音楽ナタリー Power Push - PIGGY BANKS
30代ガールズバンドの覚醒モード
結成してみたら曲を作る人がいなかった
──続けるうちにバンドの方向性も見えてきましたか?
yoko カッコいいバンドをやりたいというのはあったんですけど、最初の1年は模索していた感じ。なかなか方向性が見えなかったけど、プリプロも入れて今回のレコーディングで、ようやく「PIGGY BANKSはこれでいいんだな」というのが見えてきて、自分たちも納得できるようになったというのがありますね。
akko バンドって、曲を作りたい人がいて、そこに対して人が集まってくるものだと基本的に思ってるんですけど、この3人はちょっと違ってて。バンドやりたいよねって集まってみたら、「おお、曲作る人いねえ」と気付いて(笑)。どうすんの?って正直思ったんですけど、何かをやりたいという気持ちを持った3人が集まったんだから、この3人にしかできないことをゼロから見つけないと、と思って、苦手な曲作りをやってみたりとか、みんなで試行錯誤したんです。「タイムスリラー」は、その試行錯誤が詰まってるアルバムなのかなと思います。
──確かにakkoさんは、GO!GO!7188では歌詞担当でしたね。
akko そう。私は歌詞を書きたい人で。yokoちゃんも作詞をするから。歌詞にこだわる人はいても楽曲にこだわる人は、このバンドにいないんですよ。そこでどういうやり方を見つけていくか、試行錯誤して。
──でもTOKYO KILLERではインストの曲を書いてるから、メロディはできるのでは?
keme ああ、でもちょっと違うよねえ。
akko yokoちゃんが歌うとなると、違う。
keme 私のソロも、明らかにフォーク寄りなんでPIGGY BANKSには絶対提供できない(笑)。
──でも、このアルバムではがんばったと(笑)。
akko プロデューサーのヤマサキテツヤさんが入って、初めてセッションで曲を作るようになったんです。私、今までセッションで曲を作ったことがなくて。前のバンドはかっちり役割分担があったから、録音する前に弾くことが全部決まってた。でも今回はそういうのが1個もなかったんで、けっこう面白かったです。「CORONA」とかもkemeが構成とかリフを持ってきて、その場でワーッとやって、「じゃあ録ろうか」って。
yoko アルバムを作るというのは決まっていたんですけど、最初は「プロデューサーさんって必要かな?」と思っていて。でもakkoちゃんが以前から知ってるヤマサキさんに入ってもらったら、それ以前の曲もブラッシュアップされたんです。後半に「CORONA」と「Funky Monkey Ladies」ができたあたりから、「PIGGY BANKSってこういう曲が合ってるな」っていう感じがしましたね。曲作りも、百々(和宏)さんだとか(上原子)友康さんに力を貸してもらったんですけど、「Funky Monkey Ladies」は自分たちの力で自然にできたから。今後もこういう感じで作っていけたらいいなと思っています。
ミッキー・カーチスさんが「自分の音楽人生の帳尻があった」って
──「Funky Monkey Ladies」って、キャロルの「ファンキー・モンキー・ベイビー」を連想しますけど、オマージュですか?
yoko 完璧に。歌詞も英訳して使いました(笑)。なんか「遊んでやれ!」みたいな気持ちの表れだと思います。
──お父さま(矢沢永吉)、うれしいんじゃないですか?
yoko そうですかねえ? アルバム聴いたのかな? 「CORONA」は「いいと思う」って言ってたけど。
──レコーディング中にスタジオとかにお見えになることもあるんですか?
akko そんなことになったら私たち固まりますよ(笑)。
yoko (笑)。代わりに、ミッキー・カーチスさんが来ました。
keme それでも、「ええっ!?」ってなりますよね(笑)。
──それはどういう経緯で?
yoko プロデューサーのテツヤさんが昔から親しいみたいで、「今ご縁があってPIGGY BANKSというバンドのプロデュースやってるんです」ってミッキーさんに言ったら、スタジオに行きたいっておっしゃってくれたという。
akko すごいカッコいい、ルイ・ヴィトンのブルースハープケース持って。
keme すごく洒落てて、カッコよかったよね。
yoko そんなミッキーさんにお願いしたのが、シークレットトラックの鳥の声(笑)。
akko あと、「CORONA」のハープ。
yoko すごくありがたいなと思ったのは、ミッキーさんはキャロルのプロデュースをやられていたので、Twitterで「親子2代のレコーディングにたずさわって、楽しかった」って言っていたんです。それで、「これは自分が最後に参加するレコーディングかもしれない」「自分の音楽人生の、帳尻があった気がする」って。うれしい!と思いました。
──すごいなあ! ほかにゲストは?
yoko コーラスで坪倉唯子さん。唯子さんはkemeちゃんと仲がよくて。
keme もともと私がファンで、飲みの席でご一緒させていただいたのがきっかけで。
yoko そこから私も面識ができて。
keme それで、声で参加してもらえたらうれしいなと思ってお願いしました。「CORONA」と「タイムスリラー」で。
──ゲストがゴージャスですねえ。作曲陣では百々さん上原子さんが目を引きますね。
akko 百々さんは3人とも前から面識があるんですけど、モーサムの独特の浮遊感が好きで、そういうのがPIGGY BANKSに合うんじゃないかなって。友康さんはyokoちゃんが。
yoko このバンドやる前に、下北沢CLUB Queのイベントで怒髪天と一緒にやらせてもらったときに、増子(直純)さんが「yokoちゃん、友康に曲書いてもらいなよ」って言ってくれて、友康さんも「歌詞送ってくれたら書きますよ」って。そうこうしてるうちにPIGGY BANKSが始まって、アルバムを作ることになって、私が歌詞をいくつか書いて送った、という感じです。「キラワレモノ」は、送ってもらったときは「ザ・怒髪天!」という感じの曲で、これをPIGGY BANKでやるにはどうすればいいでしょうって感じで、いろいろ試してみました。アルバムの中でも異色な1曲かもしれないけど、自分的にはハマってるなと思います。
──もう1人、古城康行さんが楽曲提供してますね。
yoko 古城さんは私に以前から曲を書いてくださっている方です。具体的にお願いすればするほど、パッとするものを、しかもかなり速く作っていただける。
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収録曲
- CORONA
- Wicked go
- タイムスリラー
- One Way Or Another
- らんらんらん
- ゾンビーボーイ
- Funky Monkey Ladies
- キラワレモノ
- Rock'n'Roll Hearts
- Oct.
PIGGY BANKS「時間泥棒ツアー」
- 2016年4月15日(金)宮城県 enn 3rd
- 出演者 PIGGY BANKS / 虎の子ラミー / Su凸ko D凹koi
- 2016年4月16日(土)茨城県 club SONIC mito
- 出演者 PIGGY BANKS / 虎の子ラミー / Su凸ko D凹koi
- 2016年4月22日(金)大分県 club SPOT
- 出演者 PIGGY BANKS / 人性補欠 / SIX LOUNGE
- 2016年4月23日(土)福岡県 THE Voodoo Lounge
- 出演者 PIGGY BANKS / THE VOTTONES /人性補欠
- 2016年4月24日(日)鹿児島県 SR HALL
- 出演者 PIGGY BANKS / and more
- 2016年5月6日(金)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 出演者 PIGGY BANKS / BUGY CRAXONE / THE TON-UP MOTORS / Large House Satisfaction
- 2016年5月7日(土)岡山県 PEPPERLAND
- 出演者 PIGGY BANKS / BUGY CRAXONE / THE TON-UP MOTORS
- 2016年5月8日(日)大阪府 CLAPPER
- 出演者 PIGGY BANKS / BUGY CRAXONE / 月光グリーン
- 2016年5月14日(土)愛知県 ell.SIZE
- 出演者 PIGGY BANKS / ザ・ビートモーターズ / 浮遊スル猫
- 2016年5月15日(日)京都府 磔磔
- 出演者 PIGGY BANKS / ザ・ビートモーターズ / 浮遊スル猫
- 2016年5月29日(日)北海道 KLUB COUNTER ACTION
- 出演者 PIGGY BANKS / and more
- 2016年6月4日(土)東京都 Shibuya Milkyway
- 出演者 PIGGY BANKS / THE TON-UP MOTORS / BUGY CRAXONE
PIGGY BANKS(ピギーバンクス)
矢沢洋子としてソロ活動を展開してきたyoko(Vo)、TOKYO KILLERのkeme(G)、同じくTOKYO KILLERのメンバーで元GO!GO!7188のakko(B)により2014年に結成。2015年に本格的にライブ活動を開始し「FUJI ROCK FESTIVAL 2015」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015」「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2015」などのフェスにも出演した。2016年4月には初作品となるフルアルバム「タイムスリラー」をリリースした。