Redhair Rosy「turn red」シリーズ完結|Ryosei Yamada(Vo)が赤く熟したバンドの変化を語る (2/2)

笑い続けることが俺にとっての反撃

──「みんなと一緒や」という気持ちは、「嘆こうや 日が暮れるまで」という歌詞にも表れているように思います。

まさに、そういう思いを込めたリリックです。今の世の中を見渡すと「みんな病んでいるな」と思うけど、俺は病んでないんですよ。別に穏やかな人間ではない。実はずっと怒ってるし、世界情勢とかのニュースを見ていると感情が抑えきれなくなったり、その瞬間は病んでしまったりすることもあります。だけどしょうもない話をできる仲間がおるから、毎日、笑顔になっている時間が必ずあって。俺が病まずにいられているのは、家族やメンバー、友達に愛情を注いでもらっているから……そういう環境にいられているのは俺の実力じゃなくて、たまたまなんですよね。恵まれた環境にたまたまいる俺が何をするべきかと言うと、やっぱり愛を配るべきやと思ってる。けっこう大きなことを言ってますけど、まずは100人、次は500人と、ちょっとずつ規模を大きくしていけたらいいなと考えています。そういうところから「みんなとキャッチボールしたい」「みんなにリリックを覚えてもらいたい」「歌いたくなるようなフレーズを」という思考に変わってきていて、楽曲も変わってきているというか。

Ryosei Yamada(Vo)

──たまたまとはいえ、愛を配る側に回ろうと思えるのは、なかなかできることじゃないと思います。

こないだMBTI診断をやったんですけど、俺、ジョーカー(「バットマン」シリーズに登場するヴィラン)と同じタイプやったんですよ。たぶん、俺に愛が入ってなかったら、とんでもないやつになってる(笑)。ジョーカーにならずに済んでいるのは、やっぱり周りの人たちのおかげ。そのうえで自分は歌うことが好きで、楽器ができて、手も足も動いて、協力してくれる人たちもいるわけだから……そういうものをエゴのために使おうとは思わないですよ。もし楽しさを求めてライブハウスに来たり、「会社が嫌だ」とか「生活しててつらい」と思いながら音楽を再生してる人がいるんやとしたら、その人がちょっとでも自由になれるような音楽を届けたい。その人たちの前に広がる景色を、音楽でちょっとでもよくしたい。勝手なことを言ってますけど、それが俺のやるべきことなのかなと思ってます。

──でも、怒りを感じることもあると言っていましたよね。その怒りはどこへ向かうんですか?

今は胸の奥にしまってます。怒りを表に出すのはあまりにも簡単やし、何も生まないと思う。だったら「目には目を」的な戦い方をするんじゃなくて、腹が立っているからこそ怒りをグッとこらえて、俺は友達とずっと笑っといてやろう、みたいな。これは俺にとっての反撃なんです。

──つまりRyoseiさんにとってのロックであると。

そうですね。俺のスタイルは完全にロックです。ミサイルが落ちたというニュースを見ると「クソが」って思うし、自分が仲間と笑い合えているのはホンマにたまたまなんやなと思う。だからそこに、とにかく感謝している。永遠に続くものではないこともわかっているから、幸せを噛み締めている。だから音楽を作って、この幸せを閉じ込める。「なんて素晴らしいことだろう」と日々思ってます。ホンマに感謝してます。

──「風切る」の「風切るmusic それは誰も傷つけない刀」という歌詞は、今のお話と重なりますよね。ピースフルな環境を作ることが、時代への反撃であるという。

ああ、確かに。リリックはフリースタイルで書くことが多いので、あとから「これはどういうつもりで書いたんやろ?」と思うことがけっこうあるんですよ。この部分も、メロディがまず先にあって、とりあえず歌ってみたら自分の口がそう言っていた……だから自分でもよくわかっていないし、そもそも「風切る」って何?っていうのもわかっていないんです。だけど俺は「音楽で誰かをぶん殴りたいわけじゃない」「けど、何かを切りたい」という気持ちがあるから……そういう意味なのかもしれない。めっちゃいいヒントもらえました。ありがとうございます(笑)。

Ryosei Yamada(Vo)
Ryosei Yamada(Vo)

とんでもないエネルギーが渦巻いている

──Ryoseiさんにとってバンドでの制作は、仲間とともに笑える喜びに満ちた時間かと思います。今回の制作中にも、そういった喜びを感じられた瞬間はありましたか?

たくさんありました。それこそ「風切る」は演奏もめっちゃ楽しかった。俺は「今の時代を生きる自分らやからできる音楽」というところにフォーカスを置いていて、昔のロックも大好きだけど、リバイバルをやるつもりはないんですよ。だけど「風切る」では、あえて昔ながらの手法で挑んでみた。俺らの楽曲にはシーケンスが入っているので、「パソコンが止まったときに、ちゃんと演奏できるのか?」という疑問がふとよぎった瞬間があったんです。バンドなんだからそれじゃダメやし、そもそもやっていないだけでできるだろうから、「風切る」は初めてバンドサウンドのみで仕上げて。できあがった曲を聴いて純粋にいいと思えたし、塩で食うみたいな感じで気に入ってます。だけどリリックは昔の人じゃ書けへんものにしようと思って、「リール」とか今の時代ならではの言葉を入れました。「刺したピン」は地図アプリのピンのこと。サウンドと歌詞のバランスも自分たちらしいものになったと思ってます。

──その「風切る」も含め、今作は、今までとは違う環境でレコーディングしたそうですね。

心斎橋のCONPASSというライブハウスでレコーディングしました。京都GROWLYが閉店して、ホームと言えるライブハウスを失った自分らを温かく迎えてくれたライブハウスです。今までは普段練習するようなスタジオで録っていたんですけど、今回はライブハウスなので、広い空間を使わせてもらって。Taito(G)がギターを録っている隣で、俺が曲を書いて、Ryoma(VJ)は映像を作って……というふうに3、4つくらい同時進行していたんですけど、それがすごく楽しかったですね。仲がいいからこそ「アホ」とか「ボケ」みたいな荒い言葉も飛び交いつつ、「今この場所にはとんでもないエネルギーが渦巻いているな」と感じられました。充実した時間でした。

──最後に、梅田CLUB QUATTROで開催するワンマンライブ「turn red」について聞かせてください。

俺、クアトロが大好きなんですよ。外タレのライブをよく観に行っていて。憧れの場所に立てるなんて最高やと思って「出たいです」と言ったけど、よくよく考えたら「ヤバいな」「そもそもキャパ、ナンボや?」みたいな(笑)。決まった当初は「この壁を乗り越えて」という意識があったけど、ライブに向けてたくさん練習をする中で当日が楽しみになってきました。とにかくいいものをみんなに観てもらいたいなというモチベーションです。

──どんなライブになりそうですか?

普段ナイトクラブでやっているライブを“ギグ”と呼ぶとしたら、今回のワンマンライブは“ショー”。ひと味違うものになると思います。2時間くらいやるつもりなんですけど、今15曲しか出してないから、全曲演奏しても1時間で終わっちゃうんですよ。あとの1時間どういう内容になるのか。察しのいい人には伝わっていると思うんですが。それとライブ当日には発表もあります。それも含めて楽しみにしていてほしいです。

Ryosei Yamada(Vo)

公演情報

Redhair Rosy 1st ONEMAN LIVE turn red

2026年3月27日(金)大阪府 梅田CLUB QUATTRO

プロフィール

Redhair Rosy(レッドヘアーローシー)

Ryosei Yamada(Vo)、Taito Katahira(G)、Yu Ando(Dr)、Keisho Maeda(G)、Ryoma Matsumoto(VJ)、Masayuki Matsunaga(B)からなるロックバンド。2024年4月に活動を終了したバンド・the McFaddinのメンバーで構成されており、“矛盾”をテーマに掲げた楽曲を制作している。2025年1月に1st EP「turn red Ⅰ」を配信リリース。同年7月に「turn red Ⅱ」、2026年3月に「turn red Ⅲ」をリリースした。2026年3月27日に大阪・梅田CLUB QUATTROで初のワンマンライブを行う。