Reol×小田さくら(モーニング娘。'23)が“歌い手”として語り合う (2/3)

つんく♂ロイド

──先ほどReolさんがおっしゃっていた「演者に徹する楽しさ」について、小田さんはどう考えていますか?

小田 モーニング娘。は私が幼い頃から存在してくれて、小さい頃からの憧れでした。私は好きなもののためならがんばれるので、メンバーが変わっても「モー娘。はモー娘。だな」と思ってもらえるように日々がんばっています。それと私はつんく♂さんのこともつんく♂さんの曲もずっと大好きなんですが、つんく♂さんはもう自分の声で歌うことができなくなってしまったので、おこがましいかもしれないですが、つんく♂さんの喉になれたらいいなと思ってます。「つんく♂さんが何を表現したくてこの曲を作ったのか」ということを考えて、「つんく♂さんだったらどう歌うか、どう曲に寄り添っていくか」って想像するのも楽しいです。

Reol 今の話を聞くと、ボーカロイドならぬ“つんく♂ロイド”みたいなところがあるのかもしれないですね。初音ミクじゃないけど。

小田 そうかもしれないです。「曲」「グループ」「ファンの方々」「メンバー」「自分」のすべてに愛がないとモーニング娘。は全うできないと思っています。

左からReol、小田さくら。

左からReol、小田さくら。

Reol 私にもチームはいますが、それぞれの役割分担があって。でも、モー娘。は同じ役割の人たちの集合体だから、そこにも私にはわからない大変さがあるんでしょうね。

小田 確かにそうですね。みんなで同じ動きをしてるけど、そこで振りを少し変えるとかじゃなくて、「同じことをやってるのになんで小田ちゃんはこんなにキラキラしてるんだろう」と思われなくちゃいけないと意識してますね。「私を見てないと損だよ!」って思いながらやってます。

Reol そのハングリーさがずっと消えないのはすごくいいですね。

小田 グループのおかげだと思います。「そうやってモーニング娘。は25年間活動してきた」と思うと、そういった気持ちは消えないですね。

──モーニング娘。の伝統を守りつつ、自分の色をどう入れるかということについてはどんなことを考えているんですか?

小田 世間的に「歌が上手な人」というと高音でビブラートで、みたいなイメージがあるかもしれないですが、私としてはストーリーテリングができる方の歌に惹かれるんです。自分の感情を歌を通じて伝えるというよりは、例えばりんごに関する歌詞を歌うとしたら、歌うことで聴き手がりんごを思い浮かべられるような。「初恋」って歌ったら、聴き手が自分の初恋を思い出してくれるような歌が好きなんですよね。そういう歌が歌える、いわばストーリーテラーのようになりたい、という信念はブレずに活動できていると思います。モーニング娘。のことが大好きなので、例えば辻(希美)さんらしさや高橋愛さんらしさ、石川梨華さんらしさだったり、これまでのメンバーの個性を凝縮して表現できたらいいなって思ってます。

Reol いろんな時代のスクラップみたいな感じ。

小田 はい。たくさんの方を通じてモーニング娘。のよさを感じてきたので、あとは「モーニング娘。が大好きだ」っていう気持ちも伝わればいいなって思ってます。

お互いに出発点が対極なのかも

──この機会に小田さんからReolさんに何か聞いてみたいことはありますか?

小田 あります! Reolさんは曲によって声を変えていますが、あれは意識されてるんですか?

Reol 私は歌詞を書く際に、その曲の情景描写の正解みたいなものがあって。それによって「こういう声で歌うべきだろう」みたいな要素が1つひとつ増えていくんです。「こういう声を出そう」と意識して出していて、そこには必然性があるというか。さくらちゃんの声は幅が広くて、いろいろな声色や表情が出る声だけれど、私の声はちょっとアンドロイドっぽさがあるんですよね。それによって、声に表情が少し乗りにくかったりする。20代前半は「曲の幅が狭くなるんじゃないか」と思って悩んでました。

小田 そうなんですね。私が特にハマったReolさんの“歌ってみた”が「アストロノーツ」で、オリジナル曲だと「サマーホラーパーティ」とか「mede:mede」とか、「ちるちる」なので、声からReolさんの人間味を感じたかったんだと思います。

Reol

Reol

小田さくら

小田さくら

Reol ああ、ちょっと湿気がある感じの歌ですね。

小田 そういった楽曲のReolさんの声が一番好きですね。Reolさんの歌がすごいなと思うのは、しっかりとした核があったうえで、その周りでさまざまなアプローチをしてるところ。だからこそ、どんな曲でも「Reolさんの声だ」って一発でわかる。私は根底から変えるっていう方法しか持っていないので。

Reol もしかしたら人間としての出発点が対極なのかもしれないですね。ステージという場所でストーリーの語り部、演者でありたいと思っているさくらちゃんと、「自分が書いた小説を読んでほしい」というタイプの私だとボーカルアプローチが変わってくる。

2023年10月17日更新