ナタリー PowerPush - SEX MACHINEGUNS
3人の個性が増した右肩上がりの新作完成 メンバーが語るバンドの現在・未来
メタルが好きだけどへヴィメタルをやっていると思ってない
──今回のアルバムが新たなスタート地点だとすると、2人の作詞・作曲への貢献度が上がることで今までと違うスタイルがどんどん加わっていきますよね。その変化について、ANCHANG自身はどのように考えてますか?
ANCHANG そこはあまり考えてないですね。へヴィメタルというジャンルを選んだ時点で世の中の流れに逆らってるし、決して流行りものを追うバンドではないので、シフトはとにかくニュートラルに入れておきたいと思うんです。それに、僕自身はへヴィメタルが大好きだけど、実はへヴィメタルをやっていると思ってなかったりするので。
──メタルというジャンルにこだわるよりは、純粋に「音楽」という意識のほうが強いんですか?
ANCHANG そうですね。ただハードなサウンドが好きというか。METALLICAですら「俺らはメタルじゃない」みたいなことを言ってますからね。そう意味では、僕らもメタルじゃない。SEX MACHINEGUNSはSEX MACHINEGUNSだと。ちょっとカッコつけすぎですけどね(笑)。
──日本の音楽シーンを見渡すと、へヴィメタルってちょっとマイノリティなイメージがありますよね。だけど海外では、ここ数年非常に盛り上がっている。そのギャップも大きいですが、もっとこういうサウンドがシーンの表舞台に出ていって盛り上がってもいいんじゃないかなという気もするんですよね。
ANCHANG よく言ってるんですが、ヘヴィメタルが市民権を得るのは日本では難しいかもしれないですね。日本人って海外のアーティストに対して盲目的になってしまうことがあるじゃないですか。例えば「LOUD PARK」に日本のバンドが出るとブーイングされたりする。そういう考えが、嫌で仕方ないんですよ。
──日本のインディーズにもいいメタルバンドがたくさんいるのに、そこに目を向けてもらえないのは残念ですよね。
ANCHANG すごくもったいない。日本人は勉強熱心なんだけど、頭が固かったりするんですよね。例えば、僕らがへヴィメタルをネタにして「ヘヴィメタルシャウト」というのをライブでやってるんですが、頭の固いメタルマニアは「あんなのメタルじゃない」とすぐ言うわけですよ。でも、そんなのおまえがメタルじゃねえわと。難しいですよね。
海外で成功する可能性は常にマシンガンズにもある
──ANCHANGは10年以上にわたってSEX MACHINEGUNSを引っ張ってきたわけですが、マシンガンズは常に独特な立ち位置でしたよね。
ANCHANG 端っこですよ、常に崖っぷち。サスペンス劇場のエンディングみたいなところに立ってますね(笑)。
──自分の音楽に信念があって自信を持って続けてきたと思うんですが、その中で日本の音楽シーンのトップに入っていってやろうと考えることはありますか?
ANCHANG しょっちゅう思ってますよ。ただ、押しつけるもんではないとも思ってるんです。例えば、マシンガンズは流行りのアーティストが出る音楽番組にも出たことがあります。そのおかげで当時そこそこ売れたし。それでもサウンドを曲げずにここまで来れたのは、とてもラッキーですよね。インディーズになったとはいえ、今でもライブにお客さんも来てくれるし、こんなラッキーなことはない。マシンガンズとしてドームツアーをやりたいとは正直思わないけど、行けるところまで行きたいと思うし。例えばLOUDNESSは海外で成功しましたが、そういう可能性は常にマシンガンズにもあると思うんです。
──確かに。可能性は十分あると思います。
ANCHANG そう考えると、まだまだ僕らはアンラッキーなのかも(笑)。でもね、海外に出て行っても負けないと思うんですよ。SLIPKNOTみたいなのをやれと言われたら困るけど、KEN'ICHIがブラストビートを叩けないわけではないし、SHINGO☆の言葉は外国に行っても通用するだろうし(笑)。こいつはね、外国向きですよ。
SHINGO☆ 英語わかんないですよ。
ANCHANG 英語わかんなくても何か適当にしゃべっていれば、こいつは外国人に絶対ウケますよ。
──MCももちろん日本語で、普段のスタイルでやることに意義がある、と。それ、本当に観てみたいですね。
ANCHANG そうですね。最近ではRAMMSTEINというドイツのバンドが、ドイツ語のままアメリカで成功した例もあるし、アリだと思うんですよ。
──サウンドに伝わるものがあれば、それは世界共通だと思うし。
ANCHANG 言語の違いは関係ないと思いますよ。でもその考えが妄想的だったら嫌だなと思うから、僕らはここでがんばって今できることをやらないと。日本でだったら、また武道館まで行きたいし。負け犬の遠吠えにならないようにがんばってるけど、理想は常に高く持つようにしてます。
初回盤CD収録曲
- ANACONDA
- 部屋とTシャツと親父
- レフリー大暴走
- アドレス変更
- TIGER BIKINI
- チャーリーママ
- CHE
- DEATH GAME
- 大家さん
- 森のくまさん
- プライド
初回盤DVD収録内容
- 「ANACONDA」PV
- メンバーが語る全曲解説映像
通常盤CD収録曲
- ANACONDA
- 部屋とTシャツと親父
- レフリー大暴走
- アドレス変更
- TIGER BIKINI
- HEAVEN&HELL
- チャーリーママ
- CHE
- DEATH GAME
- 大家さん
- 森のくまさん
- プライド
SEX MACHINEGUNS
(せっくすましんがんず)
ANCHANG(Vo,G)を中心に結成されたヘヴィメタルバンド。1998年にシングル「HANABI-la 大回転」でメジャーデビューを果たし、正統派メタルサウンドとコミカルな日本語詞の妙が賛否両論を呼ぶ。同年10月にリリースされた1stアルバム「SEX MACHINEGUN」がスマッシュヒットを記録し、メタルファン以外からの支持も獲得する。以後コンスタントにリリースを重ね、「みかんのうた」「ONIGUNSOW」など、笑いなくしては聴けない名曲を発表。数多くのメンバーチェンジを経て、2006年に活動休止。多くのファンが復活を望む中、2007年にANCHANG、KEN'ICHI(Dr)を中心に第5期SEX MACHINEGUNSが始動。2008年にはSHINGO☆(B)を迎えて精力的な活動を行っている。