新人・西川貴教が語る貪欲さ|あきらめずに挑戦していきたい。その気持ちが全部「Never say Never」に入っている

西川貴教が6枚目のシングル「Never say Never」をリリースした。

表題曲「Never say Never」は、現在放送中のテレビアニメ「EDENS ZERO」の第2期オープニングテーマとして書き下ろされた楽曲。同アニメの第1期オープニングテーマであった2021年4月リリースの「Eden through the rough」同様、作詞をSpirit Garden、作曲とアレンジを藤永龍太郎(Elements Garden)が手がけている。またカップリングには藤林聖子作詞、草野華余子作曲、堀江晶太編曲による新曲「BREACH」も収録。タイプの異なる疾走系ロックチューン2曲により、比類なき西川節を感じさせるボーカリゼーションが圧巻の仕上がりとなっている。

今回のインタビューでは、先だってリリースされたライブ映像作品「TAKANORI NISHIKAWA LIVE TOUR 002 "SINGularity Ⅱ -過形成のprotoCOL-"」の話題を皮切りに、ニューシングルの制作エピソードや今後の展開について西川に話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / 須田卓馬

「やらなきゃよかった」と何度も思った

──西川貴教名義による2回目のツアー「TAKANORI NISHIKAWA LIVE TOUR 002 "SINGularity Ⅱ -過形成のprotoCOL-"」の最終公演を収録したライブ映像作品が4月12日にリリースされました。改めて拝見しましたが、とんでもなく濃密な内容ですよね。

ライブがやりたいのか、ハードSFをやりたいのかよくわからない感じもあるので、「好きな人は好き」みたいなところはありますよね(笑)。完全に僕の趣味の世界ですから。

──ライブの軸となったアルバム「SINGularity Ⅱ -過形成のprotoCOL-」はいろいろなタイミングに生まれた楽曲が集まったものなので、全体的なコンセプトは設けなかったと前回のインタビューでおっしゃっていました(参照:西川貴教「SINGularity II -過形成のprotoCOL-」インタビュー)。でもライブでは過去曲を交えながら1つの大きなストーリーを形成していたのがすごく印象的で、ある意味、あのアルバムはライブを通して完結したのかなと。

ライブで再現することを前提にしていない、とっ散らかったアルバムではあったので、そこに整合性を持たせるのは正直大変でしたけどね。ライブの構成を考えていく中で、どんどん自分で自分の首を絞める感じになったところもあって。「やらなきゃよかった」と何度も思いましたよ(笑)。

──いやいや(笑)。ほかに類を見ない本当に素晴らしい内容だったと思います。

そこは今回の「Never say Never」のミュージックビデオでも一緒に組んでいる浅井(健)くんとコンビでお送りしたところが大きいと思うんですよ。彼とやることが、ある種独特の、ほかではあまり観たことがないライブになる所以かなと。一般的なライブの流れを一切無視して、物語優先で考えていく感じですからね。その結果、言い方は非常に難しいですけど、映像を使っての1人舞台、1人ミュージカルみたいなものになったという。

──2019年に開催されたツアー「Takanori Nishikawa LIVE TOUR 001 [SINGularity]」とのリンクも見どころだと思います。

シリーズものにしようというアイデアは当初からあったんですけど、それをこのとっ散らかったアルバムでどう構成していくのかはけっこう悩んだところで。だいぶ後付けに近いところもありました。1stツアーは1stツアーで、一応帰結していましたしね。ただ、それはそれでいいのかなと。海外ドラマとかだとよくあるじゃないですか。「あれ? あいつ生き返ってるぞ」みたいなことが(笑)。

──西川さんの細かいこだわりが満載のライブなので、映像でじっくり楽しんでもらえたらいいですよね。

そうですね。今回はとにかく準備の時間がなくて、内容を体に入れることに必死だったんです。各会場全力で向き合ったからもちろん悔いはないですが、5公演だけの短いツアーということもあって、最終日の名古屋公演でようやく自分なりの手応えを感じることができたんです。その公演を映像化できたことは自分としてもよかったと思いますね。

西川貴教

リファレンスが自分の曲

──そんなライブ映像作品に続き、ニューシングルもリリースされました。表題曲「Never say Never」は現在放送中のテレビアニメ「EDENS ZERO」第2期オープニングテーマで、同アニメとのコラボは2回目になりますね。

はい。「EDENS ZERO」は原作人気が高い作品ではありますけど、関わる方々の意欲もまたすごく強いんですよ。第1期の段階から「できれば第2期、第3期と続けていきたいんです」とおっしゃっていて。そこで僕も「また機会があればぜひ!」とお話しさせていただいていたので、今回2年ぶりにまたお声がけいただけたことはすごくうれしかったですね。

──作詞はSpirit Garden、作曲とアレンジはElements Gardenの藤永龍太郎さんが手がけています。第1期オープニングテーマだった「Eden through the rough」と同じ布陣ですね。

アニメのプロットをはじめとする資料に目を通したうえで制作していただいたのは、いつもと変わらずですね。こちらとしては前作とは角度の違う曲にしようかっていう思いもあったんですけど、制作サイドの方々に「Eden through the rough」をすごく気に入っていただいたようで、「今回もあの全力な感じでお願いします」というお声をいただいたんですよ。結果、リファレンスが自分の曲っていう(笑)。とはいえ、まったく同じ球を投げるのはどうかなと思ったので、ヒットではなくホームランを狙う気持ちを持って制作に向き合っていった感じでしたね。

──歌詞には今の時代に強く突き刺さるメッセージが込められていますね。

「EDENS ZERO」は、出品していたアニメのコンベンションが無観客開催になってしまったり、コロナの影響をもろに受けた作品なんですよ。だからこそ今回はタイトルの「Never say Never」が象徴しているように、あきらめない心を持ち、もう一度立ち上がる強さや覚悟、信念を自分なりに表現したかったんです。そういった感情が、今回の第2期の大きなテーマにもなっているので、そこはしっかりリンクさせたいところでしたね。

──引いては、それが西川さんご自身の思いでもあるわけですよね、きっと。

もちろんそうです。とかくアニメの主題歌となると、膝を折った作品みたいに思われる方がいまだにいらっしゃいますが、僕の場合は逆なんですよ。アニメとコラボすることは幅広い世代の方に聴いていただけるチャンスだと思うので、そこにはなるたけ自分の思いをねじ込みたい。受け手側に対して何かしらの響きを与えるものを提示していけば、それを受け取ってくれた人たちはきっと何かを返そうと思ってくれるはずなんです。そこへの期待を込めて、僕は常に全力で投げているつもりです。

西川貴教

新人・西川貴教の貪欲さ

──西川さんは「SINGularity II -過形成のprotoCOL-」のインタビューで、説教くさいことであっても音楽でならば表現できるというお話をされていました。本作が説教くさいとはまったく思いませんが、ご自身の中の思いをまっすぐ表現するという意志は、つまりそういうことですよね。説教くさいと思われることさえいとわないっていう。

今って、そういった表現をあきらめる傾向にあると思うんですよ。でも僕はそこをあきらめず、どんどん挑戦していきたい。それによって世の中を変えられるかどうかはわからないけど、僕は僕なりのやり方で打席に立ってバットを振り続けたいし、開いてない扉はとりあえず全部ノックし続けたいという。その気持ちが全部、「Never say Never」には入っている感じですね。

──ある種、その青臭さがソロ名義・西川貴教としての特徴なのかもしれない。

だってね、あともう数年で30年というキャリアを持つT.M.Revolutionにその貪欲さという負荷をかけるのはどうかなって思うわけですよ(笑)。でも、西川貴教はまだ数年しか経っていないので、そこを気にせず出せるところがある。売れたい気持ちを全力で出したっていいわけですから(笑)。挑戦するのに遅すぎることなんてない。それを証明するために西川貴教としての活動をしているところもあるので、僕はとにかくやらなければいけないんだと。