Nulbarich「2ND GALAXY」 PR

Nulbarich|JQが語る、新作ミニアルバムで描いたもう1つの宇宙

5月に台湾で初の海外単独公演を成功させ、12月にはバンド史上最大キャパとなる埼玉・さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブを開催するなど、着実に活動の規模を広げるNulbarich。そんな彼らが今のモードを詰め込んだミニアルバム「2ND GALAXY」を11月6日にリリースした。

この作品には映画「HELLO WORLD」の主題歌「Lost Game」や、アニメ「キャロル&チューズデイ」に提供した「Kiss Me」のセルフカバー、ゴスペルの要素を取り入れた「Look Up」など全8曲が収められている。

音楽ナタリーではJQ(Vo)に、ミニアルバムの制作秘話や各楽曲の魅力、さいたまスーパーアリーナ公演を控える今の心境を聞いた。

取材・文 / 渡辺裕也 撮影 / 映美

さいたまスーパーアリーナへのワクワクがそのまま出た

──「2ND GALAXY」、素晴らしかったです。前作「Blank Envelope」後半の壮大なサウンドスケープが、今作でさらに拡張されたような印象を受けました。

確かに「Blank Envelope」と今回のアルバムは合わせて1つの作品と言っていいくらいに、この2作品はつながっている感じがしてます。というのも、「Blank Envelope」の後半に入ってる曲はどれも日本武道館公演を終えたあとに作った曲なんですけど、その後のツアーと海外公演を経て、さらにさいたまスーパーアリーナ公演の発表もあったことで、自分が想像する規模感がかなり変わったというか。さいたまスーパーアリーナには、「2ND GALAXY」を1つの軸としてステージに立つ……今回はそういう意識で作ったミニアルバムです。さいたまスーパーアリーナへのワクワクがそのまま出ちゃったというか。

──想定するライブ会場のスケール感が拡大したことが、おのずと音楽性に表れたと。

そうですね。やっぱり会場に応じて適材適所の音ってあると思うし、演奏する場所で曲の表情も変わっていきますから。大きなステージでやらせてもらえる以上は、自分たちもその規模感を当たり前のようにクリアしていきたいなって。環境に応じて音楽性が変わっていくのって、僕は必然だと思うんです。中学から高校になったらファッションが変わるのと同じで、今僕らのモードがさいたまスーパーアリーナに向かっているから、おのずとこうなったというか。

JQ(Vo)

ブラックミュージックマナーのJ-POP

──ではNulbarichが今作でどんな変貌を遂げたのか、ここからは1曲ずつ聞かせてください。まずは冒頭「Intro」からの「Twilight」。Nulbarichにはかねてからアンビエントソウル的な要素はありましたが、そこにロックなギターが絡んでいくところは、まさにこのバンドならではだなと。

この曲は今作の中でも一番落ち着くというか、“ブラックミュージックマナーのJ-POP”という感じですごく作りやすかったですね。ただ、今までのNulbarichはサビでキーを上げることが多かったんですけど、「Twilight」に関してはチェストボイスのトップキーをサビには持ってこないで、ヴァース部分にトップを持ってきていて。ゆったり聴けるんだけど、実はいろんな仕掛けがあるというか、そういうトライをした曲ですね。

──これはミニアルバム全編に言えることですが、構成としてはブラックミュージック的なループ感を感じさせつつ、バンドアンサンブルにはこれまで以上に色濃くロック感が表れているようにも感じました。

そうですね。もともと僕らは「ブラックミュージックいいよね」みたいなところで集まってはいるんですけど、それ以外の要素もけっこう幅広いし、実はかなりのドンシャリ志向でもあるので。確かに今回はそういう側面が出ていると思います。

年々強くなる、歌詞に込める思い

──続く「Look Up」はトラップ的な3連符の節回しを取り入れたオルタナティブなR&Bで、ゴスペルのフィーリングを感じさせる分厚いコーラスがとにかく強烈でした。

JQ(Vo)

僕がゴスペルミュージックに惹かれるのは、そこで表現されているのがただハッピーではないからなんです。つまり常にホープと嘆きがある。苦しみを知っている人たちが上を向こうとしているようなそういうパワーがゴスペルにはあって、その美しさに僕は惹かれるんです。だから、そういうエッセンスを自分の曲にも盛り込みたかった。

──つまり「Look Up」も、ただハッピーなフィーリングを醸した曲ではないと。

ええ。この「Look Up」という言葉にはいろんな思いを込めたつもりです。この曲は最初のフックで「新しい夜明け」と歌っていて、つまり夜中から始まってるんですね。暗いところのほうが光を感じやすいし、そういうときに湧き上がる気持ちを表現しようとしたときにゴスペル風のアレンジがしっくりきたというか。

──JQさんがここで悲しみや苦しさに裏打ちされた感情を歌おうとしたのはなぜでしょう?

なんというか、例えば先日も台風で大きな被害がありましたけど(※本インタビューは10月上旬に実施)、僕はこういうときに自分の中に湧き上がる感情をうまく表現できないところがあって。だからあまりSNSとかも更新できないんですよね。本当は「大丈夫?」と声をかけたい人たちがたくさんいるんだけど、なんかそれも違うというか。でも、そういう悲しいことが起きたときこそ発信しなきゃいけないことがあるはずだし、何よりもここでネガティブにならないことが大事だなと。「アーティストとして、今自分がやるべきことをまっとうしよう」というか、「Look Up」はそういう気持ちで作った曲なんです。こういうインタビューではいつも「俺たちの曲は何かのBGMになればいい」くらいのことをずっと言ってきたし、実際にそれでいいとも思ってるんですけど、歌詞に込める思いは年々強くなってきていますね。やっぱり僕にとっては音楽が一番物語れるというか、一番表現しやすいのが音楽なんです。個人的にもすごく大切な曲だし、こういうタイミングでこの曲ができたのはすごくうれしかったです。

──4曲目の「Kiss Me」はループ構造のヒップホップ的なトラックで、アルバムはここからアップリフティングな展開になっていきます。

もともとこれは「キャロル&チューズデイ」というアニメに提供した曲なんです。ランキングにトップ10入りしている曲をすべてAI(人工知能)が作っている時代に10代の若い2人が立ち向かっていくという内容で、その2人のキャラクターが歌う曲でした。だから彼女たちの無邪気で恐れを知らない感じとか、女の子の強さを僕なりに表現しました。でも実は彼女たちが夢に立ち向かっていこうとする気持ちって、僕らがギターを手にとって「これで食ってくぞ」みたいに思うのと根本的には同じだなって。僕らとしても今この曲をやりたいなと思って、リアレンジしてセルフカバーしました。