014年12月にユニットの結成を発表し、2015年5月にテレビアニメ「電波教師」のオープニングテーマを表題曲としたデビューシングル「Youthful Dreamer」をリリース。その後も「Classroom☆Crisis」「暦物語」「ハイスクール・フリート」「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」といった数々の作品のテーマソングを担当してきた。2020年にデビュー5周年を迎え、8月にスタジオライブ「LAWSON presents TrySail 5th Anniversary "Go for a Sail" STUDIO LIVE」を実施。2021年3月には東京・国立代々木競技場第一体育館で約1年7カ月ぶりの有観客ライブ「LAWSON presents TrySail Live 2021 "Double the Cape"」を開催した。6月にシングル「誰が為に愛は鳴る」を発売。9月に4thアルバム「Re Bon Voyage」をリリースする。