音楽ナタリー Power Push - THE LET'S GO's

とびきり「HATE」な関係から生まれたニューアルバム

THE LET'S GO'sが3rdアルバム「I HATE THE LET'S GO's」をリリースした。

前作「REAMP」以来、4年8カ月ぶりのオリジナルアルバムとなる今作は、冒頭を飾るポップで疾走感あふれるパンクチューン「おつかれさまソング」、オールディーズテイスト漂うガーリーなコーラスが印象的な「サマーガール」、シャッフルビートに心躍るモータウン調の「Ding Dong」など、バンドとしての振り幅の広さを感じさせるカラフルな楽曲で彩られている。音楽ナタリーでは今年で結成10周年を迎えた彼女たちにインタビューを実施。バンドの成り立ちから最新アルバムまで、じっくりと語ってもらった。

取材・文 / 望月哲 撮影 / 新井潔

 
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パート未定のままバンド活動スタート

──音楽ナタリー初登場ということで、まずはバンド結成のいきさつを教えてください。

THE LET'S GO's

COCO(Vo, G) 私は昔アメリカに留学していたんですけど、向こうではライブハウスにけっこう遊びに行ったりしてたんですね。時期的にはニューヨークのCBGBっていう老舗のライブハウスが閉店する前ぐらいでした。そうやっていろんなバンドを観たりしているうちに、自分でもバンドを組んでみたいと思うようになって。それでメンバー募集のサイトを見ていたら、THE LET'S GO'sの初代のベースの子が募集の書き込みをしていたのを見つけて、自分のやりたいこととぴったりだなと思ったんです。

──どんなことが書いてあったんですか?

COCO 「楽しくて踊り出したくなるようなロックンロールがやりたい」って。こんなバンドをやりたいっていう例でザ・ストライクスの名前が挙がっていたりして、私もガレージパンク系の音楽が大好きだったんで、ぜひとも一緒にやってみたいと思ったんです。そこから連絡を取り合うようになって、私が帰国したタイミングでバンドを結成しました。それが2006年の6月ぐらい。ただ、その時点ではパートも何も決まってなかったんですけど。

──いざバンドを組んでみたものの(笑)。

COCO はい(笑)。それで私はギターが弾きたかったらギターを担当させてもらって。

──ドラマーはどうやって探したんですか?

COCO アメリカに留学してたときに一緒に留学をしていた友達がいたんですけど、その人が高校の卒業ライブのDVDを見せてくれたとき、いくつか出てるバンドの中の1つでモエちゃん(山田モエコフ / Dr, Vo)がドラムを叩いてて。その姿を見てピンときて「この子にドラムを叩いてもらおう!」と思ったんです。それでコピーバンドから始めて。

──どんなバンドをコピーしてたんですか?

COCO 一番初めにコピーしたのはジャッキー&ザ・セドリックスっていうインストバンドの曲です。ベースの子が「この曲だったらすぐにできそうじゃない?」って、セドリックスの中で一番簡単そうな曲を教えてくれて。あとはThe 5.6.7.8'sの曲とか。3人で猛練習しました。

──結成してからどれぐらいで初ライブを?

COCO 4カ月ぐらいですかね。国分寺のMorganaってライブハウスのイベントに出させてもらって。そういえば初ライブは毛皮のマリーズと対バンだったんですよ。

ミィ(B, Vo) 初めて聞いた! そうだったんだ。 

COCO うん。今思えばすごいバンドと一緒にやらせてもらったんだなって。今、私たちがリリースしてるレーベル(DECKREC)から、当時マリーズもアルバムを発表してたり。何か不思議なご縁を感じますね。

──その後、バンド活動は順調に?

COCO そうですね。ライブも毎月コンスタントにやれるようになって。ただ、モエちゃんが結成直後に辞めちゃったんですけど。

山田モエコフ(Dr, Vo) 4カ月後ぐらいだっけ? 

COCO 最初に誘ったときは、モエちゃんはストレートなロックンロールがやりたかったわけじゃなかったんだよね?

モエコフ うん。そのときは自分の中でプログレがブームで。小難しい音楽をやりたかったんです。8ビートに飽きちゃって。それで1回辞めました。

紆余曲折を経てドラマー復帰

──2008年にガールズバンドを集めたコンピレーションアルバム「Girls Sazanami Beat! Vol.1」に参加。翌年には1stアルバム「LET'S GO with THE LET'S GO's」をリリースして、バンドはガレージパンクファンを中心に話題を集めることになります。周囲の反応はいかがでしたか?

左から山田モエコフ(Dr, Vo)、COCO(G, Vo)。

COCO よく一緒にライブをやってたバンドの人たちも喜んでくれて。でも一番盛り上がってたのは自分でしたね。レコ発ツアーのときも終演後に物販をやったら行列ができたりして。手売りでCDを売ることで、自分たちのアルバムをいろんな人たちが聴いてくれるということが実感できて本当にうれしかったです。

──2010年にはモエコフさんが復帰、そしてベースがミィさんにチェンジして現在の布陣になるわけですが、そもそも8ビートに飽きてバンドを離れたモエコフさんがバンドに復帰したのはどういう理由から?

モエコフ それは、当時付き合ってた男と別れたからですね。

一同 あははは!(笑)

モエコフ 前の彼氏の影響でプログレが大好きになって。THE LET'S GO'sを辞めたあと、ドラムの腕を磨こうと思って元スカパラのASA-CHANGが主宰してるドラムスクールに通ったりしてたんですけど……自分には小難しいプレイは無理だと思って(笑)。そのタイミングで誘われたんで戻りました。

COCO で、その少しあとにミィちゃんが入って今のメンバーになったんです。

──ミィさんは加入前からメンバーとは面識があったんですか?

ミィ ちゃんとした面識はなかったんですけど、ライブは観ていて。知り合いづてに「ベースを探してるみたいだよ」って聞いて、「やる、やる!」って。

THE LET'S GO's

COCO ミィちゃんは今とかなりイメージが違ってたよね。加入した当時はドラえもんのしずかちゃんみたいなイメージ(笑)。すごく清楚というか、大人しい子で。

ミィ 半年ぐらいよそよそしかったよね(笑)。スタジオで練習するときも、「よろしくお願いします……」みたいな感じでした。

COCO スタジオでの控えめな姿と、ステージで激しく演奏してる姿とのギャップが私的にはすごくツボで。パフォーマンスの激しさで言えば、ミィちゃんは今のほうが全然激しくなってるんですけど。

ミィ 今みたいにステージで激しく弾くようになったのは、ここ1年ぐらいですかね。2年前ぐらいから徐々に激しくなっていった気がする。

COCO それぐらいからメンバー全員のライブに対する意識も変わった気がしますね。

ニューアルバム「I HATE THE LET'S GO's」 / 2016年1月20日発売 / 2700円 / DECKREC / UK.PROJECT / DCRC-0086
ニューアルバム「I HATE THE LET'S GO's」
収録曲
  1. おつかれさまソング
  2. What I Want
  3. SNAKEY SHAKEY
  4. レザージャケット
  5. サマーガール
  6. Monkey Monkey
  7. mirrorball~ぼくのうた~
  8. Ding Dong
  9. ロードランナー
  10. All I Need Is You
  11. 恋の1234
  12. 222
  13. Love My Show
THE LET'S GO's(レッツゴーズ)
THE LET'S GO's

2006年、COCO(G, Vo)を中心に結成。2009年2月に1stアルバム「LET'S GO with THE LET'S GO's」を発表し、ガレージパンクファンを中心に話題を集める。2010年、山田モエコフ(Dr, Vo)、ミィ(B, Vo)が加入し現在の布陣に。2011年5月に2ndアルバム「REAMP!」をリリースし、台湾ツアーおよび国内ツアーを成功に収める。2013年12月に「Ticket To Mars!!」、2014年3月に「Tiny Tot Rain」という2枚のミニアルバムを配信でリリース。2014年にはパワーポップの歌姫、ニッキー・コルヴェットが行った日本ツアーのバックバンドに抜擢され、また翌年にはアメリカ・アトランタを拠点に活動するガールズパンクトリオThe Coathangersの日本ツアーのサポートをギターウルフとともに務めるなど、海外アーティストとの共演も重ねる。2016年1月には約4年8カ月ぶりとなるニューアルバム「I HATE THE LET'S GO's」をリリースした。