「イナズマロック フェス2023」×スカパー!|発起人・西川貴教が心血を注ぎ続ける滋賀の祭り

10月7日から9日にかけて滋賀県草津市で開催された野外音楽フェスティバル「イナズマロック フェス2023」。本ライブの模様が、スカパー!が現在実施中のキャンペーン「スカパー! 熱狂フェス #テレビだけだと思うなよ」の一環として、11月24日から26日までの3日間にわたりフジテレビTWO ドラマ・アニメのチャンネルにて放送される。

今年で立ち上げ15年目を迎えた「イナズマロック フェス」。今回の公演にはUVERworld、ももいろクローバーZといった常連組からAぇ! groupをはじめとした気鋭の若手アーティストまで、多彩な出演者がラインナップされた。昨年は台風14号の接近に伴い最終日の公演の中止を余儀なくされたが、今年は3日間開催を成功裏に終えた。音楽ナタリーでは、ライブ映像の放送を記念して2009年の立ち上げ時から同フェスのオーガナイザーを務める西川貴教にインタビュー。15年にわたり自治体との二人三脚で作り上げてきた「イナズマロック フェス」に懸けるただならぬ情熱がさまざまな観点から語られた。

取材・文 / 小松香里撮影 / 須田卓馬

いい意味で安心感のないフェスにしたい

──立ち上げ15年目となる今年の「イナズマロック フェス」は、昨年果たせなかった3日間開催や、4年ぶりの通常開催が実現するなど大きなトピックがありました。

15年目ではあるんですが、一昨年は感染症により開催ができず、昨年は規制を設けて何とか開催にこぎつけたところ台風の影響で1日中止にせざるを得ない事態になりました。だから、「とにかく無事に3日間を終えてほしい」と祈るような気持ちで当日を迎えました。「イナズマロック フェス」は環境のことも考えて、公共交通機関での来場を推奨しているので、天候の影響などで公共交通機関が止まらなくてよかったです。

──3つのステージでのべ150組のアーティストが出演するというボリューム感でした。無料エリアである風神ステージと龍神ステージにも人気アーティストが多数出演しているところが「イナズマロック フェス」の1つの特性でもあります。西川さんも「このアーティストが無料で見れていいのだろうか?」と冗談っぽくおっしゃっていました。

そうですね。今年風神ステージに出てくれた四星球やベリーグッドマンは、フェスやイベントによってはメインステージに出ていますからね。ザ・リーサルウェポンズは11月に両国国技館公演を行いましたし。そういうアーティストが無料で観られるのもうちならではだと思います。そして、非常にありがたいことに、「イナズマ」に演者として出ることを目標にしてくださってる方もいます。今年は「こんなに『イナズマ』のことを思ってくださる方がいるんだ」と強く実感しました。

西川貴教
西川貴教

──Novelbrightは本来2021年と2022年にも出演予定でしたが、コロナや台風の影響で実現せず、今回念願叶っての「イナズマ」初出演になりました。過去には風神ステージへの出演をかけたオーディション「イナズマゲート」に出ていたことがあります。

「何回か落とされた」と言ってましたね(笑)。最初に出演が決まったあとに僕のライブに来て、「イナズマ」への強い思いを語ってくれて、「こんなにこのフェスを大事に思ってくれているんだ」とすごく感動しました。昨年は一昨年の雪辱を果たしてもらうつもりでブッキングしたのですが、ノーベルの出演日だけ開催できなかった。そういう経緯があって、ノーベルがようやく「イナズマ」でライブができたのが今年の3日目でした。ノーベルが出てくれた3日目の雷神ステージのラインナップは、これからの日本の音楽シーンを背負って立つような方々ばかりだったんですよね。

──3日目の雷神ステージは、ONE N' ONLYと原因は自分にある。(BUDDiiSの参加も発表されていたが、直前にメンバーの4名がインフルエンザと診断を受けたため出演見送りに)による「EBiDANソイヤ!イナズマスペシャル」で始まるタイムテーブルでした。

そうですね。彼ら以外も、このタイミングでしかそろわないようなラインナップで。この中で自分がパフォーマンスすることに対して、正直気負いがあったぐらいでした。ノーベルやAぇ!group、昨年は会場近くまで来てくれたのに結局台風で出演が叶わなかったモーニング娘。'23など、アーティスト側の強い気持ちも感じましたし。自分が作ったフェスについてこんなことを言うのもなんですが、自分が想像している以上に皆さんが価値を感じてくださったことに感動すると同時に、「果たして西川貴教はその価値に見合うアーティストなのだろうか?」とも思ったんですよね。結果的に、今回の15年目のフィナーレのステージは、ギリギリで出演を決めてくれた仲間、J(LUNA SEA)がいたからこそのステージになったと思ってます。

──Jさんとは昔から交流のある間柄ですよね。

もう30年ぐらいの付き合いになります。

──Jさんがギリギリで出演を決めてくれた経緯は?

本当はLUNA SEAにトリをやってもらいたいと思っていたんです。でも結局LUNA SEAは出演が難しくなってしまって。Jが「僕だけでよければ」と言ってくれて、トリのステージに出てくれることになりました。

──そうだったんですね。JさんのほかにもASCAさんとFear, and Loathing in Las VegasのSoさんとMinamiさんも参加したかなりスペシャルなステージでした。

Jが来てくれることが決まってから、ほかのアーティストに声をかけ始めました。MinamiとSoの出演が決まったのは本番3週間前ぐらいでしたね。1日目にも出てくれてましたが、最終日もスケジュールを調整してもらえて感謝しています。

「イナズマロック フェス 2023」の様子。
「イナズマロック フェス 2023」の様子。
「イナズマロック フェス 2023」の様子。

「イナズマロック フェス 2023」の様子。

──世代も音楽性も違うアーティストが西川さんを中心にコラボレーションするというのは、ジャンルレスな「イナズマロック フェス」を象徴したステージだったかと思います。

そうですね。15年目を迎えてこのフェスができているのは、僕の力というより実行委員会や関わってくださる皆さんの力が大きいんです。僕はオーガナイザーという象徴的な存在なだけで。とはいえ、僕にしかできない役割もあると思っていて、今年は関わってくださる皆さんの思いに報いるためにも、徹底的に会場を巡るようにしました。それで、ありとあらゆるステージに出て行ったんですよね。15年やってて初めて風神ステージにも立ちましたし、ほかのアーティストの前説もやりました。4年ぶりの通常開催とは言えど、出演者の中にもインフルエンザなどでキャンセルされた方がいらっしゃったので、少しでもリカバリーしたい気持ちがありました。あと、「イナズマ」は毎年どこかをアップデートしてるんですよね。連続で来てもらったとしても毎年新しい驚きを味わってもらえるような、いい意味で安心感がないフェスにしたくて試行錯誤しています。お邪魔するたびに内装が違う家みたいな感じにしたくて。そういった面でも、今年は特にステージ上でのサプライズが多い3日間にできたんじゃないかなと思います。

西川貴教
西川貴教

──お客さんは、初日の西川さんによる開会宣言のあとのT.M.Revolutionのステージに、いきなりガチャピンとムックが出てきたときから驚いたと思います(笑)。

そうですよね(笑)。イナズマならではのコラボレーションがたくさん実現した年だと思います。今年初めて出演してくれたGENERATIONSはギリギリに出演が決まったんですが、仲のいい数原(龍友)が「実は前から出たかった」と言ってくれていたんです。せっかくだったらお互いの気持ちを形にしようよ、という話になり、数原が「Hard Knock Days」のコラボを提案してくれました。ただ、決まったはいいけれど、本番までの日にちも少なかったし、僕は開催週の頭まで大阪で舞台をやっていたこともあり、リハをするスケジュールがなかった。音源とメッセージを送り合って、ぶっつけ本番のパフォーマンスになりました。でもすごく楽しかったんですよね。GENERATIONSだけでなく、雷神ステージに出演してくれた全員がこのフェスへの熱い思いを持ってきてくれたし、風神ステージに出てくれたみんなは以前から「イナズマ」への出演を目指してくれていたように感じました。フェス発足当初に僕が思っていた「こういったフェスが故郷にあったらいいな」というビジョンが、15年かかってやっと実現できた感覚があったんです。