ナタリー PowerPush - rieco

音楽塾ヴォイスの秘蔵っ子 資生堂CMソングで待望デビュー

日本語の良さを生かした、海外にも通じる音楽を

──ヴォイスで学んだあとは、いろいろな音楽コンテストに出場して賞を獲得されていますね。

はい。でもそうやってコンテストに出たりする中で、あるとき完全に海外で音楽をやりたいと思った時期があって。L.A.の学校で学ぼうと準備までしてたんですけど、同じ頃久々に西尾先生と連絡を取ったら「ちゃんと一度(日本の)メインストリームでがんばってみないか?」というアドバイスをいただいて。

──その言葉で進路が変わった?

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そうですね。私自身もそうだなと思って、すぐ海外へ行くよりはまず日本でできることをやっていこうと。それからは日本の覚えやすいキャッチーなメロディと洋楽のエッセンスを組み合わせた表現を独学で勉強していきました。今までは完全に洋楽をやりたいと思ってたんですが、今は日本語を使って、ちゃんと海外にも通じるものを目指したいと思ってます。

──話は少し戻りますが、先程「昔は自分の声が嫌いだった」とおっしゃいました。その辺りはヴォイスを出たことで何か変わりましたか?

それもやっぱり西尾先生の言葉が大きくて。在校中ずっと「大丈夫だから、その声を大事にしてやっていこう」と声をかけてくださり、ひたすら自分の声を好きになれるよう練習して歌を磨き上げていきました。これからも自分のこの声を生かした、自分にしか歌えない歌い方にどんどん挑戦していきたいと思っています。

すべては最高の自分になるためにつながってること

──曲作りに関しては、現在どういった方法で取り組んでいるんですか?

「よし、曲が書きたい!」と思ったら、おもちゃのキーボードを抱えて地元の海や山へ行って。海なら砂浜にキーボードを立てて、空や夕陽を見ながらポロンポロンと音を鳴らして書いていくことが多いです。たまに滝がバーッと落ちてる岩の前で弾いたりもしますよ(笑)。

──それ、周りの人はどんな感じで見てるんですか?

おじいちゃんやおばあちゃんには「なんば弾きよっとね?」って訊かれて「曲作ってるんよー。1曲聴かせちゃりんね」って演奏したりもします(笑)。

──へえー、すごい! riecoさんの中では、そういう自然の中で見える景色が主にアイデアの源なんですね。

自然の風や色を感じて作るときはそうですね。で、何か出てきたぞってなったらそれを家に持ち帰って。ヴォイスの理論などにのっとって、そこからちゃんとした曲の形に組み立てていきます。

──デビューシングル「Shining」に関しては、どういう作り方をしたんでしょうか? こちらはそういう“自然の景色を落とし込んだ”ものではないですよね。

そうなんです。あるイメージを浮かべて作ったのは一緒なんですが、自然の景色ではないパターンですね。この曲は資生堂さんのCMタイアップをいただけたこともあり、輝く大人の女性を思い描いて作っていきました。

──ご自身ともちょうど同世代の女性像ですよね。

元々私もそういうイメージの曲を作りたいと思っていたので、資生堂さんのリクエストと一致したというか。世の働く女性たちって、毎日のようにいろんなアップダウンを繰り返しながらも、どっしりした自分の核というか、消えない輝きのようなものを持ってるんじゃないかと思うんです。自分も含めて、そういうブレのない何かが誰の胸にもあるんじゃないかと思ったときに、それを大切に信じていこうっていう曲を書きたいと思って。特に「迷いながら 歩いた道も 一つ一つの奇跡につながっていく」っていうところは、アップダウンも全て最高の自分になるためにつながってることだから大丈夫っていうメッセージを込めました。

──ちなみに、それはriecoさん自身の願いでもありますか?

そうですね。願いでもあるし、自分のこれまでの経験からも言えることだと思います。私も歌手の夢をあきらめそうになったり、「遅いよ」って言われたこともあったんですが、それでも自分を信じてやってきたら扉が開けたんだと思います。

夢は絶対に叶う世界

──カップリングの「NEVER.」は、人生で2番目に作った曲だそうですね。

はい。これは私が17歳で作った曲なんですが、最近は全然歌っていなくて。ヤンマーさんのタイアップをいただいて約10年ぶりに歌わせていただいたら、どこか原点に戻ったような気持ちになりました。

──「Shining」とはガラッと曲調が異なりますが、“自分を信じる”というテーマは一緒なのかなと。

そうなんです。楽曲のアプローチは違うけど、1枚のシングルで同じメッセージを伝えられたのかなって思います。

──もう一方のカップリング「HULA GIRL(NIJIWO)」は、ジェイク・シマブクロさんの曲のカバーですね。

元々私がハワイ好きということもあって、映画「フラガール」のメインテーマ曲だったこの曲をカバーさせていただきました。でも原曲とは少しアレンジを変えて、さざ波の音や、自分の好きなサウンドもちょこちょこ入れてます。海岸をドライブしながら聴けるような曲にしたいと思ってたんです。

──この曲は特にキーが高いですが、そもそも何オクターブくらい出るんですか?

測ったことはないんですが……。

スタッフ 4オクターブくらい? ファルセットも入れたらもっといく?

あ、じゃあそれくらいかもしれないです(笑)。

──今回の音源を聴いて、そういった音域の広さや表現力に関してズバ抜けた実力をお持ちだなって思いました。その武器を生かしつつ今後は世界にも通用するアーティストになっていきたいという感じなんですか?

そうですね。まずはちゃんと日本のアイデンティティを持った音楽をやっていきたいと思ってて、それから日本の良さみたいなものも世界に伝えていけたらいいですね。

──福岡からいずれは世界へ。夢は広がるばかりですね。

大きなことを言ってると思われるかもしれないけど「夢は絶対に叶うんだ」って私は信じているので。夢を信じられないって、すごく悲しいことじゃないですか? 誰にでも夢や好きなことはあると思うし、それをもう一度思い出してもらえたり、背中を押してあげられるような楽曲を書き続けていきたいと思っています。

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ニューシングル「Shining」/ 2012年7月4日発売 Future RECORDS, Inc.

収録曲
  1. Shining
  2. NEVER.
  3. HULA GIRL(NIJIWO)※通常盤のみ収録
通常盤 DVD収録内容

Shining、NEVER.、HULA GIRL (NIJIWO)、ほかカバー曲2曲 アコースティックライブ映像を収録予定

rieco(りえこ)

福岡県出身のシンガーソングライター。4歳からドリマトーンを弾き始め、中学生の頃から作詞作曲を開始する。「音楽塾ヴォイス」にて作曲理論を学びつつ、2010年に地元・福岡の新人発掘プロジェクト「FUKUOKA Music Factory」でグランプリを受賞。2011年3月にインディーズでミニアルバム「Freeway」を発表し、2012年7月に日本コロムビアよりシングル「Shining」でメジャーデビューを果たす。アジアを中心に、国外でのライブ活動も積極的に行っている。