記憶に残る“プリンセス”のような姿
──ちなみに小2の頃以降に、テイラーのライブを観る機会はありましたか?
テイラー・スウィフトさんのライブに行けたのは、その「Speak Now World Tour」が最初で最後なんです。去年の「The Eras Tour」こそは絶対に行きたかったんですが、スケジュールの都合で足を運べなくて……本当に残念でした。
──なるほど。テイラーのライブと言えば壮大な演出も見どころですが、何か記憶に残っていることはありますか。
テイラー・スウィフトさんがゴージャスなドレスを着て金髪をなびかせてゴンドラに乗る姿がプリンセスのようで、とても印象に残っています。「Love Story」をはじめとした恋の歌を披露するさまはまるで妖精みたいで。あとはテイラー・スウィフトさんが使っていたギターのこともよく覚えています。表面にダイヤがたくさん付いていて、すごくキラキラしていたんです。そこから私もギターが弾きたくなり、両親が買ってくれました。
──素敵なご両親ですね。テイラーのファッションや外見にも憧れていたとおっしゃっていましたが、髪型や洋服を真似したことはありますか?
幼い頃はあまりファッションに興味がなかったこともあり、当時は真似したことはなくて……。黒髪の自分は、お姫様みたいな金髪ふわふわヘアのテイラー・スウィフトさんとはかけ離れていると思っていましたし。「いつかテイラー・スウィフトさんのようになりたい」と思っていました。
これって本当にテイラー・スウィフトさんの楽曲!?
──10月にリリースされたテイラーのニューアルバム「The Life of a Showgirl」はお聴きになりましたか?
もちろんです。全体的に新鮮な印象を受けました。以前はラブソングが多くて、おしゃれでポップ、少しレトロな曲が多かったように感じていたんですが、今回のアルバムは今の時代によりマッチするようなゆったりとした楽曲もありつつ、リードトラックの「The Fate of Ophelia」は、MVも含めてパワフルで。「これって本当にテイラー・スウィフトさんの楽曲?」と少し驚いたくらい、今までの作品とのギャップに魅了されました。
──「The Fate of Ophelia」のMVはテイラー自身が構想、監督を務めていますが、ワンテイクで流れるように進んでいく映像に見入ってしまいますよね。
1本の映画を観ているようにシーンがどんどん移り変わっていって、すごくおしゃれで美しかったです。あの楽曲はシェイクスピアの「ハムレット」を題材として、オフィーリアの新しい結末を描いているんですよね。その背景を知ってから、さらに興味深く感じました。
ステージに立つ人だからこそ抱く感情
──このアルバムは、テイラーが2023年3月から2024年12月まで行っていたワールドツアー「The Eras Tour」中にテイラーの内面で起こっていたことを描いた作品です。RIKUさんも同じくツアーで各地を巡るアーティストですが、共感した部分はありましたか?
まさに今もツアーを回っている最中なんですが(※取材は11月上旬に実施。NiziUは9月から11月まで、初のホールツアー「NiziU Live with U 2025 "NEW EMOTION : Face To Face"」を23会場で開催した)、会場に来てくれるお客さんを目にすると、自分にはこれだけたくさんの愛してくれる人がいること、その方々のおかげで自分が楽しく活動できていることを改めて実感できるんです。私は表に出る期間と出ない期間とで、全然心境が違って。ツアー中はずっとステージの上でWithU(NiziUファンの呼称)の皆さんから愛をいただける環境にいられるから、常にポジティブでいられるんです。逆にツアーがない期間は、自分がどう思われているかわからず「大丈夫かな」とネガティブになってしまいがちで。テイラー・スウィフトさんが同じかはわかりませんが、こういう状況の中で作られたアルバムなのかな……と勝手ながら想像しました。
──タイトル曲の「The Life of a Showgirl (Feat. Sabrina Carpenter)」はまさに、ステージに立つ人間が抱く葛藤を描いた楽曲ですね。
「Wait, the more you play, the more that you pay(楽しめば楽しむほど、代償も大きくなるのよ)」という歌詞がありますが、それはステージに立つ人にしかわからない感情なのかもしれない、と思います。ステージを重ねてアーティストの存在が大きくなればなるほど、体力的にも精神的にも自分の身を削って作り上げていかなきゃいけないこともあるし、いろんな人からいろんな意見を言われる立場にもなっていく。それをこの1文からすごく感じて、「確かにそうだな」と共感できました。
──なるほど。テイラーは自分の感じたことや自身の状態を歌詞に込めて表現することが多いアーティストですが、RIKUさんは作品を通して自分を表現するうえでどんなことを意識していますか? NiziUのユニット曲「secret」では作詞を手がけていましたよね。
私も基本的には自分が経験したことじゃないと表現できないタイプで、自分にないものは想像して表現することが大切だと思っています。「secret」はRIO、MAYAと一緒に恋愛についての歌詞を書いたんですが、経験したことがないテーマだったので、「自分だったらこう思うだろうな」と想像を膨らませて書くことを意識しました。普段の生活でも、NiziUとして活動している中でも、自分にしかない魅力や役割は絶対にあると思っているので、自分の長所を理解して動くことを、最近はより心がけています。そして自分に足りない部分は、メンバーに助けてもらっていますね。
──ありがとうございます。では最後に、テイラーのことをまだあまり知らないWithUにオススメしたい曲を教えてください。
「Mine」はこれまでもファンの方にオススメしてきたんですけど、私がテイラーを聴くようになったきっかけの曲なので、ぜひ皆さんに聴いてもらいたいです。そして「Love Story」は、ぜひMVと一緒に観てもらいたいですね。映像がとてもきれいで、本物の「ロミオとジュリエット」のようで。物語と掛け合わせて書かれた歌詞も素敵だし、テイラー・スウィフトさんならではの曲調なので、初めて聴く方にもその魅力が伝わりやすい楽曲だと思います。
──RIKUさんがテイラーにひと言伝えるとしたら、どんなメッセージを届けたいですか?
わあ、どうしよう……まずは、夢を持つきっかけを与えてくださったことにすごく感謝しています。たくさんの方に夢を与えている方だと思うので、自分もそんなアーティストになれることを昔から夢見てきました。これから自分も、誰かに夢を与えられるようなアーティストになりたいです。本当に大好きです! そして、去年のライブに行けなかったことがめちゃくちゃ悔しかったので、また日本に来ていただけることを祈っています。アーティストになった自分として、またテイラー・スウィフトさんのライブを体験したいです。
プロフィール
NiziU(ニジュー)
MAKO、RIO、MAYA、RIKU、AYAKA、MAYUKA、RIMA、MIIHI、NINAからなる9人組ガールズグループ。ソニーミュージックと韓国の総合エンタテインメント会社JYP Entertainmentがタッグを組み、2019年から2020年にかけて行ったオーディションプロジェクト「Nizi Project」で選抜された。2020年6月にミニアルバム「Make you happy」でプレデビューを果たし、同年12月にシングル「Step and a step」で正式デビュー。2020年末、「第62回 日本レコード大賞」特別賞を受賞し、「第71回NHK紅白歌合戦」に初出場した。2022年11月に初のドーム公演「NiziU Live with U 2022 "Burn it Up"」、2023年9月に初のスタジアムライブ「NiziU Live with U 2023 “ココ!夏 Fes.” -Stadium Special-」を開催し、同年末にはグループ初の韓国作品「Press Play」で韓国デビュー。2025年11月、およそ2年4カ月ぶりとなるアルバム「New Emotion」をリリースした。
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テイラー・スウィフト
1989年、アメリカ・ペンシルバニア州出身のシンガーソングライター。グラミー賞を14度獲得、また同賞史上初めて「年間最優秀アルバム賞」を4回受賞、さらに2025年リリースのアルバム「The Life of a Showgirl」の売上が発売初週で400万枚を突破するなど、名実ともにアメリカを代表するソロアーティストとして知られる。日本では、2010年2月に初来日し、2024年2月に行われたライブツアー「TAYLOR SWIFT | THE ERAS TOUR」では、海外女性アーティストとしては初となる、4日連続での東京ドーム公演を開催した。




