音楽ナタリー PowerPush - THE COLLECTORS

結成29年目の新たなる挑戦

アルバムを締めくくるのはポジティブな「自分メダル」

──そして最後に収録されている「自分メダル」はポジティブなメッセージを含んだナンバーです。

加藤 これはけっこう悩んだんだよね。実は2つ歌詞を書いたんですよ。もう1つは「Vanishing」というタイトルの“自分が消えちゃう”という内容の歌詞で。どっちもハマってたので自分では選べなくなってしまったんですけど、プロデューサーの吉田仁さんに「絶対、『自分メダル』がいい」って言われてこっちにした。

──もし“自分が消える”という歌で終わっていたら、アルバム全体のイメージがまったく違いますよね。

加藤ひさし(Vo)

加藤 「始まりの終わり」(アルバムの8曲目)みたいな、何も楽しいことが始まらないっていう暗い雰囲気で終わってたかもね。レコードを聴くみたいに頭から最後まで通して聴くんだったら、そういうことも気になるんじゃないかな。デジタルだったらどこに何が入っていても関係ないかもしれないけど。

──そうですね。加藤さんはやはりレコード派ですか?

加藤 最近よく聴くようになりましたね。レコードを聴いてる時間があるって幸せだと思うんだよ。40分くらい、ほぼ何もしないで音楽を聴くっていう。レコード聴いてるとさ、針を上げたり下ろしたり、ジャケットをしまったりするから、メールチェックとかしないでしょ。せいぜい飲み物を飲むくらいで。そういう時間がないと、どうしても余裕がなくなっちゃうからね。だからあえてレコードを引っ張り出して聴くようにしてますね。

古市 ウチは基本、CDは出入り禁止だから。

加藤 ははははは(笑)。いいね。

古市 CDでしか存在しないもので、自分が聴きたいと思ったら買うけどね。あとは全部レコード。

バンド人生はツール・ド・フランス

──「自分メダル」には「決して戻れない この道は / 人生という名のマラソンコース」という歌詞がありますが、バンドを続けることもマラソンをしている感覚ですか?

加藤 うーん……マラソンっていう感じじゃなくて、障害物競争っぽいよね。しかも長距離走だから、めちゃくちゃ大変なんだよ。邪魔が入ったり、思いもしないハプニングがあったり。

古市 確かにマラソンじゃないよね。バンドマンの人生って独特だから。だってさ、バンドは1人じゃないでしょ。

加藤 そう、集団だからね。

古市 1人だったら「ここであきらめます」って言えるかもしれないけど、バンドの場合はメンバーに「ダメだ」って言われたらやらなくちゃいけないから。そこでまた団結して続けるっていう。

加藤 スポーツに例えるなら、「ツール・ド・フランス」かな。集団で走って、エースを勝たせるためにアルプスもピレネーも越えていくっていうね。タイヤのパンクもあるし、休みはないし。

──コレクターズもまったく休まないですからね。活動休止とか充電期間とか、1度もないですよね。

古市 ないね。

加藤 止まったら終わっちゃうんだよ。休んで、そのまま終わっちゃうバンドもいっぱい見てきたし。

古市 ちょっと休むと「もういいか」って思っちゃうんだろうね、たぶん。

加藤 だから、怖くて止まれないんだよ。

古市 そんな身分でもないし(笑)。

加藤 でも、休みたくなくても活動できなくなるバンドもあるからね。こうやって休みなく活動できるって幸せだよ。

左から加藤ひさし(Vo)、古市コータロー(G)。
ニューアルバム「言いたいこと 言えないこと 言いそびれたこと」2015年9月16日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤[CD+DVD] 4000円 / COZP-1073~4
通常盤 [CD] 2800円 / COCP-39234
CD収録曲
  1. ガリレオ・ガリレイ
  2. 自分探しのうた
  3. Tシャツレボリューション
  4. 深海魚
  5. ガーデニング
  6. 家具を選ぼう!
  7. 永遠ロマンス
  8. 始まりの終わり
  9. 劇的妄想恋愛物語
  10. SONG FOR FATHER
  11. 自分メダル
初回限定盤付属DVD収録内容
  • RECORDING DOCUMENTARY
  • 「Tシャツレボリューション」MV
THE COLLECTORS(コレクターズ)
THE COLLECTORS

1986年に加藤ひさし(Vo)を中心に結成。1987年に「僕はコレクター」でデビューすると同時に、ブリティッシュロック、サイケデリックなどのエッセンスを取り入れたサウンドが話題を集め、日本のモッズシーンを代表するバンドとして認知される。2014年3月に小里誠(B)が脱退。同年11月にそれまでサポートベーシストを務めていた山森"JEFF"正之(B)が正式加入し、加藤、山森、古市コータロー(G)、阿部耕作(Dr)の新体制となる。2015年9月に21枚目のオリジナルアルバム「言いたいこと 言えないこと 言いそびれたこと」をリリース。ポップなメロディと洗練されたアレンジ、激しいライブパフォーマンスはモッズの枠を超えて多くのロックファンの支持を集め、結成から28年経つ今もシーンの第一線で活躍し続けている。