菅田将暉|音楽活動を通じて手に入れたもの

俳優業と音楽業に境目はない

──「ゆらゆら」は菅田さん自身が作詞と作曲というクレジットになっていますが、これはどういう制作スタイルだったんですか?

映画の撮影で夜中にロケをしていたんですよ。すごく寒い日で、そのときに夕食かなんかの肉の破片が口の中に残っていて、それがなかなか噛み切れなかったんです。噛んだら甘くて、それをくちゃくちゃしながら歌詞の通りに靴のかかとを踏みながら歩いていて。そのときに「ゆらゆらゆら~♪」というメロディと歌詞が同時に浮かんだんです。家に帰ってから、何となくそのメロディにコードを当てて、言葉を乗せて曲にしていきました。最初はいわゆる大サビみたいなものがなかったんですけど、最後にでっかいのをドーンと入れたいと思ってカラスのみんなに連絡して、そこからはスタジオで仕上げていきました。僕が「しみちゃん(シミズコウヘイ / G)、ここでエモいギター弾いて」とか言いながら、みんなでゲラゲラ笑って……そんなうちに自然とサビっぽいところが生まれてきて。そういう時間を経て今の形に落ち着きました。

──アルバムには米津玄師さんとコラボした「灰色と青」も収録されています。1月に開催された米津さんの日本武道館公演でこの曲を一緒に歌っていましたけれど、振り返ってみるとどういう体験でしたか?

米津玄師の東京・日本武道館公演「米津玄師 2018 LIVE / Fogbound」で「灰色と青」を歌う菅田将暉(左)と米津玄師(右)。(撮影:中野敬久)

本当に米津くんには感謝しかないです。やれてよかったなってことに尽きると言うか。まさか武道館で歌うなんて思ってなかったし、あの瞬間は自分の中では間違いなく人生のハイライトのような記憶になっていて。米津くんが「この日この場所で歌うために作ったんじゃないか」って言っていたんですけど、僕もそれと同じくらい運命的なものを感じました。

──菅田将暉さんは本業として俳優の仕事がありますよね。その一方で歌手としての音楽活動がある。歌詞を書いたり曲を作るようにもなった。これらはご自身の中でどういう関係性になっているんでしょうか。両立してるのか、全然別のチャンネルなのか。

そうですねえ……最初は音楽活動は音楽活動、俳優業は俳優業って別々のものだと思っていたんです。だけど最近は「どうやらそうでもないぞ」と思うようになって。それはこのアルバムを完成させて思ったことでもありますね。結局、俳優業でどんなことをやろうとも、音楽の中でどんなことをしようとも、両方自分の人生だし。もちろん仕事だからお金が発生するし、楽しみにしているお客さんがいるなら礼儀を持って真摯にやらなきゃいけないけど、それ以外の部分で言えば、基本的には両方共自己満足だったりするので。今は意外と境目がない感じかもしれないです。

──音楽をやることによって、自分の考え方やあり方が自由になった感覚、解き放たれたような感覚を手に入れた?

そうですね。今回の制作でよかったなと思うところはそこです。やっぱり自分の言葉を形にしてみると、より理解できることがたくさんあるし、すっきりすることもある。逆により悩ましくなったところもあるんですけど。「どうせこうなるだろうな」ってやらないよりも、拙くとも形にしたほうが次に進めると言うか。僕は出不精で何かをやりたいと思ってもやらずに終わらせることが多々あるんですよ。でもせっかく自分にとって印象的な体験があって、人との出会いがあって、感じたことがあって、形にすることができるチャンスがあるのならば、やらない手はないなと。それによって生まれたものが1つのエンタテインメントになる体験をしたことによって、少し考え方が変わりました。音楽活動を通して出会った人たちから俳優業にも生かせるものを得られるって気付いたことは大きいですね。1つ新しいアイテムを手に入れた感覚です。

菅田将暉「PLAY」によせて

秋田ひろむ(amazarashi)
秋田ひろむ(amazarashi)コメント
「スプリンター」は理想に向かって走り続ける愚直な青年をイメージして作りました。
菅田君のイメージに近いのではないかと自分としては勝手に思ってるんですが、どうでしょうか。
いずれにしても、聴く人の胸にささくれを残すような彼の声は、僕自身もなにか駆り立てられる気持ちになります。ありがとうございます。
石崎ひゅーい
石崎ひゅーい コメント
数年前、舞台“ロミオとジュリエット”を観劇しました、そこで僕は菅田君を初めて見ました。衝撃的でした。繊細で力強く、今にも死にそうで無骨で儚くてそれなのに美しい姿は僕の目指す表現と凄く似ているなと、とてもおこがましい話ですが、なにかものすごい引力に引き寄せられる感じがしました。
ある日僕らは隕石の衝突みたいに赤坂の蕎麦屋で沢山話をしました。音楽の話、女々しい話、家族の話、人生の話、お互いの美について、どうでもいい話、なにか一緒に作れたらいいねって話を。
それから僕らは、やれスタジオで、やれ菅田君の家で、やれ僕の家で、やれカラオケで、やれ道端で、音楽で、とことん遊びました。
音楽制作という名の最高のおもちゃを見つけてしまった僕と菅田君はざっと15曲くらいを夏休み徹夜でゲームを全面クリアする少年のように作りあげました。本当に素敵な時間でした。しかし、その遊びの代償として菅田君家の白いカーペットが1枚死にました。もつ鍋による溺死です。
でも僕らは笑っていました。これでまた1曲できるねって。
「PLAY」そう、音楽は最高の遊びです。それを菅田君に思い出させてもらいました。感謝しきれません。
柴田隆浩(忘れらんねえよ)
柴田隆浩(忘れらんねえよ)コメント
菅田さんのムックに僕が寄稿させてもらって、そんときに「歌詞ください、曲書きたいです」って書いたんです。そしたら速攻携帯に歌詞が送られてきて。そしてそれがめっちゃ面白かったんです。ほんとうのことが書いてあった。ほんとに思ってること、心の叫び、つまり歌詞が書かれていた。そんなもん見たら超テンションあがって、僕も速攻で曲付けて送って、気付いたらこんなことになってました。
僕はあんまり楽曲提供した気分ではないです。菅田さんとバンドをやった、という感じ。スタジオで一緒に、録ったオケのわけ分かんなさに爆笑して、みんなで「ワンツースリーゴー!」って叫んで、歌録りのときに「この歌詞こっちのほうがいいかも」って相談してその場で変えたりして、そんで打ち上げでまた爆笑して。バンドをやった。一緒にモノ作った。誰も一度も嘘をつかなかった。
だからこれ、間違いなくロックンロールですよ。キラキラしてる。
渡辺大知(黒猫チェルシー)
渡辺大知(黒猫チェルシー)コメント
菅田くんと初めて会って話したとき、自分と好きなものの空気が似ている気がしました。
想像だけど、夏の夜のちょっと生温かいけど寂しい感じとか、好きなんじゃないかなとか。柔らかいよりは硬くて尖ってる感じを選びそう、でも怖くなくて優しい感じ、とか。
そういう会ったときの印象を大事にしてヒリヒリとした曲が作れたらなぁと思って作りました。
菅田くんには、まだ誰もやってないことに挑戦してやろうという覚悟を感じます。
彼が歌を歌うことは、新しい表現に飢えてる下の世代の刺激になると思う。
そういうドキドキできることに自分も突っ込んでいきたい。
アルバム発売をお楽しみに!

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フォトギャラリー

菅田将暉「PLAY」
2018年3月21日発売 / EPICレコードジャパン
菅田将暉「PLAY」完全生産限定盤

完全生産限定盤
[CD+Tシャツ]
6499円 / ESCL-5037~8

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菅田将暉「PLAY」初回限定盤

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[CD+DVD]
3900円 / ESCL-5039~40

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菅田将暉「PLAY」通常盤

通常盤
[CD]
3200円 / ESCL-5041

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CD収録曲
  1. さよならエレジー
    [作詞・作曲:石崎ひゅーい]
  2. いいんだよ、きっと
    [作詞:菅田将暉 / 作曲:石崎ひゅーい]
  3. 見たこともない景色
    [作詞:篠原誠 / 作曲:飛内将大]
  4. ピンクのアフロにカザールかけて
    [作詞:菅田将暉 / 作曲:柴田隆浩(忘れらんねえよ)]
  5. 風になってゆく
    [作詞・作曲:渡辺大知(黒猫チェルシー)]
  6. 台詞
    [作詞・作曲:石崎ひゅーい]
  1. スプリンター
    [作詞・作曲:秋田ひろむ(amazarashi)]
  2. ゆらゆら
    [作詞・作曲:菅田将暉]
  3. 呼吸
    [作詞:菅田将暉、飛内将大 / 作曲:飛内将大]
  4. 浅草キッド
    [作詞・作曲:ビートたけし]
  5. 灰色と青(+菅田将暉)/ 米津玄師
    [作詞・作曲:米津玄師]
  6. 茜色の夕日
    [作詞・作曲:志村正彦]
初回限定盤DVD収録内容
  • 「5年後の茜色の夕日」
菅田将暉(スダマサキ)
菅田将暉
1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年に「仮面ライダーW」で俳優デビュー。2013年に「共喰い」で「第37回日本アカデミー賞」新人俳優賞、「第41回日本アカデミー賞」では「あゝ、荒野 前篇」にて最優秀主演男優賞を受賞した。2017年6月に「見たこともない景色」でCDデビューし、これまでに3枚のシングルをリリース。2018年3月にデビューアルバム「PLAY」を発表する。