the quiet room|現体制初、新たな一歩踏み出す覚悟の新作

女性的な目線を培ったバックグラウンド

──男らしい部分の一方で、今回は女性っぽい歌詞があるのも新鮮でした。一人称で「わたし」を使っていることもあって。

前田翔平(B)

菊池 自分の人間性を一番表現しやすい気がしたんです。僕、女子校が男女共学に変わったばかりの高校に通っていて、そこでは男子がクラスに2、3人しかいなかったり。家でも妹が2人だし、いとこもはとこも全員女の子なので、ガールズトークに参加するのに抵抗がないんですよ。

斉藤 隙あらば参加しようとするくらいだもんね。基本的に好きで。

菊池 男の友達も女性的な考えを持ってる人と仲良くなることが多いしね。そういう環境で育った自分の性格が歌詞に生かせるんじゃないかなと思ったんです。男らしく歌いたい部分ももちろんありつつ、女性的なことを理解しようとする部分を意識して取り入れてみました。「わたし」と言い切っちゃうのは初めてだったんですけど。

──自然に聴けましたよ。

前田 僕らも全然驚かないっていう(笑)。

斉藤 普段そういう話し方をするわけじゃないけど、人格とか思考とかが繊細というかおしとやかなところがあるよね。

菊池 「わたし」のニュアンスもいい感じで録れたかどうか気になって、そこだけ何回も歌い直したり。

斉藤 「もういいよ!」って言ってるのに(笑)。

前田 「し」の感じがちょっと気になる、みたいな。

菊池 どれだけ違和感なく聴いてもらえるかが大事だったので。

──菊池さんの個性や歌の生かし方がだいぶわかってきたようにも感じます。

斉藤 そうですね。「この高さのほうがいいよね」みたいに菊池の歌が映えるキーをメンバーで話しながら考えて、転調したときにも歌がよく聞こえるようにして。

──「かずかぞえ」のサビは1番と2番でキーを印象的に上げ下げしてますね。

菊池 はい。曲中で何回も転調するとか、そのあたりもチャレンジしてます。「かずかぞえ」でキーが下がるところは歌詞もちょっぴり内向的にして、上がるところはポジティブにして、音と言葉をリンクさせたりもしてるんですよ。「かずかぞえ」の「笑っちゃうよね」は「胸キュンスカッと」のコンピに入ってる「夢で会えたら」にも出てくるんですけど、まったく同じようなメロディで今回も歌ってますね。

新しい一歩を踏み出す覚悟ができた

──リード曲の「パレードは終わりさ」はどういうイメージで作ったんですか?

菊池 「終わり」というワードでマイナスな印象を受ける人もいるかもしれないんですが、あえてこういうタイトルにしました。「パレードのような、楽しみにしてたことや期待してたことが終わったとき、僕らはこうすれば楽しく笑って過ごせるんじゃないか」みたいなことが歌いたかったんです。the quiet roomで言えば、新体制になって1つの終わりを迎えたけど、それをポジティブへのきっかけにできた。その思いもリンクさせています。

──むしろ、晴れやかな気持ちが残りますし、今作にはそういう曲が多かったですね。「話をしよう」と「かずかぞえ」で「覚悟」と歌っていましたし、キリッとした姿勢も伝わる1枚でした。

菊池 言われてみれば、2曲で「覚悟」という言葉を使ってますね。今回のミニアルバムは主観的に歌詞を書いたので、バンドに起きたことや自分の経験がそのまま曲になった感じなんです。the quiet roomがどんなバンドなのか、僕がどういう人間なのかがすごく素直に出てるんじゃないかな。

斉藤 ミニアルバムの全体像が見えてない状態で自然体のまま曲をバンバンバンと作っていって、結果的にいろんな曲ができてうまくまとまったと思います。「パレードは終わりさ」もピアノが入って跳ねたリズムのポップな曲なんですけど、要所では自由にギターを弾けたし。

前田 全体のコンセプトは決めなかったぶん、制限をかけずにやれた感じですね。

──そんな中、アルバムタイトルが「White」になった理由というのは?

菊池 前作「色づく日々より愛を込めて」の1曲目に入ってる「Prism」が僕たちの中ですごく大切な曲になって、去年のリリースツアーのタイトルも歌詞にある「捨てられないからこのまま全部抱いて走っていく」から付けたんですけど、過去をまったくなかったことにするのが嫌なんですよ。これまでバンドで経験してきた全部をひっくるめてthe quiet roomなので。その気持ちを大事にしつつ、今作では新しい一歩を踏み出す覚悟ができたと思っていて。ジャケット写真のとおり、何もないところにゼロから絵を描き始めるイメージではなく、今までの僕らの歴史があって、その上を一度白く塗って、ここからまた新しいことを始めていこうぜっていう意味なんです。確かにそう思える、踏み出すきっかけになる1枚ができたので「White」にしました。

the quiet room

ここからまた始まっていく

──今後に向けて考えていることはありますか?

菊池 「White」でいろいろ新しいことに挑戦できたんですけど、もっとブラッシュアップしていける感覚もあるので、9月に回る初のワンマンツアーが本当に楽しみです。各地ロングセットでライブをやる中でまた発見があったり、今後やりたいことが見つかったりするんじゃないかなと思ってます。あと、この夏はフェスへの出演も決まってまして。

──おお、そうなんですね!

菊池 バンドを9年やってきて初めてなんですよ、夏フェスに呼んでもらえたのは。オーディションで優勝してオープニングアクトに出たことがあるだけだったので。

斉藤 ちょっとずつだけど、地道に成長できてると思うんで、これからも積み重ねていきたいですね。フェスやイベントにももっと顔を出せるように。

前田 うん。コツコツやってきた自負もあるし、ここからまた始まっていく感じがします。

菊池 本当に地道なバンドなんだよね、俺たちは。SNSのイメージで「バズッてるから売れてんでしょ?」みたいなことをよく言われるけど、一歩一歩進んできたんですよ。なので夏フェスはうれしいですね。少しは親を安心させてあげられるのかなって。

前田 そうかもしれないね(笑)。

菊池 もちろん、フェスも「今年出られたね」で終わりにしたくないんで、来年以降もどんどん声がかかるようなバンドになっていきたいです!

the quiet room

ツアー情報

the quiet room「1st One Man Tour 2019 "White"」
  • 2019年9月1日(日)宮城県 enn 3rd
  • 2019年9月7日(土)福岡県 graf
  • 2019年9月14日(土)愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
  • 2019年9月15日(日)大阪府 Shangri-La
  • 2019年9月21日(土)東京都 LIQUIDROOM