音楽ナタリー Power Push - NOVELS
チームで生み出す、新たな「BOOK」
バンドというか、チームみたいな感じ
──「DANCE BOOK」のジャケットビジュアルには派手なメイクを施した竹内さんの顔が大々的にフィーチャーされていますが、前作「KICK BOOK」で竹内さんはドクロのメイクをしていました。どちらのジャケットもインパクトがあるものですが、どういったコンセプトで採用されたんでしょう?
竹内 「KICK BOOK」は死生観について触れた作品だったので、それをイメージしてドクロにしたんです。今回はダンス、それから新旧の融合というコンセプトがあったので、今までのNOVELSにないようなビジュアルにしてみたくて。ペイントは特殊メイクを手がけたり、ペイントパフォーマンスを行っている友人にお願いしたんです。メンバー2人が抜けてからはいろんな人との活動を意識しているんですけど、これもその一環ですね。
──以前はそこまでオープンではなかった?
竹内 4人編成のときはメンバーだけで何かやりたいって気持ちが強くて。今はそういうのないよね?
楠本 もうバンドというかチームみたいな感じ。いろんな人を巻き込んで活動してます。
竹内 メンバーの脱退を通して、スタッフがいるからこそ活動が成り立つんだなって気が付いたんです。それにチームということを意識して活動したほうが楽しかったですし。
──チームということを意識したのはいつ頃だったんでしょう?
竹内 「RENTAL BOOK」をリリースする前後だったかな。メンバーが抜けてものすごく落ち込んだときに周りの人が励ましてくれて、「RENTAL BOOK」発表後もファンの方が「待ってたよ」って言ってくれて。
──当時はメンバーの脱退以外にも、アニメ「TIGER & BUNNY」のタイアップアーティストということに対してのプレッシャーもあったと思われるのですが、その点はいかがでしたか?
竹内 メンバーが抜けたショックのほうが強かったですね。もちろんタイアップも重要だけど、そもそも演奏するメンバーがいないほうが自分たちにとって大ごとで。バンドじゃなくて、もはやユニットじゃないですか。そんな中で今のレーベルスタッフに声をかけてもらって、サポートメンバーを入れて活動を続けていくことになったんです。
次回作は「引き算」で
──サポートメンバーを迎えての活動についてはどうお考えでした?
竹内 最初は2人でやっていきたいってレーベルのスタッフに話したんです。そうしたら特別縛られることもなく、「2人でもいいし、サポートも入れたくなったときに探せばいいよ」ってスタッフも言ってくれて。あれはありがたかったね。
楠本 間違いなく救われましたね。それにサポートメンバーがすごく信頼できる人たちなのも助かっています。正直初めて一緒に音を出すときは不安だったんですけど、実際にやってみたらすぐに「いける!」って確信できて、実際ライブで演奏したときも楽しかった。バンドを始めた頃の楽しさを取り戻したって思ったぐらいでしたね。
竹内 バンドをやってる人ならおそらくわかると思うんですけど、リズム隊が抜けるのって相当ダメージがデカいんです。曲の雰囲気もまったく別物に変わりかねないので、もうNOVELSではなくなるかもしれないって覚悟してました。当初はここまでしっくりくるとは予測してなくて、ライブだけでも手伝ってもらえたらって感じだったんですけど。今では僕と楠本がぶつかったときも収めてもらってます(笑)。
──作曲のときもサポートメンバーは参加していますか?
楠本 もう普通に参加してますよ(笑)。
竹内 最近でも僕が作ってきたデモトラックを一緒に聴いて、パートの振り分けを手伝ってもらったり。彼らが迷惑でなければ、これからも一緒に活動していきたいです。
──「RENTAL BOOK」「KICK BOOK」「DANCE BOOK」とBOOKシリーズが続いてきたのですが、今後もこのタイトルで継続していく予定は?
竹内 もう1作BOOKシリーズは出してみたいと思ってます。「KICK BOOK」をリリースした頃はもう「DANCE BOOK」の制作に取りかかってたんですけど、次回作は「KICK BOOK」「DANCE BOOK」の手法を前提にしつつ、これから作っていこうという段階です。今まで僕らはずっと足し算形式で曲を作ってきたので、今度は引き算の発想で作ってみてもいいんじゃないかと思っています。「DANCE BOOK」のように打ち込みを入れつつ、もっとシンプルなサウンドに変えていくというか。それをリスナーの皆さんにも楽しんでいただけたら。
──「DANCE BOOK」リリース後はレコ発イベントも行いますが、東京でのライブはひさしぶりとのことでしたね。
楠本 最近は東京で全然ライブができていないんです。
竹内 ライブの本数自体は少しずつ増やしていたんだけど……。
楠本 地元の名古屋でやることがほとんどで。
竹内 なかなかサポートメンバーと都合を合わせるのが難しいところで。それでも4人体制の頃よりもフットワークはだいぶ軽くなってきてますけどね。2016年からはSandy Beach Surf Coasterの三友(行人)さんがサポートベーシストとして参加してくれるんですけど、もともと三友さんとは音楽の趣味が合って、一緒にレコ屋巡りするような仲で。彼と一緒にライブをやってみたかったので楽しみです。それから最近参加してくれているドラマーも強烈な子で。いっつもなんか食べてて……。
楠本 今回の取材でも東京まで一緒に来てくれたんですけど、「歩きたくない」って言って車で待ってますし(笑)。
竹内 昨日誘ったんですけど「いいんですか? 行きますー」「おいしいもの食べれるんですよね!」って言って、ただついてきただけ(笑)。でも演奏は上手ですし、彼も2016年のツアーで一緒に回ってくれます。次回作もその2人が参加する予定なんですけど、どうなるかまったくわからない……。
楠本 このメンバーでレコーディングはまだしてないんです。
竹内 その分楽しみではあるんですけどね。
収録曲
- Goodbye Heartbreaker
- Alchemist
- ヴァルプルギスの夜
- I wanna
- Mad Hatter
- We are the world's end new order
- Remember U
- Player Player
NOVELS「DANCE BOOK」Release ONE-MAN TOUR 2016
- 2016年2月20日(土)大阪府 CLAPPER
- 2016年3月4日(金)東京都 TSUTAYA O-Crest
- 2016年3月19日(土)愛知県 池下CLUB UPSET
<出演者>
NOVELS
※各会場ゲストの出演あり。
NOVELS(ノベルズ)
竹内真央(Vo, G)、楠本正明(G)が中心となって活動を行うロックバンド。2007年10月に結成され、インディーズでシングル「鏡の国の二人e.p.」「Wiz e.p.」、アルバム「From the bad lands for Mrs. Witherspoon」「My blood is Your blood.」をリリース。歌詞の深遠な世界観と確かな演奏力で徐々に人気を博す。2011年8月にテレビアニメ「TIGER & BUNNY」のオープニングテーマ曲「ミッシングリンク」にてトイズファクトリー / muff toneよりメジャーデビュー。同年10月にアルバム「cardioid」、2012年9月に映画「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-」のオープニングテーマとして書き下ろした「アースダイバー」をシングルとしてリリースした。2014年2月にはメジャー2作目のアルバム「PROTOCOL」を発表するが、山田裕起(B)、吉田翔人(Dr)の2名が脱退。その後サポートメンバーを迎える形で活動を継続し、2015年5月にレンタル限定アルバム「RENTAL BOOK」、6月にミニアルバム「KICK BOOK」を発売。2016年1月13日には「BOOK」シリーズ3作目となるミニアルバム「DANCE BOOK」を発表した。