PIGGSインタビュー|一蓮托生の5人組アイドルがメジャーデビュー、社長プー・ルイはなぜこの4人を選んだのか? (2/2)

大切なのは「そこで何を考えるか?」

──音楽ナタリーのインタビューは初めてなので、知らない人に向けてグループの特徴を改めて説明していただけますか?

KINCHAN 特徴ということになると、まずは「共同生活を送っている」というのは外せないんじゃないですかね。そこで絆が深まっている部分は確実にあります。

プー・ルイ 最初は一緒に住むつもりじゃなかったんです。だけど事務所がないものだから、衣装フィッティングとかで私の家を使っているうちに、なし崩し的に……(笑)。

SHELLME 共同生活に関しては、汚さレベルが同じというのも重要かもしれない。低いほうにそろっているんです(笑)。

PIGGS

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──その中でもメンバーの中で一番汚いのは?

一同 (満場一致でCHIYO-Pを指さす)

CHIYO-P ……否定はできない(笑)。

プー・ルイ でも男に狂い始めると、SHELLMEもヤバいですよ。心の乱れが部屋の荒れ具合に直結するというか。

──普通、恋をしたらきれい好きになりそうなものですけどね。

SHELLME いや、ダメなんですよ。「早く会いたい!」と思って、部屋の片付けとかどうでもよくなっちゃう。そうするとどんどんゴミ屋敷化して、気付いたら足の踏み場もなくなっているんですよね。

プー・ルイ ダメな恋愛でも素敵な恋愛でも「楽しい」という感情が勝って、ほかのことが手につかなくなる。もう問題起こしすぎだから、SHELLMEに関しては恋愛禁条例を出そうかなと考えています(笑)。

──世の中のアイドルが結婚や出産に寛容になる中、SHELLMEさんだけは恋愛禁止(笑)。ほかにグループの特徴はありますか?

BAN-BAN 「いろんな企画に全身全霊でぶつかっていく」という点! 最初は「I HATE PIGGS」というチャレンジシリーズから始まったんですよ。激辛ペヤング完食みたいな難関が100個あり、それをクリアしながら曲を順番に公開していきまして……。

──明日(※取材日は2022年12月14日)も新曲のミュージックビデオ撮影で100kmマラソンを敢行するとうかがっています。なぜそんな苦行みたいな活動をするんですか?

プー・ルイ 前提として、私がドMというのはあります(笑)。それはさておき、今までアイドルをやりながら自分自身も含めて「どうなの?」という疑問があったんですよ。例えば新曲を出すとするじゃないですか。その1曲にはクリエイターによっていろんなテーマや思いが乗せられているわけですけど、そこに対するメンバーの考える意識が低いんじゃないかなと思っていて……。ましてやPIGGSはメッセージ性の強い楽曲が多いから、「なぜ自分たちがこの曲を歌うのか?」という部分を共通認識として持っておかないと説得力が生まれないんですね。

──必然性が欲しい?

プー・ルイ そう。例えば2週間かけて大阪まで歩いて、そこから11公演のライブをしながら歩いて東京に帰った「WALK or PORK TOUR」にしたって、歩くこと自体に意味があるわけじゃなくて、「そこで何を考えるか?」という部分が大事なんです。話題性を作りたいという気持ちも当然ありますけど、それよりも意味とか説得力が大事なんですよね。

SHELLME ひたすら歩いていると、その間にいろいろ考えちゃうんですよ。「なんでわざわざ歩いているのかな?」とか。「そういう企画だから」って言われればそれまでなのかもしれないけど、そもそも私、今まで本当に何も考えずに生きてきたから、物事を考えること自体が初体験だしカルチャーショックなんですね。あの……考えない人ってどういうことだかわかりますか? 自分が何も考えていないということにも気付かないんです。頭を使う習慣がないわけだから。「じゃあ今は考える人間になれたのか?」と聞かれたら全然まだまだだろうけど、少なくとも前とは違うと思う。

KINCHAN この前、100km走ったんです。私はあとから1人で加入して、初めての過酷なチャレンジだったから「ついに来たか」とは思いましたけど。走ったのは加入して2カ月経たないくらいの時期だったから、まだ自分がPIGGSにいることに自信が持てず悩んでいたんです。走ってすぐに「これで自信が持てました!」と豹変することはなかったけど、今考えると確実に意味はありましたね。あそこで私、変われたと思います。

KINCHAN

KINCHAN

「一緒にがんばっていこうね」って伝えたい

──プー・ルイさんにお伺いします。制作陣がプー・ルイさんの知り合いベースという印象があるのですが、これはどういった意図があるのでしょうか?

プー・ルイ 確かにシングルごとに座組を変えるというやり方もあるというか、世間的にはそっちのほうが主流ですよね。でも私はチームでやりたかったんですよ。みんなで1個の夢を追いかけたかったので。これは初期BiSの頃から一貫しているんですけど、結局、私は誰かが作った曲をただ歌いたいだけじゃなくて、他人と何かを共有してがんばりたいんですね。衣装のMETTYもそうだし、振付のカミヤサキちゃんもそう。

──信用できる人間性も重要だということですか。

プー・ルイ そうです。もちろんクオリティの高さは大前提としてありますけどね。そんな中、作曲だけがなかなか決まらなかったんだけど、「BRIAN SHINSEKAI(Ryan.Bの別称)、いいんじゃない?」というMETTYの推薦を受けてタッグを組んでみたらバッチリだったんですよ。もともと前からの知り合いでしたし。松隈(ケンタ)さんと渡辺さんのタッグに憧れていた部分も少なからずありますね。私自身は友達もめちゃくちゃ少ないんですけど、相棒みたいな感じがいいなと思っていて。

SHELLME 素晴らしいなあ。知ってはいたけど、改めて素晴らしい! ちょっと感動しています。私なんて芸能を始めた動機も「モテたい」とか「チヤホヤされたい」とか薄っぺらい感じだったし。

SHELLME

SHELLME

プー・ルイ そういえば前にSHELLMEが唐突に泣き始めたことがあったんですよ。「今、私がPIGGSを辞めるということになっても、プーちゃんの周りにいるような本当の仲間は1人もいないよ!」って。

SHELLME いや、ダメだ……。今、思い出しても泣けますね。(涙をぬぐいながら)もちろん私だって知り合いや友達はいるけど……でも、本当に困ったときに助けてくれる人なんてそんなにいますか? 同じ意識で戦ってくれる仲間なんて私には1人もいなかった。前にいたグループは個人戦みたいな感じで、それが当たり前だと思っていましたし。PIGGSで初めて経験しているんですよ、みんなと一緒に夢を追うという経験を。(嗚咽しながら)もしPIGGSが終わったら、私にはプーちゃんみたいな人望もないだろうし……。

──本当にPIGGSは一蓮托生なことが伝わってきます。1月11日には待望のメジャーシングル「負けんなBABY」がリリースされますね。

プー・ルイ 「とらえる」とか「フューチャースターダスト」あたりが代表格なんですけど、PIGGSって意外に応援歌が多いんですよ。今回の「負けんなBABY」もタイトル通り、聴く人を励ます曲。思えば私もサキちゃんもRyan.Bも挫折を繰り返してここまで来ているし、それはほかのメンバー4人だって似たようなもの。負けてきたからこそ、リスナーを鼓舞するような曲がリアルに響くんじゃないかなと思っています。

──一聴してアツい気持ちがヒシヒシ伝わってきました。

プー・ルイ 勘違いしないでいただきたいのは、何もスパルタ式で「死ぬまで根性見せろ!」と言っているわけじゃないんですよ。がんばっても負けるときはあるし、人生ままならないのも事実じゃないですか。でも、だからこそ「負けないでがんばろう!」と前を向く気持ちは持っていてほしいんですよね。今は「がんばらなくても別にいい」みたいなメッセージも目立つ世の中ですけど、PIGGSは弱い者の味方でもあるので「一緒にがんばっていこうね」って伝えたい。

──この曲はメンバーも作詞に携わっているそうですね。

KINCHAN はい! 私は気合いを入れて歌詞を7個も提出しました(笑)。ストレートなメッセージって、ともするときれい事に聞こえるじゃないですか。でも、そこは最終的に説得力の問題になると思うんです。だから私たちPIGGSも、今以上にこの曲に似合うグループにならないといけないんですよね。私たちの存在が曲に負けちゃいけないなと考えています。

PIGGSというジャンルで突き抜けたい

──このグループで夢を叶えたいということでしたが、最終的にPIGGSは何を目指していくんでしょうか?

プー・ルイ 場所の話で言うと、横浜アリーナ! これまでのキャリアでは「武道館を目指します」とコメントすることが多かったんですけど、自分自身のリアルな気持ちとしては、また横浜アリーナのステージに立ってみたいなって。現実問題として、横浜アリーナのキャパを埋められるなら武道館も埋められるわけですしね。

BAN-BAN 私、最初は「アイドルになりたい」というところから始まって、「とにかく目の前のことをがんばろう」と思いながら活動していたので、場所のこととか言われてもピンとこなかったんですよ。でも、今は横浜アリーナに立ちたい! というのもSUPER BEAVERさんの横浜アリーナ公演を観たら、めちゃくちゃカッコよくて……。「私もここに立ちます」ってSUPER BEAVERさんに心の中で約束しました。最近思うのは、PIGGSってライブハウスとかお客さんと近いところでやっているけど、これが横浜アリーナみたいな大きいところでやるようになったら何が変わるんだろうってこと。……あれ、おかしいな。特に悲しいことは話していないんだけどな(突然、感極まって泣き始める)。

CHIYO-P 大丈夫?

BAN-BAN ……だって私たち5人って、誰1人としてトントン拍子で上がってきた子がいないんですよ。これからも絶対トントン拍子ではいかないと思う。そんな私たちが一生懸命がんばって夢を叶えることができたら本当に素敵なことだし……いろんな人たちを励ますことができると思うから……(号泣)。

──本当に気持ちが素直なメンバーがそろっていますね。

CHIYO-P 私はエビ中に憧れてアイドルになったので、いつかはその存在を超えたいです。もちろんエビ中はとても有名だし、歴史も長いですけど、夢は大きく持ったほうがいいと思うので。

KINCHAN 私は「PIGGSというジャンルで突き抜ける」というのが目標です。誰々みたいになりたいとかじゃなく、オリジナルな存在になりたいから。PIGGSが終わることを想像するとめちゃくちゃ嫌だし、ずっとみんなで長く続けていきたいというのも目標ですね。

──では、最後にビシッとSHELLMEさんが締めてください!

SHELLME 私はわりと男好きなので、金髪の売れているイケメンと写真週刊誌にパパラッチされたいです! どうせなら相手は手越(祐也)みたいな人がいいかなー。

プー・ルイ えー、最後がこんな調子で非常に不本意ですが、PIGGSはここから上昇していきます! 記念すべきメジャーデビューということで、応援よろしくお願いします!

PIGGS

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公演情報

全身全霊!燃える豚魂ツアーファイナル公演「焼豚大解放」

2023年1月29日(日)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)

プロフィール

PIGGS(ピグス)

プー・ルイ、CHIYO-P、BAN-BAN、SHELLME、KINCHANの5人からなる“全身全霊アイドル”。元BiSのプー・ルイが社長兼プロデューサー兼メンバーとしてオーディションでメンバーを選出し、2020年4月に活動をスタートさせた。結成時よりメンバー5人で共同生活を行っており、1000km以上歩きライブハウスを回った「WALK or PORK TOUR」、ノンストップで109回歌って踊るミュージックビデオ撮影、100kmマラソン、激辛料理や鼻うどんなど、さまざまな企画にチャレンジしてきた。2023年1月にシングル「負けんなBABY」でアリオラジャパンよりメジャーデビュー。同月には東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にてワンマンライブを行う。