子供向け楽曲やアニメ映画を制作、経営者×アーティスト里咲りさの挑戦 (3/3)

社長? シンガー? 放送作家? 全部やってみてたどり着いた境地

──里咲さんはシンガーだけでなく社長、放送作家、声優などさまざまな肩書きがありますが、とにかく幅広く手がけてきましたよね。

やりたいことがたくさんあって(笑)。教育系の声優も7年も担当していますし、いろいろなことをお仕事にできている環境が本当にありがたいです。

里咲りさ

──その中でまず、シンガーソングライターとしての活動がメインとなったのはなぜだったんでしょう?

社長もやりたい、芸能もやりたい、社会貢献もしたい、いろんなやりたいことがあって進路に悩んだのですが、早稲田大学に進学したあとに、全部選ぶのは欲張りすぎできっとできないだろうから、一旦、道を1つに絞ろうと考えたときに、エンタメの道に進むか、公務員の道に進むか、どちらで社会の役に立とうかと考えたんですね。それでエンタメの道に進むことを決めて、大学を辞めるんですが、高校生の頃からずっとギターで音楽を作ることに夢中だったし、やっぱり歌が好きだったから音楽から始めたんだと思います。そこから先ほどお話ししたZeppワンマンまで3年間活動するんですけど、そのあとにやっぱりいろんなことがやりたいし、社会貢献もしたいと思い、音楽活動やタレント活動をしながら、会社の運営含めて、開拓し始めた感じです。

──里咲さんの中では、最終的に自分のやりたいことを全部できるようにするつもりだったのでしょうか?

今、結果として、子供の頃にやりたかったたくさんのことから道を1つに絞ったはずが、音楽を起点にすべてがつながって結局全部できているんですよね。不思議ですよね。全部できているぞという感覚は特にこの1年で強く感じられるようになったのですが、それまでは、大学を辞めてから、とにかく無我夢中で目の前のことに全力を尽くしている感覚だけあって、何も想定していなかったです。ファンの人は、この数年、なんかいろんなことをやっているっぽいぞ、って温かく見守ってくれていました(笑)。

──一見脈略のない活動も無駄ではなく、結果的にすべて今の活動につながったのはすごいですよね。

本当によかったです。いろんなことを言語化したことで、自分の活動の輪郭も捉えることができました。自分のスタイルや価値観を確立できたからこそ、今取り組んでいる音楽制作やコンテンツ制作ができています。

──先ほど話題に挙がった、社会貢献活動はどのようなことを行っているんでしょうか?

社会貢献にも力を入れていて、骨髄バンクの歌を制作したご縁があって、2024年に、日本骨髄バンクさんのCMとポスターを制作させていただきました。私から黒柳徹子さんに出演をお願いさせていただいたのですが、快くお力添えいただきとてもうれしかったです。徹子さんと私が出演する形でCMとポスターが完成して、日本骨髄バンクに寄付をさせていただきました。ほかにも関心がある社会課題は多くて、今後も一層、社会貢献活動には力を入れていきたいと思っています。

里咲りさが制作した「日本骨髄バンク」のポスター。

里咲りさが制作した「日本骨髄バンク」のポスター。

夢が広がるアニメ映画製作

──現在製作しているアニメ映画についても、お話しいただける範囲で近況を聞いてもよろしいでしょうか?

多くの人が関わっているので、詳しいことはまだ言えないのですが、今、何年もかけて映画を作っています!

──さまざまな方との交渉も必要ですし、かなり大変そうです。

映画は音楽、映像、物語、細かくさまざまな要素が重要になる芸術で、大変ですがとてもやりがいがあります。ビジネス面でも本当にハードなことがたくさんありましたが、いろいろなハードルを乗り越えてこれましたし、それが自信になって、これまでの経験と合わせてうまくやれています。今進めている映画製作は国際的なやりとりが50%以上ですが、外交官を目指していたので、とてもやりがいを感じています。映画もずっとやりたかったことの1つなので、毎日心がキラキラしています。

──里咲さんがここまでアクティブになれる原動力とはなんでしょうか?

単純にエンタメをやりたい気持ちが本当に強いんだと思います。ちょっとやそっと大変でも、それ以上に何がなんでもやりきりたいという思いが強い。だから、エンタメを通して時代の流れの最先端を捉えるのも楽しいし、そのためにあるビジネスの交渉も刺激的で興味を強く持てていると思います。

──アニメ映画の詳細はもうすぐ発表できそうですか?

早く言いたいです!

──歯がゆそうですね(笑)。

作品を純粋に観てもらえるよう、私が制作に携わっていることを公表しないほうがいいかな……とすら思ってます。「実は関わっていたんです」ぐらいがちょうどいいかもしれない。私と関係なく楽しんでもらえる、「はこのなかからなにかがでてくる!」みたいな作品にしたいです。

里咲りさ

この曲、昆布の味がする

──今後の音楽活動の予定はいかがでしょうか?

最近はグローバルな市場で音楽アーティストを発掘して楽曲制作をしていたり、自分の音楽としては子供向けの曲を制作したりしています。子供向けの楽曲は定期的に発表したいなと思っています。いつか、大きな被り物を着けて自分が踊っている子供向けの曲とかもやってみたいです。

──里咲さんが手がけた子供向けの音楽や番組をチェックしていて、どんな作品から影響を受けたのか気になりました。幼少期に観ていた番組、聴いていた音楽で印象に残っている作品はありますか?

2歳ぐらいからテレビ番組の音楽を意識的に聴くようになったんですよ。その中でも「ポストマン・パット」というアニメが大好きでした。

──「ポンキッキーズ」内で放送していた、イギリスのストップモーションアニメですね。

そうそう! 大人になってからオープニングテーマの「ポストマンパット ポストマンパット 郵便屋さんとぶち猫ちゃん」って歌を思い出して、検索して、「ポストマン・パット」だ!となって。大人になってから観ても自分が好きな世界でした。大好きです。ほかには「キユーピー3分クッキング」のオープニングアニメとテーマソング(「おもちゃの兵隊のマーチ」)も気に入っていたみたいで、母親が「夢中になって観てた」と言ってました。あと、苦手な曲もよく覚えています。とある番組のオープニングが、なんて言うか、すごく酔う音で今も嫌いなんですけど、その酔う感覚を、車で酔ったときに食べた昆布に例えて「昆布の味がする」とか言って、ものすごく嫌ってました。

──昆布の味(笑)。

昆布は大好きなんですが、車に酔って気持ち悪いときの昆布の味(笑)。

──里咲さんはいわゆるコマ撮りのアニメがお気に入りだったようですね。

子供の頃に好きだったものって大人になっても好きだし影響は大きいですよね。音楽も、今の映画も、社長としてのお仕事も、好きなものって全部つながっていくものだなって思っています。直近の音楽のリリースですと、好きがどんどんつながって制作できた「はこのなかからなにかがでてくる!」が収録されている「シナぷしゅ」のCDとDVDが出たのでぜひチェックしていただけたらうれしいです!

V.A.「シナぷしゅ おせわになっております なるはやで、28きょくおききいただけると さいわいです」ジャケット ©TV TOKYO

V.A.「シナぷしゅ おせわになっております なるはやで、28きょくおききいただけると さいわいです」ジャケット ©TV TOKYO

プロフィール

里咲りさ(サトサキリサ)

群馬県出身、早稲田大学文化構想学部中退。2014年に活動を開始し、音楽制作と芸能活動のための事務所・フローエンタテイメントを個人で立ち上げた。2017年には東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にてワンマンライブを実施。その後事業を法人化し、映像、音楽、広告制作事業をスタートした。2023年からは群馬県のマスコットキャラクター・ぐんまちゃんのYouTubeチャンネル「劇団ぐんまちゃん」の制作を担当。さらにテレビ東京系の赤ちゃん向け番組「シナぷしゅ」に楽曲「はこのなかからなにかがでてくる!」を提供した。現在はアーティスト、タレント、声優、社長として幅広く活動している。