06. 風待ちハローワールド
［Music：add9（ヘリP）、Lyrics：かなき］

──先ほど、この曲は1stアルバムのときのテイクをあえて残しているとおっしゃってました。

たぶん今「同じように歌ってみろ」って言われても歌えないというか。このときのテイクが自分でもすごく気に入っていて、これはこれで完成しているなと思ったんです。ライブで何度も歌っている曲で、回を重ねるごとにお客さんのレスポンスがどんどんよくなるのも面白かったです。今ではみんなが楽しそうに手拍子してくれるのがうれしくて。

──アルバムはこの曲からミドルテンポのナンバーが続きます。

アルバムの中ではこの曲がいいターニングポイントになっているんです。個人的には「ここしかない」っていう場所にこの曲を持ってこれたと思っています。

07. 青
［Music & Lyrics：164］

──「青」は164さんとステージで共演されることも多い曲です。

この曲って“僕とひろしさん2人の曲”って思われがちなんですが、そうじゃなくてもともとはボカロの曲なんです。ただ僕にとって「青」はひろしさんとの出会いの曲なんです。

──この曲を歌うまではまだ164さんとの接点はなかったんですか？

「リセット」を歌わせてもらってる、くらいの間柄でした。「ETA」っていうライブイベントでスタッフから「『青』を歌ってみないか？」って言われて。それで初めてひろしさんと「青」をさいたまスーパーアリーナのステージで披露したんです。このときに、自分たちの音が会場に満ちていく感覚というか、さいたまスーパーアリーナを掌握した感じがしたんですよね。それでお互い思うところがあって、ひろしさんとはやり取りをするようになったんです。

──僕もライブで観させていただいたことがあるんですが、この曲ではりょーくんのボーカルはもちろん164さんの泣きのギターソロもすごく存在感があって。ボーカリストとギタリスト、どちらも並列に観れる感じがあって、「青」は2人の曲というイメージを持ってました。

そう言ってもらえるとすごくうれしいですね。ひろさんと一緒にステージに立っていると、音を出すものが喉とギターで違うだけで、同じ音を出してるような気がしてくるんです。そういう共通点を見つけるきっかけになる曲が「青」なので、本当に歌えてよかったなと思ってます。

08. 心拍数♯0822
［Music & Lyrics：蝶々P］

──蝶々Pさんの曲は“歌ってみた”で「心做し」も披露していますが、ベスト盤に「心拍数♯0822」を選んだのはなぜでしょうか？

やっぱりライブでやってきた回数が多いのが「心拍数♯0822」なんです。僕自身の思い入れも強いですし、ライブで観てくれた人にも「あの会場で聴いたな」って思い出してもらえればと思っています。

──ライブでは蝶々Pさんと一緒にステージに立つこともありましたね。

ピアノが引っ張っていくタイプの曲なんで、蝶さんとのステージは本当に楽しくて。「心拍数♯0822」ってBPMがちょっと速めの曲で、歌うのが難しいんですよ（笑）。だから何度もライブでやって、自分のものにしてきた感じがある曲ですね。

09. 永遠花火
［Music & Lyrics：謝謝P］

──「永遠花火」は、りょーくんが2011年に“歌ってみた”を投稿した曲ですね。

おそらく僕が投稿した“歌ってみた”の中で一番評価された曲だと思います。「『永遠花火』の人」みたいに言われることもありましたから（笑）。ベスト盤のために再レコーディングをしたんですけど、自分も成長したんだなっていうのを感じた曲ですね。

──どういうところでその成長を感じましたか？

動画を投稿したときからもう3年以上経ってるんですけど、前の動画って今聴くと「ちょっとくどいかな」っていう部分があるんですよ。でもこの曲は僕の動画の中で一番聴かれているものだから、自分の昔の歌い方っていうのも大事にしたくて。昔の自分に合わせて歌うというか、過去の自分と共作してるような気分でレコーディングをしたことで自分が成長したと実感しました。

10. シリョクケンサ
［Music & Lyrics：40mP］

──続いて40mPさんの「シリョクケンサ」です。

「シリョクケンサ」は原曲を聴いてすごく好きになった曲で。本当に歌えてよかったなって思ってます。40mPさんの曲って落ち着いた感じのものが多いんですけど、「シリョクケンサ」はよく聴いてみると楽器のキメが多い曲で。実はけっこうシャキシャキしてフレッシュな曲調なんです。

──この曲を境にバラードが続く流れから、ロック路線に切り替わっていきますね。

アルバムの中でも、いいアクセントになってる曲だと思うんですよね。ここからググっと流れが変わりますし。

──これまで10曲振り返っていただきましたが、バランスよくいろんな作家さんの曲が盛り込まれたベスト盤になっていますね。

僕自身の思い入れが強い曲や、「りょーくんといえば」という曲を選んでいるんですけど、お客さんだけじゃなくて、作家さんにも「ありがとう」「お世話になりました」を言いたいと思ったから。あんまりバランスを考えて選曲したわけじゃないんですけど、僕の場合は全員と面識があって、全員と直接やり取りをしたことがあるから、1人ひとりとのストーリーがある曲が自然と選ばれていったんだと思います。