千田葉月|「ゾイド」新ヒロインが歌手デビュー プラスのエネルギー伝える

10月4日にスタートするテレビ東京系アニメ「ゾイドワイルド ZERO」でヒロインのサリー・ランド役を務める声優の千田葉月が、同番組のエンディングテーマ「ヒカリ」で歌手デビューを果たす。

このアニメのオーディションでヒロイン役を射止めた千田。彼女は「ゾイドワイルド ZERO」のエンディングテーマも担当し、テーマソング「ヒカリ」で歌手デビューを果たす。音楽ナタリーでは、デビューを目前に控えた彼女にインタビューを行い、デビューまでの道のりや自身の心情にも重なるという「ヒカリ」に込めた思い、レコーディングなどについてじっくり話を聞いた。

取材・文 / 須藤輝 撮影 / 加藤岳

ガチャ課金は月3000円まで

──千田さんは現役の大学生だそうですが、今までどんな音楽に触れてこられたんですか?

千田葉月

初めて意識して音楽を聴いたのは中学2年生か3年生のときですかね。ちょうどその頃「銀魂BEST2」(アニメ「銀魂」の主題歌を集めたコンピレーションアルバムの第2弾)が出たから買ってみたんですよ。ただ、それはアニメ「銀魂」の主題歌が好きだからというよりは、「銀魂」というアニメが好きだからその主題歌もちゃんと聴いてみようぐらいの気持ちだったんですね。

──気に入った曲はありました?

どの曲もよかったんですけど、特にシギさんの「輝いた」という曲を聴いて「わ、カッコいい!」と思ったのをよく覚えています。たぶんそこからロック寄りの音楽を好んで聴くようになって、高校2年生のときはたまたまYouTubeのオススメに出てきたアヴリル・ラヴィーンさんのミュージックビデオを観てめちゃくちゃハマりました。ファッションもカッコよくて、英語の歌詞はよくわからないけど憧れましたね。それ以降はLiSAさんとか……あとロック以外でもアニソンはよく聴いてました。

──アニソンはどういったものを?

最近だとClariSさんの「CheerS」(アニメ「はたらく細胞」エンディングテーマ)がサークルの中で流行っていたので……。

──なんのサークルですか?

放送研究会というサークルで、そこでラジオドラマとかを作ったりしているんですよ。そのサークルのメンバーで今言った「CheerS」とか、あとオーイシマサヨシさんの「オトモダチフィルム」(アニメ「多田くんは恋をしない」オープニングテーマ)の振り付けを真似して踊ったりしてましたね。

──大学生のアニソン事情をもう少しお聞きしてもいいですか?

うちのサークルという狭い範囲内ですけど、声優さんだとみんな大好きなのは宮野真守さん。あと内田真礼さんも人気で、女子も何人かファンクラブに入っていたり。それから、私は女性向けアプリはよくわからないんですけど「アイナナ」(「アイドリッシュセブン」)も好きな子が多いです。鉄板なのは「ラブライブ!」と「アイマス」(「THE IDOLM@STER」)で、みんなガチャ引いてるんですよ。誰かが「これから10連引きます!」って言うと、みんなで集まって「何が出るかな?」って見守るという。

──千田さんもガチャ引くんですか?

私も「ラブライブ!」はやってるんですけど、課金は月3000円までと決めているので、ほどほどに(笑)。

合唱コンクールはずっと口パクで通した

──中学時代から能動的に音楽を聴くようになって、その過程で歌手になりたいと思ったりはしました?

いや、私は人前で歌うのが苦手で。学校でやる合唱コンクールとかも、ちゃんと練習はしてくるんですけど、本番になると緊張して声が出なくなっちゃって。なので、中学3年間の合唱コンは全部口パクでした(笑)。

──プライベートで友達とカラオケに行ったりは?

行きましたけど、それも友達から「全然歌ってないじゃん」と言われて「じゃあ……」と重い腰を上げるみたいな。でも、家ではめちゃくちゃ歌うんですよ。ただし、「アナと雪の女王」がヒットしていた時期に私がお風呂で主題歌の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」を歌っていたらご近所からクレームが来たことがあったので、それ以降声量は制限しているんですけど。

──近所の人から注意されるレベルで派手に歌うことはあっても、人前では歌うことには消極的だったと。そんな千田さんが歌手デビューすることになったわけですが、抵抗はありませんでした?

千田葉月

最初は「キャラソンを歌うことになるかもしれない」というお話だったんですよ。つまり、アニメ「ゾイドワイルド ZERO」で私が演じさせていただくヒロインのサリー・ランドとして歌うんだと。キャラソンにしても私にとっては初めてなんですけど、サリーちゃんの歌なら歌えるかもしれないと思ったんですね。それが、最終的にエンディングテーマを、しかも千田葉月として歌うことになって、「あれ?」っていうのが正直な気持ちでした。だからしばらく実感がなくて……というか昨日、ようやく実感しました(※インタビューは9月上旬に実施)。

──昨日ですか?

はい。昨日、完成した「ヒカリ」の音源を初めて聴かせてもらって「あ、私、歌ったんだ」と驚いたのと同時に泣いてしまって(笑)。そこでやっと「自分は歌手としてデビューするんだ」と実感したんです。

──少し話が前後しますが、そのデビュー曲である「ヒカリ」のデモ音源を初めて聴いたときはどんな印象を受けました?

素直に「カッコいい! 素敵!」と思ったんですけど、一方で仮歌がお上手すぎて、一気に自信がなくなりましたね。「これを歌うんですか?」って。

──資料によれば、仮歌は「日本一の仮歌シンガー」こと凛さんが歌われたと(参照:凛「凛イズム」インタビュー|アイドル、仮歌シンガー、作詞家 紆余曲折で得た“凛イズム”)。

そうなんですよ。もう「このまま凛さんバージョンでリリースすればいいのに」「むしろ私はリスナーとしてこの曲を聴きたい」と思うほど完成度が高くて。でも、事務所の社長兼マネージャーさんから「これは千田さんが歌うことに意味があるから」と言ってもらえたので、がんばって歌ってみて、結果「私が歌えてホントによかった」と今は思っています。