ナタリー PowerPush - SONPUB

「世界に通用する新しいポップを作りたい」いざ音とクリエイションの大海原へ

世界に通用するような新しいポップを作りたい

──サウンド面ではどんなことを意識して作っていきました?

今回は自分のアルバムっていうことで、楽曲を提供するときよりさらにコアな音楽性を織り交ぜて作ることができました。トラップ、ダブステップ、ヒップホップ、ハウス、ベースミュージックなどのEDM(エレクトロダンスミュージック)だったり。そういうのを、聴きやすさも重視してポップに落としたつもりです。世界に通用するようなポップを作ることが一番の目標だったので、「できるだけポップに」を意識に入れつつ作ったアルバムですね。

──SONPUBさんの考えるポップとは?

SONPUB

その楽曲に対して、どれだけみんなを共感させることができるかっていうことですね。単純にわかりやすい曲を作るんじゃなくて、自分の持ってるコアな部分だったり本当に伝えたい核の部分を、どれだけ面白く、新しく、知ってもらいやすいものにできるか。それが自分の中でポップだと思います。僕の場合は、国内だけじゃなくて海外の人たちも含めて楽しむことができるかどうかっていうのを考えて作ってますね。

──世界を基準に考えていると。

ぶっちゃけ、こんな小さい国で誰がトップDJとかトッププロデューサーとか言うのはしょうもなさすぎるんで。「もっと海外出ていかなきゃダメでしょ」とは思ってますね。特に若手世代にはそっちにも目を向けてもらいたいです。海外のほうが規模も大きいし夢もデカい。プロデューサー / DJには絶対可能性があるし、音楽業界自体もあっちで戦える体制を意識してほしいです。日本はもっと行ける。

──ちなみに今気になる国、好きな国はありますか?

最近は旅行自体あんまり行けてないんですけど、今一番行きたいのは、高校時代に住んでたロンドン。今はまたクリエイションとかファッションが面白そうだなと。あとはアジア全般。そのあたりは昔より元気で面白いです。

人間対人間で共有する現場は絶対に必要

──アルバムリリース後はリリースパーティもあるんですかね?

WISEくんと僕が中心になって「KATS'」(キャッツ)というイベントを都内でやってるんですけど、10月25日にリリースパーティを兼ねてやります。アルバム参加アーティストだったり、ほかにもヤバいメンツが出ると思うので楽しみですね。ハロウィン仮装大会も兼ねるそうで勝者には豪華賞品も用意してるみたいです。

──そのようにオーディエンスと直接触れ合う現場があるからこそ、みんながアガるポップな曲を作りたいという意識が生まれたって部分はありますか?

SONPUB

それはでかいっすね。現場での空気感、反応は1つの指針になります。「あ、意外とこれダメなんだ」とか「あ、今日はこの曲かけてよかった」とか、同じ曲でもかけ方によって全然反応が違ったりするのも面白いし。なので、昔よりDJ活動は率先してやるようにしてるんです。俺、社交性がないほうだからもともとあんまり遊びに出かけないんですけどね。

──SONPUBさんの場合、自分自身でトラックメイキングもマスタリングもできる、アートワークのデザインもできちゃうとなると、自宅にこもって音楽活動を行うこともできますよね。

できちゃいます。まさにDaftPankの「Homework」状態です(笑)。でも変な言い方かもしれないけど、それだけだとやっぱりマスターベーションみたいになってしまうんで。PCのツール操作やネットの情報だけで知った気になりたくないし、根拠のない自信で勘違いしたくない。

──自己満足で終わってしまう?

そうですね。アーティストって作るときはみんな孤独なんだろうなと思うんですよ。ストイックだから。でもやっぱり頭もおかしくなっちゃうし、できたものを外にアウトプットして、人間対人間で共有するっていう瞬間は絶対に必要なんですよね。だから現場はすごく重要ですね。あと気になる海外アーティストのライブなんかはよく観に行くよう心がけてます。

トータルプロデューサーとしてやれなきゃいけない時代

──オリジナル音源の制作やアーティストのプロデュースを続ける上で、これからのクリエイターに求められるものってなんだと思いますか?

SONPUB

トータルプロデューサーとしてやれなきゃいけない時代だと思うんですよ。自分がアーティストでありつつ、自分のこともちゃんとエグゼクティブプロデュースできるっていうか。もちろんスタッフや仲間の意見もめっちゃ重要で必要なんですけど、結局自分で責任取らなきゃいけないものだと思うんで、すべてちゃんと自分でジャッジメントができるように。僕も判断力、プロデュース力っていうのは意識してますね。あとはパフォーマンス。要はライブやDJといったパフォーマンスと、制作をするプロデュース能力の2つがまず重要だと思います。

──なるほど。

その上、いろんな面をトータルに見られる目があればたぶん活動はうまくいくんじゃないかな。「じゃあWEBは俺が作ってやるよ」とか「ジャケットは俺がやるよ」とか、周りがサポートしてくれて得意な人に任せるのもいいんだけど、どういうものが作りたいか、どう見られるかっていうイメージだけはちゃんと自分で持ってないと。イメージをちゃんと作れるっていうこと自体、しっかりアンテナを張ってないとできないことだし。それをできる日本のアーティストがどんどん増えていったら、もっとシーンも活性化して、海外に行けるような人が出てくるのかなと思いますね。

──では最後に、「Mother Ship」をこれから聴く人にメッセージをお願いします。

今の時代、本当にいろんな音楽が追い切れないくらいあって、1つの音楽をみんなで共有することってなかなか難しいじゃないですか。特にとがった音楽性のものは。そんな時代っていうのもあるけど、今回のアルバムはどうやったらそれができるのかなって考えて作った内容になっているので、けっこう幅広く受け入れられるんじゃないかって自分では思ってます。それを聴いて、もし気に入っていただけたら、ぜひ現場に来て一緒に楽しめたらと思います。あと国籍、年齢問わず才能のあるプロデューサー / DJをどんどんフックアップしたいと思って「Dondada」のリミックスコンペを開催します。チャンスにつながると思うのでぜひ参加してください。

ニューアルバム「Mother Ship」/ 2013年10月2日発売 / PHOENIX PLAYERS / Cabron Music / PECF-3059
ニューアルバム「Mother Ship」

iTunes Storeにて配信中!

収録曲
  1. Let Your Body Go feat. O-Mocha
  2. Rock With You feat. SIMON
  3. Dondada feat. Atsushi Horie
  4. Jack The Ripper feat. Sky-Hi
  5. Ghost Ship feat. Bose, Una, Wise
  6. International Sound feat. U-Roy, The BK Sound
  7. Bang Bang Bang -甘いメロディ-
  8. Robot Trap
  9. Robot Carnival
  10. Together, Everybody -Exodus-
「Mother Ship」参加アーティスト一覧

このナタリーPower Push取材の模様(一部)が、インターネットラジオSuono Dolceの「Music Go Round」番組内にてオンエア!

Suono Dolce「Music Go Round」BounDEE by SSNW
2013年10月3日(木)20:00~22:00
2013年10月10日(木)20:00~22:00(※リピート放送)
2013年10月17日(木)20:00~22:00(※リピート放送)
2013年10月24日(木)20:00~22:00(※リピート放送)
2013年10月31日(木)20:00~22:00(※リピート放送)

ニューアルバム「Mother Ship」リリースパーティ×ハロウィンパーティ開催!

KATS'
2013年10月25日(金)東京都 渋谷WOMB
SONPUB(さんぱぶ)

アーティスト、プロデューサー、DJ。高校時代をロンドンで過ごし、その後音楽活動を開始。ソロおよびユニットのオリジナルアルバムや、Fatboy Slimなど多くのオフィシャルリミックスを発表し、国内外で支持を獲得する。2007年にDaft Punk世界ツアーの東京公演の前座を務め、2011年に「BIG BEACH FESTIVAL」へ出場するなどイベントにも多数出演。APE SOUNDS、ユニバーサルミュージックなどを経て、現在は自身の立ち上げたレーベルPHOENIX PLAYERSに所属している。自身主催の人気イベント「KATS'」は今年で5周年を迎える。2013年10月、5年ぶりとなるオリジナルアルバム「Mother Ship」をリリース。