ナタリー PowerPush - PINC INC

CUTEでハイテンションなポップ・パンクを武器に2009年の音楽シーンを“PINC”色に染める

アルバムができてからも、どんどん新しい曲ができている

——アルバム「もっとキミ色に染まりたい」の制作にはどれくらいかかりましたか?

去年の9月にアルバムを出すことが決まって、今まであった曲や新曲を全部レコーディングしちゃえってことになって、20曲くらいを10月にレコーディングしました。その中から12曲を選んだんです。本当は20曲全部入れたかったんですけど、それはアカンって言われたんで(笑)。

——収録曲の12曲は、これまでのシングル4曲含めバラエティ豊かですよね。制作の際には自分でこういう曲が歌いたいというリクエストをしたりしましたか?

サウンドはパンクやロック、テクノとかいろいろミックスしてるけど、歌詞を乗せたときに耳に残るメロディが好きなんです。だから、覚えやすくてちゃんとメロディが聞こえてくるような曲を選んでます。

——実際にバンドのアンサンブルも、いろんな音がぎっしり詰まっているというよりは、シンプルな編成で歌を活かすアレンジがされてますよね。

そうですね、そういうバンドが目標なので。

——特に「これは絶対に聴いてほしい!」というオススメ曲はありますか?

PINC INCをすでに聴いたことがある人には、「いくつになっても・・・」というちょっと変わった感じの曲を聴いてほしいですね。このアルバムで初めてPINC INCに触れるという人には、アルバムタイトル曲の「もっとキミ色に染まりたい」かな。

——確かに「いくつになっても・・・」は、今までとちょっとタイプが違いますよね。アルバムを聴いていても、この曲になるとハッとさせられるし。ここまでクオリティの高いアルバムを作ると、次が大変じゃないかなと思うんですが。

まだまだいい曲がいっぱいあるんですよ(笑)。

——今回のアルバムから漏れた曲も、シングルだったり次のアルバムに入ったりする可能性があるわけですね。

はい。でもアルバムのレコーディングが終わってからも、どんどん新しい曲を制作してるんですよ。

——制作スピードがすごく速いですね。スタッフの皆さんは、今のPINC INCが持ってるスピード感を殺したくないんでしょうね。

そうだと思います。

——PINC INCとして今後やってみたいことはありますか?

しっとりしたミディアムナンバーやバラードも歌ってみたいし、今のPINC INCサウンドを基本にして、これからもいろんなジャンルの音楽に挑戦していきたいですね。その中で“PINC INCらしさ”をどんどん出していけたらいいなと思います。

PINC INC写真

ボーカリストとしてYUKIやミスチル桜井が目標

——現在は大阪を中心にライブを行っているんですよね。関西以外のファンはなかなか観る機会がないと思うんですが、やっぱり今後はツアーもやってみたいですか?

ライブはいろんなところでやってみたいです。でもそのためにはお客さんが来てくれないとできないので(笑)、今年はこのアルバムをきっかけに、PINC INCをもっとたくさんの人に知ってもらいたいですね。

——最近は碧井さんと同年代の女性アーティストが、ガンガン活躍してますよね。男性よりも元気あるな、パワーあるなと思うことが多いんですが、そんな中でPINC INCが「ここが他とは違う!」とアピールしていきたい部分はどこでしょう?

最近あまり、男の子3人に女の子1人のバンドっていないじゃないですか。だから、ポップでキュートな曲をバンドサウンドに乗せて歌っているグループの代表としてがんばっていきたいですね。

——それこそJUDY AND MARYだったり。

はい、まさにそうです。バンドとしてもジュディマリが目標なんです。

——ジュディマリが活躍したのは、碧井さんが小学生の頃ですよね?

高校の先輩たちがジュディマリやモンパチ(MONGOL800)、ハイスタ(Hi-STANDARD)をコピーしていたのを聴いて、自分でも聴くようになったんです。それと歌詞がはっきり聞こえて共感できるという意味では、Mr.Childrenも大好きですね。ミスチルの歌詞には何回も聴いているうちにいろんなことが見えてくるものが多くて、私もそういう歌詞を作れたらいいなとよく思ってるんです。

——ジュディマリのYUKIさんもミスチルの桜井和寿さんもよく声が通って、歌詞がはっきりと耳に入ってくるし、聴くたびに考えさせられたり、また聴く瞬間によって歌詞が違った意味に聞こえてきたり、そういう歌い手ですよね。

ボーカリストとして、最終的にはそういうところを目指していきたいですね。

PINC INC(ぴんくいんく)

碧井椿(Vo, G)を中心に結成された4ピースバンド。2008年2月、後に2ndシングルとしてリリースされる「キミにHUGされていたい」のデモテープが関係者の耳に止まり、デビュー前にもかかわらず、複数のTV番組のテーマソングに抜擢される。

2008年3月、大人気コミックの初ドラマ化作品「ワイルドライフ ~国境なき獣医師団R.E.D.~」のテーマソング「デンジャラス・ラブ」でデビュー。等身大の女の子の気持ちを力強く代弁するボーカル碧井椿の凛としたハイトーンボイスと、キャッチーなメロディ、エレクトロ / エモ / フォーキーなど楽曲ごとにさまざまな要素を取り入れながらも、一貫してキラキラしたスピード感溢れるサウンドを特徴とする。

2008年5月、ヒットメーカー大野愛果とメロコアバンド・MR.ORANGEの森下志音(現Naifu)が楽曲を手がけ、デビュー前のTVオンエアで話題となった2ndシングル「キミにHUGされていたい」をリリース。2008年8月、パンキッシュさを前面に打ち出した3rdシングル「週末大キライ」をリリース。2008年10月、テレビ東京系アニメ「ゴルゴ13」オープニングテーマとして、クールで疾走感溢れる4thシングル「So faraway」をリリース。

デビューから7カ月の間に4枚のシングルをリリースした勢いのまま、2008年11月には上木彩矢が出演する神戸大学六甲祭ライブにオープニングアクトとして出演。数千人の観客の前で堂々としたパフォーマンスを行った。

09年1月28日、デビュー10カ月目にしてついに待望の1stアルバム「もっとキミ色に染まりたい」をリリースする。

PVの視聴はこちら