手羽先センセーション「ハローニューワールド」インタビュー|TDCホールは通過点、目指すは“新しい世界”

愛知県名古屋市を中心に活動している5人組アイドルグループ・手羽先センセーション。2021年にメンバーを一新し、日南遥、佐山すずか、カワイレナ、三好佑季、茉城奈那の5人体制で活動している彼女たちは、今年3月8日にメジャー3rdアルバム「ハローニューワールド」をリリースし、同月21日に東京・TOKYO DOME CITY HALLで過去最大規模のワンマンライブ「ニューワールド」を開催した(参照:手羽先センセーション扉を開けて新世界へ、TDCホールで怒涛の26曲パフォーマンス)。

アルバムとライブ、両方のタイトルになっている“ニューワールド”という言葉には、いったいどんな意味、思いが込められているのか。音楽ナタリーではメンバー5人にインタビューし、TOKYO DOME CITY HALL公演を振り返ってもらいつつ、アルバムの聴きどころや、作品に込めた思いを聞いた。

取材・文 / 土屋恵介撮影 / 藤木裕之

この5人が集まってステージに立ってる奇跡

──まずは、3月にTOKYO DOME CITY HALLで行われた過去最大規模のワンマンライブ「ニューワールド」の感想から聞かせてください。

佐山すずか 去年9月の名古屋城での野外ライブ(「手羽先センセーション全国ツアー2022『SENSATION』FINAL」)のときに、2月の日本特殊陶業市民会館 フォレストホールと、翌月のTDCホールでのワンマン開催が発表されたんですけど、そのときは喜びよりも不安のほうが勝ってしまい、正直怖かったです。でも、フォレストホールにもTDCホールにもたくさんの方が来てくださったし、セットや演出も豪華だったし、ホントに見たことのない景色だったんです。無事に終えた今、「私はなんであんなに怖がってたんだろう?」と思うくらい、めちゃくちゃいいライブでした。今もまだ余韻が抜けてないです(笑)。

カワイレナ 開催が決まったときはうれしかったけど、私もやっぱり不安が大きかったですね。でも、TDCホールワンマンというのが大きな壁であり、目標だったからこそがんばれたと思います。ライブ当日、客席に銀テープが飛んだ瞬間はホントに感動したし、そのときに「私たちやり遂げたんだ!」という達成感が湧いてきました。自分に自信が付いて、「これからもまだまだ進むぞ!」という意思が固まったライブでした。

カワイレナ

カワイレナ

カワイレナ

カワイレナ

日南遥 私も最初は不安がものすごく大きくて、なんだか複雑な気持ちになってしまって。「自分にできることはなんなんだろう?」とかいろいろ考えて、完全に焦ってました。でも、やるべきことをしっかりやってライブ当日を迎えたときに、手羽センってこんなにもたくさんの方に愛してもらえてるんだって実感できたんです。ファンの方との絆をすごく感じました。初めて手羽センのライブを観てくださった方からも「めちゃくちゃ楽しかったよ」「手羽センすごいね」と言ってもらえて。これからもっと多くの人に手羽センの魅力を伝えていきたい、愛されるグループになりたいと思いました。

──皆さん、最初は自信がなかったようですね。2021年にメンバーを一新し、現体制になってまだ2年の手羽センにとっては大きな挑戦だったんでしょうか。

三好佑季 現体制になって2年ということは私自身もアイドルを始めてまだ2年ということで、「こんなに早く大きなステージに立たせていただいていいの?」と驚きました。でも、当日ステージに立ったら、お客さんとの距離が近くて表情がよく見えたんですよ。みんなが笑顔で楽しんでくれていて、「私たちここに立ってよかったんだ!」と思えました。会場の一体感がホントにすごくて、アイドルをやっててよかったという気持ちになりました。

三好佑季

三好佑季

三好佑季

三好佑季

茉城奈那 私は最初、会場の大きさを知ったときにびっくりして……わけわからずふわふわした感じでした。ライブ当日、朝起きてごはんを食べたら緊張で味がしなかったんです。でも、会場に着いてメンバーを見たら安心して。お昼ごはんの味がしてホッとしました(笑)。ホントにそれくらい緊張してましたね。私はフォレストホールでは泣かなかったんですけど、TDCホールでは佐山さんと三好さんがMCで泣いてるのにつられて号泣しちゃいました。グループで活動していると、メンバー同士でぶつかることもあるんですよ。そういう経験も経て、TDCホールにこの5人で立てたことに感動しました。なんと言うか、世の中にはたくさんの人がいるのに、その中からこの5人が集まってステージに立ってるのは奇跡だなって。

手羽センは大きなホールでも戦える

──では、ライブ中の印象に残ってる場面を聞かせてください。

佐山 ストリングス隊の方が参加してくださったブロックがあったんですよ。ステージ上で聴いていても素敵だったんですけど、あとで映像で観たときも生演奏ならではのハーモニーとか、会場に響いてる感じがすごくきれいで。それってホールならではのことですし、ホントによすぎて、今朝も映像を観てきました(笑)。

三好 私は「刹那ストリングス」が個人的に思い入れのある曲なんですけど、それがストリングスブロックの最初の曲でかなり高まりましたね。TDCホールワンマンは、「手羽センは大きなホールでも戦えるんだぞ」ということを証明するライブだったのかなと思います。

茉城 ストリングスのブロックでは「未完成日記」も披露したんですけど、落ちサビが「一人で泣いているのかな 一人で抱えているのかな 悩んで迷ってどうしようもなくても」という歌詞なんですよ。TDCホールのステージでほかのメンバーがその歌詞を歌ってるのを聴いた瞬間、手羽センに加入したときのことを思い出しました。私はみんなよりあとに加入したので、当時、メンバーとうまくやっていけるかな?とかいろんな不安があって、そのときに一番聴いてたのが「未完成日記」だったんです。落ちサビをレナちゃんから順番に1人ずつ歌っていくところで、もう泣きそうでした。思い出しただけでも泣きそうです。

茉城奈那

茉城奈那

茉城奈那

茉城奈那

──エモーショナルな曲が特別な演出によってより一層記憶に残るものになったと。

カワイ 先ほどもお話ししましたけど、ライブ本編の最後の曲「ハローニューワールド」で、メンバーカラーのテープが飛んだ場面も印象に残ってますね。お客さんのペンライトと照明が反射したテープでキラキラ輝いてる会場の景色がホントにきれいで。その瞬間は、スローモーションみたいに時がゆっくり流れてるように感じられました。あと、MCでメンバーがそれぞれ胸の内を話す時間があったんですけど、ファンの方がすごく真剣に話を聞いてくださって、そのときのみんなの表情が印象に残ってます。私は、ファンの方々のことを一緒に夢を見てくれる仲間だと思っていて、あの瞬間、みんなの気持ちがひとつになった気がしました。

日南 私は、アンコールのラストに披露した「始まりのシグナル」が一番印象に残ってます。私たちにとって大事な曲ですし、「最後の最後、全部の力を出し切るぞ!」という気持ちで臨んだんです。そしたらファンの皆さんも笑顔でジャンプしたり、すごく沸いてくださったりして、フィナーレにふさわしいパフォーマンスになりました。ライブは2時間半という手羽センにとってはかなり長い時間だったんですけど、「まだ終わりたくない」と思いましたね。それまでのワンマンでは「すべてやり切った」という満足した気持ちで終わっていた中、「終わらないでほしい」と感じたのは初めてでした。それくらい楽しい瞬間でした。

三好 手羽センのライブって、メンバーとお客さんが熱量をぶつけ合って、一緒に作り上げていくのが特徴なんですよ。今回のライブは声出しが可能だったので、コールの熱気もすごかったです。

──結果的に、TDCホールワンマンは皆さんの自信につながる、手羽センが次に進んでいくためのライブになったようですね。

日南 ホントにそうですね。ゴールではなく、しっかりやり切ったうえで通過点にできたと思いますし、ここからまた新たなスタートを切れるなって。