「ハタチの頃」というテーマで行ったヒャダインのインタビューから、冊子では掲載しきれなかった小さい頃の夢の話や、ちょっとマニアックな選挙の裏話を公開していく。ヒャダイン独自の視点で選挙の魅力について語っているので、その熱い思いを感じ取っていただきたい。

出口調査をされるのが僕の夢

──初めて選挙に行ったときのお気持ちは？

待ちに待った瞬間でしたね。「大人になった」と強く感じました。投票所が母校の小学校だったので、久しぶりに行けたのも懐かしかったです。凱旋帰校とでも言うんですかね？ 「大人になって帰ってきたぞ！」という誇らしい気持ちでいっぱいでした。

──とはいえ投票をするだけですけどね（笑）。

まあそうなんですけど、門をくぐるのはあの頃の僕じゃない。背丈も伸びていますし、見える世界が違います。トイレに行っても小便器が小さい（笑）。子供の頃は大きく感じていたのに、大人になって見てみると感慨深いものがありました。そんなこともあるので、全体的に昔を懐かしむ場として、小学校での投票は好きなんです。

──ということは期日前投票には行かない派ですか？

そうです。期日前投票だと学校ではなく、会議室みたいな素っ気ない場所に行かなきゃいけないので、僕は必ず投票日に行くことにしています。そこで出口調査をされるのが僕の夢です（笑）。

──出口調査とは、なかなかマニアックな夢ですね。

もう何度も投票には行っていますが、いまだかつてされたことがないんです。統計学的には、そろそろされてもおかしくないと思うんですけどね……。

──本当に選挙を楽しまれていますね。何か本でも書けそうです（笑）。

「選挙人ヒャダインの選挙を楽しむ方法」というタイトルはいかがでしょうか。「学校の景色を楽しむ」とか「トイレに行く」「手を洗う」というような項目がたくさんあるイメージですけどね（笑）。廊下はあまり自由に通れなくなっているから、なかなか隅から隅まで見て回れないんだよなあ。

──もはや選挙を題材にした本とは思えませんが（笑）。

あとは投票箱の前に座っている立会人もやりたい！ 実際にやってみたら、とても退屈だとは思うんですけどね。でも僕が座っていたらびっくりする人もいるかな（笑）。

──なんだかいろいろな見方があって、投票に行くのが楽しくなってきますね。

新成人の方に限らず、若い人には本当に行ってほしいです。当たり前ですが選挙は参加することに意義があるので。「行かないほうがカッコいいぜ」なんて思っている人がいたら、それは違うなあ。それよりも投票に行ったことをTwitterやFacebookなどで公表して、自分の周りの人にもアピールしたほうが絶対にカッコいい。あなたが情報発信者として、若者の選挙離れをなんとかしていただきたい。有名人じゃなくても、皆さんにも影響力はあるんですよ。

──自分の1票で何かを変えられるかもしれない。

結果ではなくて、投票に行くということでこの国の政治としっかり向き合うということを、若い人たちには考えてほしいんです。

情熱大陸に出てるじゃん！

──それでは次に、ヒャダインさんが将来なりたかった職業についてお聞きしたいと思います。

幼稚園くらいのときから夢を聞かれるのが苦手で、なりたいものというのが本当になかったんです。でも幼稚園で「将来の夢」を書かされるんですよ。だから僕は言葉の響きのよさだけで「絵描きさん」って答えるようにしていました。

──画家ですか。

でも僕の絵の実力については、ナタリーの読者の方々ならご存知だと思いますので多くは語らないようにしましょう（笑）。

──あはははは！（笑）

それから小学生になって、周りの男の子はプロ野球選手になりたいという将来の夢が多い中、とりあえずお金持ちになりたいと思っていたので、僕は貿易会社の社長と言っていました（笑）。

──しかし、考えていた将来とはだいぶ違う、音楽に携わるお仕事に就かれることになりました。

本当に、あの頃の僕が今の僕を見たらびっくりしちゃいますよね。「野宮真貴さんとデュエットしてるじゃん！」とか「情熱大陸に出てるじゃん！」とか（笑）。

──これから先に何が起こるかはわからないからこそ、若い人たちにはいろいろなことをあきらめないでほしいですね。

自分で限界とか可能性を決めた時点でそこまでになってしまいますからね。ただ、やりたいことがない人はそのままでもいいと思います。無理やり探さなくても身近にある好きなことのなかで突き詰めていくというのも1つの選択肢ですよ。オンラインゲームが好きならそれをいっぱいやればいいんです。そうすることで何かしらのフィードバックは絶対にありますから。後ろめたい気持ちなんて持たずに、やりたいだけやってみれば、何か生まれるかもしれませんよ。

──他人の意見は気にせずにということですね。

そうですね。ただし人を傷つけるのだけはダメです。それだけは絶対に気をつけなければいけません。

──なんだかとてもいいお話を聞けたような気がします。

いえいえ、こちらこそありがとうございました。