ナタリー PowerPush - NOTTV×ナタリー「LOVE & ROCK」

これがスマホ時代の音楽番組だ!

大谷ノブ彦(ダイノジ)&藤田琢己 インタビュー

僕が配役されたのは「HEY! HEY! HEY!」をやるためじゃない
左から、藤田琢己、大谷ノブ彦(ダイノジ)

──NOTTVで番組をやるのは、テレビとは感覚が違いますか?

大谷 絶対そうだと思いますね。テレビとは観る環境も違うから「ながら見」をする人は少ない気がするし。テレビのように詰め込んでいくんじゃなくて、むしろ隙間がめちゃめちゃあったほうがいいのかなって感じてて。

藤田 時間で仕切るのも必要だけど、逆に時間のことを忘れたほうがいい場面もあるでしょうし、そういう時間の感覚がテレビとネット配信では圧倒的に違いますね。両方のいいとこ取りができる落とし所を見つけていきたいです。

大谷 あと、SNSとの連動とかももっとできるはずなんで、観てる人との意見交換もしながら番組を進めていきたいですね。やっぱり「これからのバンドを紹介していく番組」ってテーマだから。

藤田 この界隈の音楽が好きな子って、本当にマニアックでよく知ってますからね。

──収録ではそういった音楽好きが納得するような、ディープなトークが展開されていると感じました。

大谷 お笑い芸人が音楽番組をやるときは、どうしても「HEY! HEY! HEY!」を踏襲すると思うんですよ。ミュージシャンをお笑い芸人のフィールドに引っ張ってくるという。でも、あれはやっぱりダウンタウンさんがやるから面白いわけだし、少なくとも僕がキャスティングされたのはそのためじゃない。だから「お前、芸人なんだから面白いことやれよ!」っていうヤジはわかるんだけど、「熱量のある音楽談義ができたうえでしかユーモアはやらない」って決めてMCの席に座ってますね。

藤田 大谷さんの切り取り方って、やっぱり音楽評論家ともミュージシャンとも違うんですよ。紛れもなくお笑いならではの切り口なんですけど、たぶん大谷さん以外のお笑い芸人さんが切り取るとまったく違うものになると思います。ほかの音楽番組がやっている通り一遍のプロモーショントークだとか、誰でも聞ける上っ面の話題は一切出てこないので、その切り口に独自感が出てますよ。

大谷 DJやってて感じるんですけど、今一番アツい、誰もが知ってる共通言語の音楽だけで盛り上がるってのは楽しいんですよ。でもやっぱりディスクジョッキーたるもの、新しい価値観をその場でやっぱり紹介してシェアしていくのはすげえ大事な要素だと思ってて。その感覚って、昔に比べて少なくなってきた気がします。

藤田 昔はそれがDJの役割でもありましたよね。須永辰緒さんがDJでかけるとみんながレコ屋に買いに行くみたいな。

大谷 「これからのバンド紹介」という番組なら、そこに力を入れていきたいですね。

ジャンルじゃなくてイズムとしての「ロック」を重要視したい

──これからロックを盛り上げていくためには何が必要だと思いますか?

大谷ノブ彦(ダイノジ)

大谷 ニュースソースを作るロックバンドが増えてほしい。最近のアイドルはCDを売るための知恵もあるし、ニュースを作るために何かをやったり、発言することもできてる。でも今のロックバンドには不良が少ないというか、悪い意味で真面目な子が増えたなと思って。だから、この番組を通じてニュースソースになることを仕掛けていきたいですね。ナタリーが取り上げたくてしょうがなくなるみたいな。

藤田 あはは(笑)。でも確かに、そういうことで口コミも広がっていくでしょうしね。

大谷 SNSの時代ですからね。この番組で事件を起こしたいです。それがテーマかもしれないです。

藤田 ただ事件を起こすといっても、目的を持ってやってることなので。「音楽聴いてほしい」「いい音楽がいっぱいあると伝えたい」と思ってやってることで、騒ぎを起こしたい衝動だけではないんですけど(笑)。

大谷 ザ・スターリンが伝説だった頃「豚の臓物を客席に投げるバンドが東京にいるらしいぜ」「見たことねえけどすげえな」って、教室でみんな想像で語ってたんです。でも今は想像するまでもなく映像ですぐに観れちゃう。だけどそんな時代なりのやり方も何かあるんじゃないかって気がするし、NOTTVならそれができると思うので、そういう番組目指したいですね。

──なるほど。

大谷 俺はジャンルじゃなくてイズムとしての「ロック」を重要視したいんですよ。「何かしでかしてくれそう」って感覚を。でも今のロックバンドはその点でアイドルに押されちゃってる。俺はずっと、アイドルに対抗できる銀杏BOYZみたいな奴が出てこないかなって思ってて。今はめっちゃカッコよくてセンスいいバンドがいっぱいいるんですけど、プロレスラーそのまんまみたいな銀杏BOYZのケレン味というか、あれが欲しいです。

藤田 峯田くん、何をするかわかんないですもんね(笑)。

大谷 わかんないけど、でも実はあの男わかってやってる。本当のことじゃないからこそグッとくるんだよ。

──「何か事件が起きるかもしれないぞ」っていう期待が、ライブを観に行こうというモチベーションにつながることもありますよね。

大谷 ももクロやでんぱ組.incとかはまさにそう。だから、僕も彼女たちのことは本当に好きなんだけど「待ってよ! それはこっち側がやることでしょ! 取っていかないでよ!」って言いたくなる。そしてロックバンドに対しても「あれはしょせんアイドルだから。やらされてるだけだから」なんて言い訳やめようよって思う。

半年くらい経ったらデタラメな感じになってそう

──番組で今後どんなことをやっていきたいですか?

藤田琢己

藤田 どうなんでしょうね。第2回にして放送時間が30分拡大しましたからね(笑)。

大谷 そこがロックですよね(笑)。普通は1回で変えないでしょ。番組の中で面白いことを思いついたら、その次の週には実際にやっちゃうみたいな(笑)。

藤田 「面白いかも」って言ったことをすぐに実現させる姿勢はいいですよね。「それヤバいね!」って言って振り向いた瞬間、もうみんなそっちのほうに向かって走ってるみたいな(笑)。

大谷 そうやって面白いことを番組を通じてやっていくのが一番かな。形骸化されてることやってもね。

藤田 そうそう。みんなよく初期衝動って言うけど、「こういうことを初期衝動っていうんだ」みたいに形骸化されてますしね。「ワーって暴れたらそれっぽいっしょ?」みたいな。そういうのは面白くない。

大谷 初期衝動と言いつつ、最近のロックバンドは持ち時間をちゃんと守るんですよ(笑)。

──そういう意味で言うと、2回目で早くも放送時間が増えたこの番組こそリアルな初期衝動があるのかもしれませんね(笑)。これから回数を重ねて番組がどうなっていくのか楽しみです。

大谷 半年くらい経ったらデタラメな感じになってそうですね。

藤田 高樹さんまでも好き勝手なことを言うカオティックな放送に(笑)。

大谷 被り物がエスカレートして全員スキンヘッドになってて「この半年間に何があったんだ?」って(笑)。

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