HIROとは家族のようであり、友達でもある関係
──最初はフリーの作詞家として活動していたそうですが、2008年からはLDHに所属しています。これはどんなきっかけだったんですか?
自分で言うのもあれなんですけど、私は、昔からビックリするくらいいろんな出会いのチャンスがあって、顔が広かったんですよ(笑)。それでHIROさんと知り合って、最初はもう、ただの飲み仲間として遊んでいて。
──そうだったんですね。
そこから、あるきっかけでEXILEの「Heavenly White」という曲を作詞させてもらったら、みんながすごく褒めてくれて。HIROさんに「(LDHに)入ったらいいのに」みたいに言われたのが所属のきっかけだった気がします。
──意外とライトなノリだったんですね(笑)。
そうなんですよ。私も私で当時からバラード曲の作詞が好きだったから「バラードしか書けないけどいいんですか?」みたいな無茶なことを言って(笑)。今こそ曲調関係なく書かせてもらっていますけど。
──作詞家にとって、フリーではなく事務所に所属するというのはどんなメリットがあるんでしょうか?
フリーは自由でいいところもあるけど、何からも守ってもらえない。あとこれはLDH限定の話になるんですが、私は、HIROさんに初めて会ったときに「長い人生でこんな男に会ったことない!」と思ったんですよ。所属アーティストもみんな「HIROさん、HIROさん」って言いますけど、それくらい器が広くて洞察力に優れてて、とにかくすごい人。だから所属を決めたときは、「HIROさんが海だとしたら、そこに浮かんでる船みたいな気持ちでいいや」って感じでしたね。フリーでいるより、この人の近くにいたほうがきっといい人生になるだろうなって。
──小竹さんとHIROさんは普段どんな関係なんですか?
家族っぽくもあり、友達であり、プロデューサーと作詞家であり……こんなこと言ったらHIROさんは嫌がるかもしれないけど、たぶん、HIROさんがすごく大人になってからできた本当の友達って私くらいだと思うんですよ。人って大人になればなるほど友人ができにくいじゃないですか?
スタッフ 昔から大切にされてるお友達はいらっしゃると思うんですが、たぶん、大人になってからの深い友人は小竹さんだけだと思います。
……と言ってます(笑)。それこそ初対面の頃は私がふざけてばっかだったから、たぶん、HIROさんは「胡散臭い人だな」って絶対思ったはずなんです(笑)。でも洞察力のすごい人なので、すぐに私の内なるものにいろんな意味で気付いてくれて……私は普段すごく明るい分、自分の中にこもったときは暗さしか残ってなくて。1人になったときなんてもう「病気ですか?」ってくらい人が変わるんです。HIROさんはそういうところもわかってくれてて、いつもこんなヘラヘラしてる私なのに「オダちゃんは本当に大人」っていろんなところで言ってくれる。所属アーティストに「小竹さんの言動を注視していたら絶対に勉強になります」みたいなことをメールで送ったり。かなり恐れ多いし、プレッシャーですけどね。
書きながら今市や登坂の仮歌が聴こえてくる
──このたび刊行された歌詞&エッセイ集「あの日、あの曲、あの人は」には、これまでに小竹さんが手がけた作品から厳選した全61曲の歌詞が収録されていますね。
あまりにも曲が多くて、どれを選ぶか本当に迷いました。所属アーティストに好きな曲を聞いて回ったり、あとは、カップリング曲だけど個人的に好きな詞だからもっと多くの人に聴いてほしい、というものも入れてます。
──それぞれの歌詞の最後には、楽曲にまつわる思い出やアーティストとのやりとりを紹介した興味深いエッセイも掲載。小竹さんならではの交流とその細かい描写に、情景がありありと浮かびました。
もともとは1、2行のコメントにしようと思っていたけど、書いているうちにいろんな思い出がよみがえってきて。これはもうエッセイだな、ということで歌詞&エッセイ集になったんです。
──それにしても1曲1曲、よくここまで詳細に覚えていましたね。誰とこんな話をしたとか、レコーディングのあとに誰とどんな店に行ったとか。
褒められたことと食べたものは大抵覚えているんです(笑)。
──あはははは(笑)。ところで、同じ事務所所属ということもあると思うのですが、小竹さんとアーティストとの距離感って珍しいほどの近さというか。本にも書いてありますが、サシで飲みに行ったり、プレゼントを贈ったり、レコーディング前に歌詞打ち合わせもやっているんですよね。
そうですね。逆にみんなからもプレゼントをもらいますし。
──今日お話させてもらって、これは小竹さんの親しみやすい人柄や人徳ゆえだなと納得した部分があるのですが、普段からアーティストと交流して、そこで得たものや感じたことが歌詞に生かされていく……小竹さんはそういう作詞家像を確立していますよね。
人徳? それ……めちゃくちゃうれしいですね(笑)。でも今おっしゃったように、普段から交流しているからこそわかることってあって。私が作詞しているLDHのアーティストは、作詞をしてる時点で簡単にその人が歌ってるところが想像できるんですよ。例えば三代目なら、書きながら今市と登坂の仮歌が聴こえてくるような感じ。だからすごく書きやすいんです。使う単語とかも「三代目にこれはナシ。でもFlowerで鷲尾伶菜が歌うならアリかな」みたいなのが感覚でわかるというか。
──なるほど。
GENERATIONSの「涙」という曲に「観覧車」という単語が出てくるんですけど、私の中でこれはGENERATIONSだからアリ。三代目なら絶対使わないと思います。
──アーティストイメージや本人のキャラクターを十分に把握しているからこそですね。
そうですね。逆に「こういう歌詞嫌がるだろうな。でもちょっと歌ってみてほしい」っていう言葉をあえて忍ばせることもありますし(笑)。いい意味での公私混同が歌詞に生きていたらいいなと思います。
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GENERATIONSが初めて誕生会を開いてくれた
- 小竹正人「あの日、あの曲、あの人は」
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2017年3月29日発売
648円 / 幻冬舎
小竹正人作詞の最新作
- Flower「MOON JELLYFISH」
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1620円 / AICL-3328~9 -
通常盤 [CD]
1080円 / AICL-3330 -
期間生産限定盤 [CD]
500円 / AICL-3331
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初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / AICL-3340~1 -
通常盤 [CD]
1200円 / AICL-3342
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読者の恋愛体験を大募集。厳正な審査で選ばれた1名の体験談を小竹正人が歌詞として書き下ろす。
応募方法
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宛先
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-9-7
幻冬舎「あの日、あの曲、あの人は」係
- 小竹正人(オダケマサト)
- 新潟県出身の作詞家。EXILE、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE、E-girls、GENERATIONS from EXILE TRIBEといったLDH所属アーティストのほか、中山美穂、小泉今日子、久保田利伸、中島美嘉、藤井フミヤなど多数のアーティストの歌詞を手がけている。2015年に発表された三代目 J Soul Brothersのシングル「Unfair World」は「第57回日本レコード大賞」を受賞した。2013年には「空に住む」、2014年には「三角のオーロラ」と、2冊の小説も出版している。