第2回「SYNERGY」特集|夕闇に誘いし漆黒の天使達×Non Stop Rabbit / 小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達)×もっさ(ネクライトーキー)対談2本立て (3/4)

小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達)×もっさ(ネクライトーキー)対談

夕闇とネクライトーキー、まったく違うジャンルのバンド

──夕闇に誘いし漆黒の天使達とネクライトーキーは、3月21日に神奈川・Yokohama Bay Hallで行われる「SYNERGY」の夜公演で対バンします。ジャンルの異なる2組による初競演になりますが、お互いのことはもともとご存知だったんでしょうか?

もっさ(Vo, G / ネクライトーキー) 私は夕闇さんの「猫サンキュー」という曲を知ってたので、オファーをいただいたとき「あのバンドだ!」と思いました! 今回の対バン、意外に思ったので「誰が組んでくれたんだろう?」って気になったんです(笑)。きっと好きなバンド同士を合わせてくれたわけじゃないですか。でも、ちょっと違うジャンルかなって。

左から小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達)、もっさ(ネクライトーキー)。

左から小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達)、もっさ(ネクライトーキー)。

──本公演はライブナタリーによるブッキングになります。

小柳(Vo / 夕闇に誘いし漆黒の天使達) ちょっとどころの騒ぎじゃないから「全然違う!」って言ってもらっていいですよ(笑)。僕は全然知らないバンドのミュージックビデオを観るのが好きなんですけど、YouTubeのオススメで「オシャレ大作戦」のMVが出てきて、ネクライトーキーを知りました。歌詞が面白いし、こんなバンドがいるんだなって。だけどまさか対バンするとは思ってなかったので驚きですよ。

ライブナタリースタッフ ネクライトーキーさんは「許せ!服部」がすごく好きで、夕闇さんはこのイベントの主催元であるUUUMさん所属のバンドということもあるのですが、「数字」という曲がめちゃくちゃカッコよくて好きなんです。ユニークな2組をかけ合わせたら面白いことが起こりそうだなということでご提案しました。

もっさ 私も「数字」めちゃくちゃ好きです!(笑)

小柳 わあ、ありがとうございます! 確かに夕闇もネクライトーキーも「ユニークさ」という面では、近いところがあるのかな。お客さんの層はまったく違うと思いますけどね(笑)。夕闇のファンにはいわゆるバンドキッズみたいな層もいれば、YouTubeでも活動しているのでアイドルファンとかいろんな人がいます。ツアーで地方に行くと、場所ごとにファン層が違うくらいバラバラです。

もっさ 私たちのファンは年齢層が幅広いんです。曲のテイストの影響もあるのか若者ばっかり!みたいな感じではないんですよね。意外と渋い曲もあって、90年代の音楽を聴いていた人の心をくすぐるところがあるみたいで。

小柳 ファン層に関して言えば、交わってないけど、近い傾向がありそうですね。

夕闇とネクライトーキー、共感する部分も

──対バンが決まり、改めてお互いの作品で印象的だったものは?

もっさ 「3兆回目のアイラブユー」のMVを観たんですけど、YouTubeの概要欄に「4人組ボーカルグループとして生まれ変わった」と書いてあって、「対バンするときはボーカルグループに変わってるの?」なんてびっくりしました(笑)。でも次にパチンコの曲(「Waiting For You」)のMVを観たら、今度は「4人組ピアノロックバンドとして生まれ変わった」って書いてあって、「これがコミックバンドか!」と(笑)。あとアルバム(「2枚目の夕闇に誘いし漆黒の天使達」)の「数字」「Q.O.L」あたりを聴いて、「ああ、表現の仕方は違えど、通じるものがあるな」と感じました。私、四星球さんのライブを観たときに思ったんですけど、コミックバンドって“伝えること”がすごく大事なんだなって思ったんです。誰もが笑えたり、楽しいと思えるのは、ちゃんと面白さが伝わってるから。そしてそこに対してすごく真面目。夕闇さんに対してもそういう印象があります。

小柳 ピアノロックバンドに生まれ変わるとかは、もともとラウドロックをやってるうえでのボケの1つだったんですよね。でも仮にそういうボケ曲で夕闇を知る人にボケが通じない可能性があるからMVの削除を検討します!

もっさ もっさ いやいや、消さないほうがいいです(笑)。逆に気になると思いますよ。「次はどんなジャンルのバンドになるんや?」って。あと動画も拝見しました。自分たちの曲でパートチェンジしたみたいな動画を観ました。

小柳 ありがとうございます! ああいうのは音楽をやってる人だと興味が湧きますかね。

もっさ 気になりますよ。自分たちもできるかな、なんて考えちゃいました(笑)。

小柳 ネクライトーキーに限らず、僕はいい曲が好きで、メロディのよさとか歌詞の内容が気になるんですよね。ネクライトーキーはかわいらしいのに歌詞がめちゃくちゃ暴力的な曲(「めっちゃかわいいうた」)とかもありますよね?

もっさ 「どつきまわせ、鉄で殴れ」とか歌ってます。

小柳 ああいうの、ヤバいなって。暴力的なバンドじゃないのに、そういうボケというか変化球を織り交ぜられるんだなって。

もっさ 確かに、鉄で殴るようなバンドではないですね。

小柳 そんな歌を女性ボーカルで表現しているそのバランス、ジャンルが違うからこそ勉強になりますね。俺らはいいなと思ったことをなんでもやるバンドなんで。

もっさ 確かにボーカルグループにピアノロックに、いろんなジャンルをやられてますもんね(笑)。

小柳 ネクライトーキーはキーボードのサウンドメイクにしても、何にしても面白いです。俺らとは畑が違いすぎて、全員職人みたいに見えるんですよね。

もっさ そんなことないです、ただの人見知りです!(笑)

小柳 そんな感じなんですか? MVも面白いのがありましたよね。カメラがすっごいたくさん出てくるやつ。

もっさ 「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」ですね。たくさんのカメラで撮って、多角的に見せる手法を使いました。

小柳 あれを観たときに「めっちゃ面白いやん! マジでやられた!」って思いました。カメラの三脚とかもがっつり映り込んでる見せ方もすごい。編集のことを考えると絶望感しかないけど(笑)。

もっさ 編集がめちゃ重だったらしいです(笑)。

小柳 いやー、勉強になりますね。職業病みたいなもので、常にアイデアを探しちゃうんですよね。あのMVに関して言えば、飽きさせない感じもあって、「カメラそんなところにもあったんかい!」みたいなアングルの映像も使ってますよね。ああいうユーモアがいいし、見せ方もシュールで。

もっさ そんな見方をしていただいてうれしいです。動画編集、簡単なのしかできないので教えていただかなきゃなって感じですね。

小柳 僕でよければいくらでも教えます(笑)。

もっさ ありがとうございます! 動画と言えば、昼公演で夕闇さんと競演するノンラビさんとは1回ツーマンライブをしたことがあるんです。普段はバンドとYouTuberの両方をやってる人たちと対バンする機会も、お話する機会もないので新鮮ですね。

小柳 そういうバンドは夕闇とノンラビくらいかもしれませんよ。もちろんほかにもいると思うんですけど、知名度的に考えると本当にうちらとノンラビくらいなのかなって。なんか、ネクライトーキーとうちらは違うジャンルとは言え、話しているうちに近いところがある感じがしてきました。音楽的なジャンルはそれでも全然違うけど(笑)。

もっさ それぞれが新しいジャンルを開拓できるチャンスかもしれないですよね。私は昔チャットモンチーが好きで、Ken Yokoyamaとの対バンイベントを観に行ったことがあるんです。Ken Yokoyamaのライブは初めてで、人が上から次々に飛んできて押し潰されましたけど、「カッコいいなー」って思ったんですよね。そのときの体験みたいに、「知らないバンドだったけど、ライブを観たらすごくよかった」と思ってくれる人がいたらうれしいですね。でもどうなるかはやらなきゃわからない、それがライブですね。

左から小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達)、もっさ(ネクライトーキー)。

左から小柳(夕闇に誘いし漆黒の天使達)、もっさ(ネクライトーキー)。

小柳 確かに。俺らは極端で、「好いてもらえるか嫌われるか」の二択でやってます。「普通によかったな」くらいじゃダメだから、衝撃を与えたい。YouTuberを始める前、バンドだけで活動してた頃からイロモノのほうがいいと思って振り切ってたのでホームのハコでもアウェイみたいな雰囲気になることが多かったんです。今でもその感覚が染み付いてるから、今回もめちゃくちゃ好かれるか、嫌われるかの二択になるようなライブをしたいです。

もっさ すごいですね。私たちもめちゃくちゃ嫌われるか好かれるかくらいの覚悟で挑もうかな。

小柳 ははは。嫌われないと思いますよ!