ナタリー PowerPush - 指田郁也

AORの魅力伝えたい 「バクマン。」エンディングテーマ

僕が目指しているのは、ずっと聴き継がれる曲を作っていくこと

──「君とさよなら」は、「パラレル=」と比べるとサウンドがすごくシンプルですね。

この曲はそんなに壮大なバラードにはしたくなかったんです。僕がプロデューサーさんに伝えたイメージは、ノラ・ジョーンズのような繊細な雰囲気ということで。だから基本は4リズムで、1音1音を大事にするようなアレンジにしてもらって。イヤホンで聴いたときに、耳のそばでささやいているような曲にしたかったんです。

──で、そこに先程おっしゃっていた、情感たっぷりの歌声が乗ったわけですからね。最高の仕上がりだと思いますよ。

「パラレル=」は車の中で聴くとすごく気持ち良いんですけど、「君とさよなら」は静かなところで聴いてほしいんです。”静寂”が売りと言ってもいい曲なので、静かな場所で聴けば聴くほど、楽器の音や声の深みが聴こえてくると思うので。このアレンジだと、気持ちが入っちゃってライブでも泣いちゃうかもしれないですね(笑)。

──曲が生まれてから時間が経っているにもかかわらず、泣いてしまうほどに曲へ入りこめるということは、その曲に込めた思いや、曲自体の魅力が全く色褪せていないことの証明でもありますよね。

そうですね。曲を作り始めたころから今に至るまでには、プラスに変わっているところももちろんたくさんあるけど、自分の芯はブレていないと思います。だから「君とさよなら」を今回音源化できたことは、改めて初心を確認するという意味でも良かったなって思います。僕が目指しているのは、色褪せることなく、どの時代でも愛される曲を作っていくことなので、この曲もずっと聴き継がれる曲になってくれたらうれしいです。今後もそれを目指して曲を書いていきます。

「100年ヴォーカリスト」

──資料には、指田さんの肩書きに「100年ヴォーカリスト」と大きく書かれていますからね。100年の間、色褪せずに鳴り響く楽曲を生み出していかないと。

「100年ヴォーカリスト」っていうのはだいぶ大げさですけど(笑)、気持ちとしては確かにそうですね。

──また、現在も精力的に制作を続けているそうですね。

はい。今、いろんなタイプの曲がいっぱいできているので、アルバムに向かって曲を選んだりしています。今まで見せてきた部分プラス、今までにない振り幅を見せられたら面白いだろうなって思ってます。現にそういう曲もありますし。

──指田郁也にはまだまだいろんな顔があるぞ、と。初期のドップリ暗い曲も聴いてみたいですしね。

アハハハ。そういう曲はストックの中にめっちゃありますし、今もどんどん生まれてきてるんで、そのへんもいつか世に出せれば(笑)。

インタビュー風景

2ndシングル「パラレル=」 / 2012年3月21日発売 / 1000円(税込) / Warner Music Japan / WPCL-11050

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CD収録曲
  1. パラレル=
  2. 君とさよなら
  3. パラレル= (instrumental)
  4. 君とさよなら (instrumental)

初回プレス分のみ「バクマン。」描き下ろしトレカ封入(3種類のうち1枚ランダム封入)

指田郁也(さしだふみや)

1986年東京生まれ。3歳からクラシックピアノを習い、15歳から作曲活動を開始。2010年にワーナーミュージック・ジャパンが主催する「VOICE POWER AUDITION」で、約1万人の応募者の中からグランプリを受賞する。同年10月にシングル「bird / 夕焼け高速道路」でデビュー。同時期に東京・日本武道館で開催された「WARNER MUSIC JAPAN 100年MUSIC FESTIVAL」ではオープニングアクトとして出演し、新人とは思えない堂々としたパフォーマンスを披露した。2012年3月、2ndシングル「パラレル=」をリリースする。