「アイドリッシュセブン」TRIGGER「VARIANT」特集 斉藤壮馬、羽多野渉、佐藤拓也インタビュー

十龍之介役 佐藤拓也 インタビュー

TRIGGERに出会えたから大事な仲間が増えた

──「アイナナ」に携わることになった経緯を教えてください。

「アイドリッシュセブン」という作品のライバルグループであるTRIGGERのメンバー、ということで、事務所でサンプルボイスを録音する方式のオーディションでした。体が大きく、セクシー担当だけど実は気のいいお兄さん的存在、という説明を受けて。そのときに目がきれいな人だなと思いました。当時は今よりも男っぽさが強い印象の設定でしたね。

──十龍之介を演じたり十龍之介として歌唱することで仕事の幅が広がったと。

そうですね。「アイナナ」に関わって一番大きかった出来事は、2年連続でメットライフドームに立たせていただいたこと。声優は裏方業ですけど、十龍之介というキャラクターと一緒に、作品を愛してくださる方の思いをステージで受け取ることができて、声優の仕事に対しての責任感がより強くなりました。ステージに立つ側と応援してくれる側のエネルギーの循環があるんだなという気付きもあって。TRIGGERとしての経験を通して人生観が変わったと言ってもいいくらいですね。好きなことをやって相手に喜んでもらえる稀有なことを仕事にすることの難しさと楽しさ、喜びみたいなものをものすごく感じました。

──佐藤さんの職業はアイドルではないですが、お話を伺っているとまるでアイドルとしての精神性が備わっているようですね。

どうでしょう? 彼らの足下にもおよびませんが、本当にキャラクターを通して教わることがたくさんあるんですよ。ステージに立って思ったことは、僕らはこれが仕事だけど、みんなはライブのチケットを買ってくれて、その瞬間のために仕事や日々の生活をがんばってくれている。人生の一瞬をもらっていると言ってもいいくらいのことなんだと思うと身が引き締まります。

──TRIGGERはどんなグループか、佐藤さんの言葉で教えてもらえますか?

パブリックイメージはスマートでスタイリッシュで、キラキラ輝いた存在。その実この3人の男性はものすごくストイックで前のめりで、泥臭い人たちなんですよ。前のめりで転んだとしても、前に進んでいく。ある種の男くささが根底にあるグループだなと思います。

──TRIGGERの男くさい部分は「VARIANT」に収録されている「Treasure!」の歌詞に表れているように感じます。

確かにそうですね。TRIGGERはセクシーで大人っぽい曲を歌うことが多いんですけど、「Treasure!」みたいな曲を歌わせてもらうと彼らの根っこの部分が透けて見えるような気がしますし、すごく元気がもらえる曲だなと思います。

──十さんはどんな性格のキャラクターか聞かせてください。

彼は沖縄生まれ沖縄育ちの漁師の息子で、ひょんなことからアイドル活動をすることになって、セクシーでワイルドな男性というイメージで売り出すことになるんですけど、本当はそうじゃない。最初はパブリックイメージと素の自分とのギャップに苦しんでいて、センターである天やリーダーである楽に対してもちょっと遠慮がちで。縁の下の力持ちみたいな立ち位置だったんですけど、いろんなことを経験していくうちに、自分はトライアングルを形作る一角なんだという自覚が出てきた。成功体験だけではなく、挫折や失敗、ネガティブな経験によって精神が鍛えられていき、ステージに立つ自分のことを認められるようになっていくんです。

──TRIGGERにまつわるエピソードで印象に残っているものはありますか?

「TRIGGER -before The Radiant Glory-」かな。ものすごくやりたかったグループ結成のエピソードなので、アニメで描かれることが決まってうれしかったです。他人同士だった3人が初めて集まって、最初はつかみ合いの言い合いをしているんですけど、一緒にダンスをすることでTRIGGERになっていくさまがかわいらしいのと美しいのとあたたかいので感情が揺さぶられますね。

──TRIGGERへの愛が感じられますね。

いやあ、好きなんですよね。龍が天や楽を好きなように、僕も斉藤壮馬と羽多野渉という人間が大好きなんです。3人でいるとね、ものすごくハッピーな気持ちになるんですよね。こういった状況ですし、最近そんなに会う機会は多くないんですけど。別の作品の収録でも2人に会うと急にテンション上がっちゃいますし。TRIGGERに出会えたから、ものすごく大事な仲間が増えたなと思います。

──「アイナナ」で共演するまでは今のような仲ではなかったのでしょうか?

今のような感じではなかったですね。

──何か仲が深まるようなきっかけがあったのですか?

TRIGGER(撮影:BNOI / アイナナ製作委員会)

アニメのアフレコなどもありますけど、一番はライブですね。同じ釜の飯を食うとよく言いますが、まさにそれでした。3人でああしようこうしようとディスカッションできる人たちだし、こちらが申し訳なくなるくらい背中を預けてくれるし、こちらが恐縮してしまうくらい僕を認めてくれるし。まさにTRIGGERだな、と思えるんですよ。羽多野渉という人はすごく茶目っ気があるのに男前でカッコいいし、斉藤壮馬という人はあんなにキュートなのにステージに立つとバチバチにカッコいいし。「どうだこのメンバーは!カッコいいだろ!」と心から言いたくなる2人なんですよね。

2人は予想の斜め上をいく

──「VALIANT」はこれまでのTRIGGERの楽曲にあまりない、ヒップホップなどブラックミュージックの要素が入ったサウンドです。初めて聴いたときにどんな印象を受けましたか?

正直な話、驚きました。TRIGGERでこういった曲調の楽曲を歌うのかという意味で。でも不思議なもので、これまでTRIGGERはいろいろな楽曲を歌わせていただいてきましたけど、3人の声が乗るとどんなジャンルの曲でもTRIGGERの曲になるんです。そういう今までの信頼があるので、「料理をしたことのない食材だけど、どう料理していきましょう?」というワクワクがあって。レコーディングは僕からだったんですけど、僕の中にブラックミュージック系の因子がなかったものですから、曲と向き合う時間はある程度必要でした。その甲斐あってか、ああでもないこうでもないとやっていくうちに「これはTRIGGERでやれるな」と思えました。きっとマネージャーの方々も最初は驚くと思うんですよ。驚くけど「ああ、TRIGGERだ」と思ってもらえる曲に仕上がっているんじゃないかなと。

──歌撮りで1番手を担うのは苦労もあるのではないかと思いますが、TRIGGERのレコーディングでは佐藤さんがトップバッターなことが多いのでしょうか?

そうなんです。キーを決めるのもだいたい僕なので「あんまり高いと楽のよさが出ないよね」「低すぎても天のよさが出ないよね」とか、最近は逆算しながらやってます。「SECRET NIGHT」や「Leopard Eyes」の頃は、「俺からなの……?」というプレッシャーはめちゃめちゃ感じていましたが、最近は「とりあえず僕で地ならししたら2人が楽しく歌えるのか」という思いでいろいろ試せるのが楽しいです。2人だったらどんなアプローチをしてくれるか考えながらやるんですけど、完成した音源を聴くとだいたい予想の斜め上をバチっとキメてくれるんですよね。

──レコーディングはいかがでしたか?

どんな曲調であっても、結城アイラさんの書かれる歌詞では変わらずTRIGGERの世界観が表現されていて。その歌詞の内容を、聴いてくれるみんなにしっかりと届けるということを大事にしてアプローチしました。「臨めるかじゃなくて臨む意思しかない」というフレーズが最高にカッコいいと思います。「できないんじゃない、やるんだ」という姿勢がTRIGGERらしくて。

──歌い方などで意識したところはありますか?

今回はセクシーさを押し出すということは狙ってなくて。あくまでも前に進むときの息吹や生命力をイメージしてアプローチしています。試しに「SECRET NIGHT」ばりのセクシーな歌い方をしたら、「ちょっとTRIGGERのセクシーさが出すぎてるかな。今回は少し違う感じでアプローチをしてほしい」と言われましたね(笑)。

TRIGGER「VARIANT」通常盤ジャケット

──アルバムタイトルは「異なる、変化する」を意味する「VARIANT」ですが、ライブとこの曲のタイトルには、1文字違いで「勇気ある、価値ある」などを意味する「VALIANT」という言葉が使用されています。この2つのタイトルを知ったとき、どんな印象を持たれましたか?

この作品を作っている人たちは、演じる僕らが及びもつかないくらいどうお客さんを喜ばせてやろう驚かせてやろうと四六時中考えている人たちなので、今回もうまいなと思いました。どちらの言葉にもTRIGGERについてどう受け止めてもらいたいかという思いが込められているなと。

──「バラツユ」は切ないラブバラードで、作編曲は「アイドリッシュセブン」作品初参加となる村山☆潤さんが担当しています。初めて聴いたときにどんな印象を受けましたか?

実は今までTRIGGERの楽曲にバラードらしいバラードってなかったんですよね。切なさとほろ苦さを内包した大人のバラードに仕上がっています。そしてこの曲でも“VARIANT”、TRIGGERの進化した新たな一面を見せられたのかなと。

──作詞は「Treasure!」も手がけている安藤紗々さんが担当されていますが、ガラッと雰囲気の違う歌詞ですね。

僕も資料をいただいたときにお名前を拝見して驚きました。まったく世界観が違いますよね。「バラツユ」は全体を通してどこか虚像に向けての愛みたいなものが語られていて、あふれる思いを届ける先がないのが切ないなと思いました。「もう二度と触れられない」と提示されているのはつらいですよね。バラードの楽しみ方って人それぞれあると思うんですけど、「バラツユ」においては第三者的に聴くよりは、この曲の世界に身を委ねながら聴いていただけるとものすごく浸れるんじゃないかなと思います。

──レコーディングはいかがでしたか?

めちゃめちゃスムーズだったんですよね。先ほど思いがあふれると言いましたが、愛する対象への気持ちを我慢しない、ということは意識しました。恋しくて恋しくて仕方ないという気持ちをカッコよく歌うんじゃなくて、感情の赴くままにエモーショナルに表現したほうがいいんじゃないかと。

──7月にTRIGGERのオンラインライブが開催予定です。「アイナナ」に登場するグループの中で、単独ライブを行うのはTRIGGERが初です。ライブについて聞いたときはどんな気持ちでしたか?

やっちゃったなという気持ちでした(笑)。「アイナナ」に登場するグループの中で初めてだからこそ「やっぱりTRIGGERって、『アイドリッシュセブン』っていいよね」と思わせたいので、全力でがんばります。こういったご時世だからこそ、観てもらうマネージャーの皆さんには心から楽しんでもらいたいし元気になってもらいたいし。ただ空っぽのステージを見せるんじゃなくて、画面を通しているからこそできるようなパフォーマンスをお届けできたらいいなと思っています。

──7月4日(日)から放送されるアニメ「アイドリッシュセブン Third BEAT!」の内容と重なる演出などもありそうですね。

それについてはアニメの監督(別所誠人)がいろいろやっちゃったみたいですね。こちらが「え……そんなことするんですか……!?」「別所さんアンタ……!」という仕掛けをいっぱい考えているみたいなのでお楽しみに(笑)。

佐藤拓也が選ぶ十龍之介の好きなセリフ

俺が愛されたいわけじゃない。
俺の歌が、俺のダンスが、
TRIGGERの一部となって愛されたいんだ。

僕が十龍之介を演じるときの矜持としてずっと持ち続けている言葉です。「アイドリッシュセブン」という作品を愛してもらいたいのはもちろんですが、さらにその中のTRIGGERを愛してほしいという気持ちを強く持とうと思わせてくれました。