ナタリー PowerPush - Ray
キュートなアニソンシンガーがニコニコ語る オーディション連敗の軌跡と今と未来
「何よっ、審査員特別賞って!」
──オーディションに積極的に打って出たのが小学3年生。7~8歳となると、デビューまでにはずいぶんと時を待たなければならなかったというか……。
はい、けっこうな回数落ちてました!(笑) オーディションではきまってけっこう上のほうまで行ってたんですけど、いっつも準優勝とか審査員特別賞止まりで。
──それって余計に悔しいですよね。いっそ箸にも棒にもかからなければ割り切れるんだけど……。
そうなんですよ! ちっちゃいトロフィーをもらっては「何よっ、審査員特別賞って!」って思ってました(笑)。一応そういうオーディションをきっかけに、お声掛けをいただくこともあったりはしたんですけど、やっぱりプロへの道のりは厳しくて。そんなことを繰り返してるうちに、おっきくなっちゃってました(笑)。
──すごく朗らかに笑ってますけど、準優勝止まりだったり、なかなかプロになれなかったりしたことに対する挫折感や敗北感は?
もちろんありました。でも今もそうなんですけど、歌以外やりたいことが思い付かなくて。確かに高校卒業の頃、進学も考えたんですけど、結局思い浮かぶのは音楽につながる道だけ。実は一時期声優さんの学校に通おうとしたことがあったんですけど、最終的には歌うこと以外は考えられなかったんです。
──ハートが強いなあ。それってある意味、進学や就職はせずに“歌手志望のフリーター”になったってことですもんね。
そう言えばそうですね(笑)。でも実家暮らしだったから、ごはんや生活費については甘えてましたし。それにその頃は母親がずっと応援してくれていて。オーディションやライブがあるとなると北海道の端から端まで移動することもあったんですけど、いっつも母親がクルマで連れて行ってくれてたんです。「これ、家族旅行だよね!」なんて明るく言いながら。だから歌い続けられたのかもしれませんね。
「道内で活動しててよかったー!」
──デビューのきっかけってなんだったんですか?
数年前、北海道でのイベントに出たときのDVDを知り合いの方に資料として渡しておいたら、北海道を拠点に活動している(音楽制作集団)I'veさんに「こういう子がいるんだけど」って渡してくださって。そこから運よくいろいろお話が進みまして……。
──ただRayさんの公式サイトのインタビューによると……。
ものすごく失礼なことに、I'veさんのことをほとんど知らなかったんですよ(笑)。お名前を聞いたときも「ふーん、変わった名前の人たちだなあ」って感じで。KOTOKOさんや川田まみさんの曲は聴いていたんですけど、お2人の存在とI'veの存在がまったくつながってなくて。だからI'veさんとの出会いはホントに偶然というか。それだけに声をかけてもらったときには「やっと見つけてもらえた!」って気持ちでいっぱいでした。あと「道内で活動しててよかったー!」って(笑)。
デビュー前の私を知る人ほど私の声には気付けない
──そして去年の2月に「あの夏で待ってる」のオープニングテーマ「sign」でデビューします。周りの反応は?
スクールで一緒にステージに立っていた子たちは「sign」を聴いても私の曲だって気付かなかったみたいです(笑)。
──なぜ?
デビュー前はセリーヌ・ディオンやマライア・キャリーが好きな母の影響もあって、わりとノドを開いて太めの声で歌い上げる系の曲を多く歌っていたので。その印象が強かったのか、周りからはまったく気付いてもらえませんでした。
──じゃあちょっとノスタルジックなメロディをさわやかに歌う“The I'veサウンド”である「sign」は……。
私の音楽活動の中で一番の挑戦でした。かわいく歌ったことがなかったので(笑)。
──そんなRayさんはどうやってかわいくなったんですか?(笑)
編曲の高瀬(一矢)さんととにかく話をしました(笑)。アドバイスというか、それこそ「もっとかわいく!」って言われながらデビュー前の自分とは違う、でも自分にしかできない歌い方を探りながら作ったのが「sign」なんです。
──それってある意味歌い方を矯正されたということですよね?
あっ、ムリヤリやらされている感覚は全然なくて。曲のイメージに合わせていろいろと探っていった結果なんだと思います。逆に「sign」を歌ったことで私の中の新しい引き出しをたくさん見つけてもらったイメージですね。で、そのいろんな引き出しを「RAYVE」っていうアルバムで全部開けてみたって感じなんです。
──確かに「RAYVE」ってバラエティに富んだアルバムですよね。ド王道のアイドルポップ「向日葵」もあれば、ストレンジなアレンジの上に美メロが乗るダンスチューンの「告白」もあるし……。
私がリクエストして「baby♡macaron」っていう電波曲も作っていただいて(笑)。逆にバラードも歌いたいから「Altair」も入れていただいて。「RAYVE」って、私の「あれしたい、これしたい」が詰まった1枚なんです。
- ニューシングル「lull~そして僕らは~」 / 2013年10月30日発売 / GENEON UNIVERSAL
- 初回限定アニメ盤 [CD+DVD] 1890円 / GNCA-0309
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1890円 / GNCA-0310
- 通常盤 [CD] 1260円 / GNCA-0311
CD収録曲
- lull ~そして僕らは~
[作詞:川田まみ / 作曲:中沢伴行 / 編曲:中沢伴行、尾崎武士] - I’m MONSTERちゃん
[作詞:三重野瞳 / 作曲・編曲:IKUO] - lull ~そして僕らは~(instrumental)
- I’m MONSTERちゃん(instrumental)
初回限定アニメ盤付属DVD収録内容
- 凪のあすからPV
- イメージビデオ(「lull~そして僕らは~」ver.)
- アニメノンテロップオープニング映像
- 「lull ~そして僕らは~」PV -short size-
- Special Spot
初回限定盤付属DVD収録内容
- 「lull ~そして僕らは~」PV
- PV Making
- Special Spot
- イメージビデオ(「lull ~そして僕らは~」ver.)
- アニメノンテロップオープニング映像
Ray(れい)
北海道出身の女性シンガー。2012年2月、テレビアニメ「あの夏で待ってる」のオープニングテーマにして、アニメ「Air」のテーマソング「鳥の詩」で知られる折戸伸治、KOTOKO、I'veの高瀬一矢といった豪華作家陣を迎えて制作されたデビューシングル「sign」がオリコン週間シングルランキング11位をマークし、大きな話題を集める。同年10月にはアニメ「To LOVEる -とらぶる- ダークネス」のオープニング曲「楽園PROJECT」を、2013年2月にはアニメ「AMNESIA」のエンディング曲「Recall」を、同6月には川田まみら、音楽制作集団・I'veのクリエーターを中心に制作された1stアルバム「RAYVE」をリリース。青春ポップ、ギターロック、テクノ、電波ソングなど、幅広いジャンルの楽曲を巧みに歌いこなし、若手最注目のアニソンアーティストとしての地位を確固たるものとする。さらに2012年8月と2013年8月には「Animelo Summer Live」に連続出演。そして2013年10月にはアニメ「凪のあすから」のオープニングテーマ「lull ~そして僕らは~」をリリースする。