ナタリー PowerPush - ソノダバンド

ロックシーンを鮮やかに塗り替える“イケメン東大生バンド”の本気とは?

誰も葉加瀬太郎の二番煎じなんて求めてない

──こういう編成でポップなインストをやるグループは今までもいたと思うんです。葉加瀬太郎さんをはじめとして過去にもいくつか。それらの先達と比べて、ソノダバンドの音楽的な特徴はどこだと思います?

園田 最初にバンドを組んだ当時は葉加瀬さんのコピーをやってたんですけどね。っていうのは、やっぱり僕が中学・高校のときに葉加瀬太郎っていうアーティストが、僕のいた田舎で何千人集めてコンサートをやったりとかして、すごく人気があるわけです。だからバイオリンがフロントにいるような、そういうバンドを作ったら売れるんじゃないかっていうのはちょっと思ってたりして。でも実際やってみるとそうでもないことに気づく。やっぱり誰も葉加瀬太郎の二番煎じなんて求めてないし。だから意識としては消去法ってわけじゃないですけど、クラシックの方向に行こうとすると葉加瀬さんがいて、僕の好きなジャズのアーティストの方向へ行こうとすると当然その本人がいて。こう、抜け道をとにかく探して曲を書いて。そういう意識はありました。

──歌がないだけに楽曲自体の個性が求められる。

インタビュー風景

園田 そうなんですよ。やっぱりエッセンスは楽曲にあると思うので。

──ここからは1人ひとりに伺いたいんですが、ソノダバンドで演奏する際に普通のロックバンドと違う部分やあえて変えている部分はありますか? ドラムの小山田さんは以前は普通のロックバンドをやっていたそうですが。

小山田和正(Dr) 高校のときはロックやったり、大学入ってジャズを始めたりしてたんですけど。演奏スタイル自体は今も特に変えてないつもりです。インストだからっていう意識はあんまりなくて、歌モノだと思ってやってる節があるんで。メロディに対して自分が何をするかっていうことを考えてるだけです。

──ベースの牧瀬さんはどうですか?

牧瀬崇之(B) 僕も特にそういうことは考えずに弾いてますね。強いて言うなら、チェロと音域が近いところのフレーズに気をつけるぐらいで。あとは楽しく、仲良くやってるだけです(笑)。

──なるほど。園田さんが楽譜を全部書いて「このとおりに弾いて」みたいな形でやってるバンドなのかと想像していたんですが、全然そうじゃないんですね。

園田 うん、かなりポップスやロックに近い作り方だと思いますね。バイオリンが入ってるのも、やっぱりストリングスって人間の声に一番近い楽器だと思うからだし。歌モノのような意識で作ってます。

人間の声ではなく楽器が弾いたときに映えるメロディを書きたい

──熱田さんはバイオリン担当としてどうですか? 歌ってるという意識はあります?

インタビュー風景

熱田 そうですね。あんまりクラシックっぽい弾き方はしたくなくて、どっちかっていうと普通に歌モノのポップスの歌をバイオリンで弾いてるっていう感じですかね。例えば1人だけビブラートかけてるとグルーヴがおかしくなるから、あんまりビブラートかけなかったり、ちゃんと音の立ち上がりをしっかり鳴らしてリズム感を強く出すように努力したりはしてます。

──チェロの橋本さんはいかがですか?

橋本怜(Cello) 僕は、基本的にバイオリンをハモリで支えるポジションだと思ってて。だから弾き方を合わせたりだとか、そういうのに気をつけてやってます。お互いの立場が逆転することもありますけど。

──バイオリンとチェロで、2人のボーカリストがいるみたいな感じですかね。

園田 そうですね。人間の声では歌えないフレーズが鳴らせるので、そこはすごく意識してますけど。ちゃんと楽器が弾いたときに映えるメロディを書きたいっていうのは思ってます。

橋本 歌詞があれば同じ音程が続いてるメロディとかでも良いと思うんですけど、僕らの場合それをやってもあんまり良くないなって。そういうことは思いますね。

──なるほど。ではメロディを担当する弦楽器が2人いる中でのギターはどうですか? 役割分担が難しいような気がするんですが。

赤股 うーん。まあ確かに、バイオリンとチェロがメロディ弾いて、ピアノがガーってコード鳴らしてると、わりともう隙間がなくなっちゃったりもするんで、例えばコード弾きたいところを単音だけの簡単なフレーズにしてみたりとか、あとはバイオリンとチェロが一瞬休んでる休符のところにちょっとフレーズを入れたりみたいなことは、たまに意識してやってますね。あとはリズム隊と気持ちよく合えば成立するのかなっていうくらいで。

小山田 素晴らしい(笑)。

──赤股さんはもともとはロックギターを弾いてたんですか?

赤股 そうですね、ハードロックが好きで。MR.BIGとかGUNS N' ROSESとか、そのへんの。

──それじゃあもっと派手にギターソロを弾きたくなったりするのでは?

赤股 いやあ、もともとこのバンドでオリジナルでどんどんやっていこうっていう意識はなかったですからね。でも最近はけっこうギターが激しい曲も増えてきて「あ、意外とやらせてくれるんや」って。むしろありがとう、みたいな気持ちです(笑)。

ニューアルバム「ルネサンス」 / 2010年10月20日発売 / 2300円(税込) / FlyingStar Records / VICB-60059

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CD収録曲
  1. Soul River_2010
  2. Reflections
  3. 悲しい太陽
  4. 旅立つものたち
  5. 上海午前零時
  6. Tango-Fragments
  7. C'est la vie [Re:]
  8. 生きる

<BONUS TRACK>

  1. Spanish Ecstasy [LIVE]
  2. もうすぐ [LIVE]

ライブDVD「2010年5月15日のソノダバンド」 / 2010年12月22日発売 / 3000円(税込) / FlyingStar Records / VIBB-15

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DVD収録曲
  1. Trust Your Groove
  2. Flying Express II
  3. Spanish Ecstasy
  4. Brazilian Sunset
  5. float
  6. 悲しい太陽
  7. 上海午前零時
  8. Soul River
  9. Black Day
  10. 霧時雨
  11. ぼくのスウィング
  12. Shattered Love
  13. Take Me To The Carnival
  14. もうすぐ
  15. Moonset
ソノダバンド

園田涼(Key)、熱田哲(Violin)、橋本怜(Cello)、赤股賢二郎(G)、牧瀬崇之(B)、小山田和正(Dr)からなる6人組インストゥルメンタルバンド。2006年に東京大学の音楽サークルで結成。都内ライブハウスを中心に活動を開始し、インディーズで2枚のミニアルバムを発表。2010年3月に米テキサス州オースティンで開催された「SXSW」に出演し、現地の音楽ファンの熱狂的な支持を集める。同年5月に初のフルアルバム「shiftrise」をリリースし、10月にはFlyingStar Recordsよりアルバム「ルネサンス」でメジャーデビュー。12月にはライブDVD「2010年5月15日のソノダバンド」もリリース。