ORESAMA×押切蓮介|ミニアニメ「ざしきわらしのタタミちゃん」主題歌で届ける“100%のORESAMA”

ORESAMAが4月15日にニューシングル「CATCH YOUR SWEET MIND」をリリースする。

表題曲はマンガ家・押切蓮介が原作、監督、脚本、キャラクター原案などを手がけたミニアニメ「ざしきわらしのタタミちゃん」の主題歌。ORESAMAメンバーの小島英也はこのアニメの主題歌のみならず、劇中で流れる音楽やジングルも担当している。

音楽ナタリーではシングルの発売を記念して、ORESAMAと押切の2組にインタビュー。ライブに足を運ぶなどかねてからORESAMAの音楽を敬愛していた押切は、どのような期待を込めて2人にオファーを行ったのか? またORESAMAには初の試みとなる劇伴や主題歌の制作について聞いた。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 竹中圭樹(ARTIST PHOTO STUDIO)

初めて行ったサイン会がORESAMA

──まずは「ざしきわらしのタタミちゃん」というアニメ作品が生まれた経緯について伺えればと思います。マンガ家として知られる押切さんが、原作のみならず監督、脚本、キャラクター原案などにまで携わるのはとても珍しいことですよね。

押切蓮介 そうですね。ざっくり言うと、「タタミちゃん」はこれまで僕が一緒にお仕事してきたスタッフさんたちと「何か一緒に作りましょう」とお話をしていた中で立ち上がったアニメプロジェクトなんです。「アニメを一緒に作ろう」なんて調子のいいことを言っておきながらこんなこと言うのは申し訳ないんですが、僕にはもう骨太な長編アニメ作品を作るようなタフな精神はないんですよ(笑)。「どうせだったら自分たちが楽しく制作できて、しかもライトに観られる作品がいいよね」という話になったので、ショートアニメーション作品ということで、まずは僕が「タタミちゃん」のパイロット版を作ったんです。僕、映像を作ったり、編集をしたりするのが好きなので、全部自作でアニメのパイロット版をまず作っちゃいまして。

ミニアニメ「ざしきわらしのタタミちゃん」キービジュアル

小島英也(ORESAMA / G) あのパイロット版、本当に1人で作ったんですね。音楽とかも自作のものだと伺いました。

押切 はい。まだ声優さんに依頼する前だから、アテレコも全部自分でやりました(笑)。

ぽん(ORESAMA / Vo) タタミちゃんというキャラクターはどういう発想で生まれたんですか?

押切 それが覚えていないんですよ。それこそ座敷わらしみたいにいつの間にか存在していた感じなんだよね(笑)。お化けとか妖怪といったテーマはけっこう好きだったから、そろそろそういうのをやりたいなとは考えていたんです。それと今回のショートアニメというプロジェクトをかけ合わせたら、「タタミちゃん」という形になったのかな。

──アニメの主題歌と劇伴をORESAMAが担当することになったきっかけは?

押切 エイベックスのスタッフさんに提案していただいたんですよ。僕は仕事中に「ドラマチック」を延々とヘビロテするくらいORESAMAさんの音楽が大好きだったので、「お願いできるなら、ぜひORESAMAさんに」と即答しました。棚からぼた餅みたいなことが起きたぞと。

小島 押切先生は5年くらい前に僕らのライブを観てくれていたんです。以前ご挨拶もしたことがあって、「いつかご一緒しましょう」みたいな話もしていたんですよね。

押切 「ハイスコアガール」を休載していたときだから、2015年くらいだね。新しいマンガに挑戦してみようと思って、音楽モノの企画のために渋谷Star Loungeというライブハウスに取材に行ったことがあったんです。僕の友達のバンドが出ていたから観に行ったんですけど、そこに一緒に出ていたORESAMAさんの音楽にすごく惹かれて。イベントにはアイドルとか、いろんな方が出ていたんですけど、その中でもORESAMAがすごく気になる存在だったんです。僕、ライブを観てからYouTubeで検索することなんて滅多にないんですけど、そのときは帰ってからどんな曲をリリースしているのか全部調べて。もう夢中になっちゃって、サイン会にも足を運んだんですよ。僕が人生で初めて行ったサイン会はORESAMAさんです(笑)。

ぽん そうだったんですか! ありがとうございます。

小島 ヴィレッジヴァンガードさんの店舗でのサイン会に押切先生が来てくださって。単行本を持ってきていただいたので、そこにサインしたんです。

押切 ORESAMAさんに会いに行ったのに、ヴィレヴァンの店員に見つかっちゃったから、サイン会のあとは事務所に連れられて、自分のマンガにサイン書かされたんですよ(笑)。「違う、俺は今日ORESAMAに会いに来たんだ!」って駄々をこねてました。

ぽん マンガの中で押切先生がORESAMAのTシャツを着て、ORESAMAのトートバッグを持っているシーンがあるんですよ。それがすごくうれしくて。

押切 Tシャツとトートバッグは本当に愛用していたので、いつもの自分だったんですけどね(笑)。まさか自分の作品のテーマソングを担当していただくなんて夢にも思っていませんでした。

左からORESAMA、押切蓮介。

シンプルにORESAMAの新曲を

──押切さんはアニメの監督として楽曲を発注することになるわけですが、ORESAMAにはどういうオーダーをしたんですか?

押切 絶大なる信頼を持っていたので、何か注文を付けることは一切なかったですね。「ORESAMAの新曲をお願いします!」としか言ってないと思います(笑)。

ORESAMA

ぽん小島 (笑)。

押切 「要望は何もないです」と伝えました。

小島 本当に「好きにやってください」というオーダーだったんですよ。いただくタイアップのお話って、通常だとけっこういろんな要望が入るので今回のようなことは珍しいんです。だから今回の「CATCH YOUR SWEET MIND」は僕が今一番作りたい曲を、一番新しいORESAMAとして作ったものなんです。もちろん「タタミちゃん」というアニメのことは意識しながらも、シンプルにORESAMAの新曲を提供させていただきました。

押切 最初に曲が届いたときは本当にうれしかったですね。もちろん「『タタミちゃん』の曲ができた!」という喜びもあったんですけど、普通にORESAMAさんの新曲が届いたことがうれしくて。しかもその曲を誰よりも早く聴いているわけなんですよ。すごく誇らしい気持ちになりました。

小島 そう言っていただけて光栄です。

押切蓮介

押切 歌詞はどうやって書いたんですか?

ぽん まず「タタミちゃん」のアニメ本編をじっくり観させていただきました。作品に触れていく中でかわいらしい見た目だけど辛辣なことを言う、タタミちゃんというキャラクターがすごく愛おしく感じたんです。タタミちゃんは毒舌だったり、社会への風刺的な発言をしたりするんですけど、それは単純にタタミちゃんが周りのことをよく考えているからなんですよね。

押切 おっしゃる通りです。

ぽん 改札前でカップルが痴話喧嘩をしている横でタタミちゃんが疑問を投げかける回があるんですけど、すごく見覚えがあるなと思って。どこかで見たけど自分ではツッコミを入れずに見過ごしたものに対して、ちゃんと疑問を投げかけられるのがタタミちゃんの魅力なんです。「君のすべては君のものだよ」という歌詞は、そういうタタミちゃんの性格みたいなところが込められている部分でもあります。