6人組ダンス&ボーカルグループ・青春CYBERが、1stシングル「楽しくなければLIVEじゃないじゃん!」をリリースした。
この青春CYBERというグループ名には、「CYBER(仮想空間)ではなく、現実の世界で唯一無二の物語を描いていきたい」という思いが込められている。その名の通り、彼らは巧みなライブパフォーマンスで注目を集め、常にライブに強いこだわりを持ち続けてきた。その背景には、1人ひとりの“ライブに懸ける覚悟”がある。今回のシングル「楽しくなければLIVEじゃないじゃん!」は、そんな青春CYBERの姿勢をストレートに表現した作品だ。
音楽ナタリーでは本作のリリースを記念してメンバーにインタビューし、「青春CYBERが最後のアイドル活動」と語る彼らに、シングルに込めた思い、ライブに注ぐ情熱、そしてグループやファンへのまっすぐな気持ちを聞いた。
取材・文 / 小松香里撮影 / 八重代晃矢
プロフィール
青春CYBER(セイシュンサイバー)

2024年4月にデビューした6人組ダンス&ボーカルグループ。グループ名には、「CYBER(仮想空間)ではなく、現実の世界で唯一無二の物語を描いていきたい」という思いが込められている。8月26日に1stシングル「楽しくなければLIVEじゃないじゃん!」をリリースする。
6人全員「青春CYBERが最後のアイドル活動」
──青春CYBERは2024年4月にデビューしましたが、どういう思いのもと活動しているグループなんでしょう?
宇田川大和 僕たちはオーディションを経て結成されたグループなんですが、メンバーそれぞれが青春CYBERの前に別のグループで活動していて。全員青春CYBERが最後のアイドル活動だと考えている、という共通点があります。だからこそ高い熱量で同じ方向を向けているのが強みだと思います。それぞれ背水の陣だと思って活動に向き合っているので、白塗りでもなんでもやります!(笑)
矢後敦海 僕は学生のときからアイドルをやっていて、この6人の中だとアイドル歴が一番長いんですけど、青春CYBERがラストチャンスだと思ってます。チャンスをつかみたいですね。
成瀬力弥 僕は前のグループが解散するときにすごく悲しかったんですが、その悔しさを青春CYBERの活動にぶつけて新しいことに挑戦できているのがとてもうれしいですね。今は解散を経験してよかったと思えてます。
米村俊哉 僕も前のグループがなくなると決まったときは悲しくて、これからどうしていこうか悩んだんですが、今青春CYBERの規模感が大きくなって、応援してくれる人も増えているので、この道を選んでよかったなと思ってます。これまで道半ばで活動が終わってしまっていたので、最後のアイドル活動、もっとがんばってみようという気持ちがありますね。ここに骨を埋めようと思ってます。
──皆さんは「CYBER(仮想空間)ではなく、現実世界で唯一無二のパフォーマンスや夢を叶えていく物語(ストーリー)を描いていく」という青春CYBERのコンセプトをどうとらえていますか?
宇田川 いろんなジャンルのアイドルがいる中で、僕たちは“青春CYBER”を唯一無二のジャンルにしていきたいと思ってます。一番大事にしているのが「また行きたい」と思ってもらえるような楽しいライブにすること。だから1stシングルの「楽しくなければLIVEじゃないじゃん!」というタイトルは、僕たちの考えがそのまま曲になったみたいだなと思いました。青春CYBERの1stシングルにめちゃくちゃふさわしいタイトルですね。
成瀬 歌詞にもありますが、「青春CYBERのライブに来れば楽しい空間が味わえる」ことがより広く知られてほしいですね。
米村 映像や配信で青春CYBERのパフォーマンスを楽しんでもらえるのもうれしいですが、僕たちのよさが一番伝わるのはライブです。この曲を通して、現場に足を運んでくれる方がたくさん増えてほしいなと思います。
──「楽しくなければLIVEじゃないじゃん!」は掛け合いも多くある、6人の個性が詰まった曲です。歌唱やパフォーマンスでこだわったポイントはありますか?
一宮遥 僕はライブは生ものという考え方を大事にしていて、ファンのみんなと曲を育てていきたいと思っているので、毎回違うパフォーマンスを入れ込むようにしています。例えば、曲中にジャンケンやあっち向いてホイ!をするパートがあるんですが、そういった場面でもその日ならではのものを見せたくて。あとは、まず自分たちが楽しんだうえでみんなに楽しんでもらえるライブにしたいとも思ってます。
宇田川 僕たちはライブが終わると毎回反省会をして「次はこうしよう」と次のライブに向けて話し合ってるので、この曲を初披露したときからパフォーマンスがどんどん変化してますね。デビュー1周年記念ワンマンのタイミングでちょうど坂口くんが新メンバーとして入ってくれたんですが、6人体制で初めて歌ったのがこの曲です。次のフェーズに行くぞという気持ちも込めてパフォーマンスしてます。
坂口侑也 新メンバーの僕にとっては、この曲が自分が初めて参加する青春CYBERの曲でした。ファンの方には「はじめまして」という気持ちがありましたし、とても思い入れのある曲です。ライブ中の曲振りでは、僕が「楽しくなければ!」って言うとファンの方たちが「LIVEじゃないじゃん!」と返してくれる掛け合いもあって、“一緒にライブを作ってる感”がすごくある曲。しかもライブで披露するごとにどんどんステージも進化してるので、フィジカルでリリースされることをきっかけに、この曲をもっとたくさんの人に届けて、より成長させていきたいと思ってます。
矢後 最初に披露したときは、侑也くんに対して「どんなパフォーマンスをしてくれるんだろう」というワクワクする気持ちがありました。今は新メンバーだと感じさせないくらいの活躍をしてくれています。
──坂口さんは青春CYBERに加入するとき、グループに対してどんなイメージを持っていましたか?
坂口 2024年の年末に初めてライブを観たんですが、「めっちゃいい! このグループ絶対いける!」と思ったんです。そのライブ中に宇田川大和が白塗りをしていて、「僕もいつかそういうことをやりたい」と思ったこともあって「このグループに入りたいな」と。
矢後 そうなんだ!?(笑)
坂口 「このグループに入ったら、僕にしかできないことができる」って直感で思ったんです。その半年後に青春CYBERのプロデューサーの方が「新メンバーとして入らない?」と誘ってくれたので「ぜひ!」とお答えしました。メンバーにもファンの方にも「受け入れてくれてありがとう」という気持ちでいっぱいです。いつか白塗りをやらせてもらえるようがんばります。
宇田川 白塗りの座は簡単には渡しません(笑)。だいぶ体張りましたから。……とにかく僕たちはライブで白塗りをしちゃうくらい楽しいライブを届けていて、侑也くんが入ったことでもっと楽しいライブができるようになったと思います!
──グループに加入して驚いたことはありますか?
坂口 まず5人とも仲がいい。そして「ケンカするほど仲がいい」じゃないですけど、思ったことはお互いに言い合える関係性で、ちゃんと「これは違うんじゃないか」っていう話し合いもするんですよね。楽しいライブをするために、メンバー同士で意見交換をしながら切磋琢磨している。だから青春CYBERのライブは楽しいんだなと思いました。仲がいいのでよく一緒にごはんに行くんですけど、メンバーが自分の好きな食べ物を「これ食べなよ」って、好き嫌いが多い僕に対してもけっこう強めに勧めてくるんですよ。苦手な二郎系を食べに連れて行かれたときはしんどかったです(笑)。北海道出身なのでラーメンは好きなんですけどね。
一宮 めっちゃ覚えてる! 苦しそうだったよね(笑)。
坂口 入ってすぐくらいにリハのあとに誘われたんですが、加入したばかりだし、断りづらいじゃないですか。まだ打ち解けてもないし。苦手なのをわかってもらうために、めっちゃまずそうな顔をしながら食べました。今なら絶対断ります!(笑)
ライブのすべてをエンタメに
──先ほど「楽しくなければLIVEじゃないじゃん!」がライブを通して進化していった、というお話がありました。具体的にどんなふうに進化していったんでしょう?
宇田川 曲振りで言うと、最初は「聴いてください」と単に曲名を言うだけだったんですが、のちにコール&レスポンス方式にして一体感がどんどん出るようになりました。あと曲中のジャンケンやあっち向いてホイ!をするパートでは、最初は何も決めずにその日の気まぐれでパフォーマンスしてたんですが、ライブ後の反省会を重ねる中で、「今日は全員パー出そう」とか「今日は◯◯がこっちを向こう」とか、細かい部分を決めるようにして、演出として生かすようになりました。でも、「今日はグーを出そう」と事前に決めていても、それを忘れてチョキを出しちゃうメンバーもいたんですよ(笑)。この曲の振りは後ろ向きの状態から始まるので、そこからはみんなで「今日はグーだからね!」って確認するようになりました。
一宮 それでも忘れちゃうときがある(笑)。
宇田川 確認してすぐなのにね(笑)。でも減ってはいますね。主にヨネ(米村)と遥が忘れることが多いんですけど。
一宮 「グー出そうね」って言ったやつが忘れるパターンもある(笑)。
米村 ライブが楽しくて忘れちゃうんです(笑)。
宇田川 でも、それも“その日ならではのエンタメ”に変えていけたらと思ってます。楽しさを重視したライブをやってると、初めて観る方から「あいつらふざけてる」って思われたりもするんですが、いかにしてライブのすべてをエンタメにできるかを反省会で話して、このスタイルを貫いてますね。
矢後 ダンスや歌について話し合う時間が多いアーティストさんもいると思いますが、僕たちは「あのとき、お客さんを巻き込めなかったね」とか、ライブ中の内容を中心に反省会をしてます。
──皆さんはそれぞれライブではどんなことを大事にしていますか?
米村 ダンスや歌をしっかりそろえることも大事ですが、メンバー同士のアイコンタクトをはじめとした無言のコミュニケーションに重きを置いています。あと、お客さんに合いの手を入れてもらったり、曲の世界観に入ってもらうことで一体感を生むライブにする、ということはすごく意識してます。
一宮 僕は“みんなの太陽”みたいな役割を担っているので、いっぱい踊って汗をかいて、みんなを笑顔にしたい一心でライブをしてます。
坂口 ギャップを出すことを意識してます。明るい曲では明るい表情をするし、一方で僕はダンスが得意なこともあり、カッコいい系の曲ではバチバチに踊ります。でもしゃべるときには柔らかさを出したり……曲や場面によって表情や雰囲気を変えています。
矢後 僕はメンバー内で唯一ネガティブな人間なんですが、20分のライブだとしたら、その時間だけは「自分が一番カッコよくて一番すごい」と思うようにしています。そう思わせてくれる環境をメンバーが作ってくれるからこそライブが楽しいし、その20分間はポジティブに生きられています。もちろんその後の特典会もポジティブにがんばってます。でも、それらが終わったあとの反省会ではネガティブに戻りますね(笑)。
宇田川 ライブ後はまず1時間ぐらい反省会をして。全然話が終わらないときは、そのままみんなでごはんを食べに行って、そこで反省会の続きをしたりします。その日だけの唯一無二のライブを作り出すために、メンバー同士で「次はここをチャレンジしてみよう」という話を交わしてトライ&エラーを繰り返してますね。ライブでは必ずその日の目標を決めているので、何も考えずにステージに立つことは絶対にないようにしています。
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