NightOwl「dawn.」インタビュー|「だから私たちは自信を持ってライブができる」

大阪発のアイドルグループ・NightOwlが結成5周年記念日にあたる8月23日に2ndフルアルバム「dawn.」をリリースした。

NightOwlが全国流通盤としてフルアルバムを発売するのはこれが初めて。今作の発売を記念して、NightOwlメンバーに音楽ナタリーでの初インタビューを実施した。メンバーそれぞれの個性や、グループとしてのストーリーともリンクする多彩なアルバムの収録曲、11月4日に神奈川・Yokohama Bay Hallで開催を迎えるワンマンライブ「Flight in the Storm」への意気込みなどについて話を聞いた。

取材・文 / 阿刀“DA”大志撮影 / かわどう

個性豊かなメンバー4人

──インタビュー前の撮影中、カメラマンさんが「NightOwlはメンバーによって全然キャラが違うんですね!」と驚かれていましたね。

百城凛音 私たちは「なんでこの4人なんだ!?」って思うくらい全員キャラが違うんですよ。

──どういったキャラの違いがあるんですか?

折原伊桜 好きなものも違って、私と雨夜がアニメ好きなんですけど、その中でも好きなジャンルが違うんです。私は深夜アニメとか、女性が好むようなアニメが好きで。

雨夜憧 私はちょっとマイナーな作品や、ガンダムみたいな古めのアニメが好きです。

百城 私は幼い頃から家でじっとしていたことがなくて、アニメもあんまり観ないし、今でも休みになるとサウナとかどこかに行きたくなっちゃうんです。NightOwlに入る前、夏になると毎週海に行ってたくらい。バカみたいに日焼けするのが好きなんです。だから、メンバーの中でもアウトドアなほうかなって。

NightOwl

NightOwl

長谷川嘉那 私はアニメだと少年ジャンプ系の作品が好きで……。

雨夜 待って、アニメの話ばっかになってる(笑)。

長谷川 (笑)。メンバーの中では一番ダンスが好きです! 最近は毎日のようにいろんなスタジオへ踊りに行っています。ダンス以外だと食べることが好き。

──じゃあ、百城さんがサウナへ行ってる間に長谷川さんは踊ってると。

百城 ヤバいやん。凛音だけふざけ倒してる女みたいになってる(笑)。ちゃんと練習してます!

──あはは! では、パフォーマンス面での違いはどうですか?

折原 私は歌に特化していて、ソロとしてもライブをしたり曲を出したりしています。アニソン、特に水樹奈々さんとLiSAさんが大好きで、ライブによく足を運んで勉強してます。

雨夜 私はもともとアイドルさんが好きで、アイドルという職業への憧れが強くて。だから、歌とかダンスに特化するというよりも気持ちひとつでここまで来たところがあります。

──歌うことも踊ることもすべて含めてアイドルになりたかった。

雨夜 そうですね。楽しい空間を作ったり、ライブに来てくれる人たちの生活の潤いになれたりしたらいいなと思いながら活動しています。

長谷川 私はさっき言ったようにダンスに比重を置いています。それもただ踊るだけじゃなくて、新しい要素をどんどん取り入れていって、それをグループに還元することで全体のダンススキルを上げていけるように考えてます。

長谷川嘉那

長谷川嘉那

──ではダンスのトレンドも意識している?

長谷川 はい。日本に限らず、最近だとひと昔前のダンスとか、韓国の流行りとか、そういったものも意識するようにしてますね。最近、韓国の方々は平成寄りのダンスを取り入れる傾向があるので、私も昔のものまで掘ったほうがいいんじゃないかと思ってます。

──ルーツを探っていくような。

長谷川 そうですそうです。この振りのパターンができたのはいつ頃で、みたいなところまで探っています。

百城 私は表情が豊かなほうで、ライブでも表現力に力を入れてます。でも、そのためには歌もダンスもいろんなパターンをこなせないといけないのでそういう面での努力をしつつ、マインドを出すように意識してます。

──それはどういうことですか?

百城 やっぱり、メンバーも含めて世の中の人には笑っていてほしいんですよ。ありがたいことに、私は「しゃべってたら元気になる」とファンの方から言ってもらえることが多いので、そういうところをもっと出していけるように毎日TikTokに投稿をしたり、最近はX(Twitter)のスペースでファンのみんなと交流する時間を増やして、より身近なアイドルでいたいなと思ってます。

百城凛音

百城凛音

──メンバー間の役割の住み分けは自然とできていったんですか?

雨夜 出会った頃からそれぞれキャラが全然違うのもあるし、それぞれが求めるアイドル像を探っていった結果かもしれないです。

折原 個の集まりって感じ。

百城 めっちゃわかる。「同じクラスにおったら仲よくなってないメンバー」って感じです(笑)。

大切にしていること3選

──では、NightOwlの活動をするうえで最も大切にしていることを3つ挙げるとしたらなんですか?

折原 第1はファンです。私たちはこの8月で結成5周年を迎えるんですけど、これまでにグループとしても個人としても「ちょっとヤバいかも……」って心が折れそうになることが多くて。そういうギリギリのときに思い出すのってファンの人たちの顔なんです。ここに立ちたいとか、こういうことがしたいとか、みんなとこの5年の間に交わしたたくさんの約束を叶えられないまま裏切られへんっていう気持ちがあって。

──なるほど。

折原 普段のMCでも言うんですけど、私たちは1対1でお客さんと向き合いたいんです。「みんな」というよりも「あなた」。だから、つらいときに思い出すのも1人ひとりのファンの顔と声なんです。アイドルシーンだとよくワンマン開催に向けて「◯◯人キャパのライブに挑戦します」とか、「ソールドを目指してます」みたいなことを言いますよね。それってお客さんのことを“数”として見ているようで嫌だったから、私たちはそういうことをこれまで言ってこなかったんです。けど、私たちのことを応援してくれている人たちにもっとすごい景色を見せるためには1つひとつのライブをしっかりやり切らないといけないし、現状維持じゃダメだっていう葛藤があって。だから、今ではそこから一歩踏み出して、「ソールドを目指してます」「◯◯人キャパに挑戦します」とはっきり目標を掲げて言うようになりました。でも、根本の気持ちは今も変わってないです。それはNightOwlが一番大事にしていることだと思います。

折原伊桜

折原伊桜

──では、2つ目は?

百城 ステージです。今年4月にLIQUIDROOMでワンマンがあったんですけど、それに向けて準備をしているときに、「お客さんと一緒にライブを作るというのがNightOwlの形なんだ」という気持ちがより強くなって、そのためにはまず私たち自身がステージを楽しまないといけないと思うようになりました。2、3年前は「楽しい」というよりも「楽しませないといけない」みたいな義務感でガチガチやったんですよ。けど、みんながニコニコしてたりライブを楽しみにしてくれたりしているのに、うちらがガチガチなのはちょっと違うなって気付いて。まずは自分たちがステージを楽しもうっていう方向にシフトしたのが、リキッド公演の少し前。今では「楽しい」をもっと伝染させていくのがステージで絶対譲れないことの1つになってます。

折原 2、3年前のライブもよかったと言えば、よかったんですよ。私たちはどんなライブでも毎回テーマを決めていて。

──例えば?

折原 「今日はどんなメッセージを届けようか」って。平日のライブやったら仕事終わりで疲れた状態で来てくれてる人もおるから、「今日はぱーっと遊んで、『いい日やった!』で締めくくってほしい」みたいな。そういうことをデビューしてから毎回考え続けていたんです。

雨夜 ただ、そのせいでちょっと頭が固くなっていた時期があって。

百城 「今日はどの意志を伝えようか……!」みたいな。

折原 それが重くなるねんな。

百城 そうそう。重くて逆に伝わらん、みたいな。

折原 常に「人生……!」みたいな、遊びじゃない感じの空気が出てて。

雨夜 そのせいでお客さんから「軍隊」って言われてたこともあったもんね。

折原 あった!(笑)

雨夜 でも、「今日はいいライブができたかも」っていうときって、意外と頭でっかちにならずに個々で楽しむことを意識した日で、お客さんとも意識がシンクロするんですよね。大事なのはそういうことなんだっていうことに「軍隊」時代があったからこそ気付けました。

折原 最近、楽しいもんな。

百城 楽しい。やっぱり言葉も大事ですけど、自分たちがまとう空気感も大事だし、そのほうがより伝わるなって思います。

──では3つ目はなんでしょう。

雨夜 主体性ですね。NightOwlは考える人の集まりで、いろんな活動に対して「これはどうしてやるのか」「これをやったらどうなるのか」ってみんなで考えるし、運営さんとも話し合いを重ねてから表に出すっていうことをずっと繰り返してきていて。なので、メンバーの考えが変わったり、アップデートしたりすることでやり方は変わるし、それがないとNightOwlにはならないかも。

雨夜憧

雨夜憧

──かなり話し合いをするグループなんですね。

雨夜 私たちは関西を拠点に活動しているから車移動が多いし、そのおかげで仕事以外でもメンバーと一緒に過ごす時間がすごく長いんです。そういうときにお互いにたくさん言葉を交わしたりするし、マネージャーさんと「これってもっとこうしたほうがいいのかな」みたいな話をするとすぐに意見を拾い上げてくれたりして。それだけ一緒にいるから、「この子、今日はなんかいつもと違うな」っていうことにも気付きやすくて、何かいつもとの違いを感じたら意識して声をかけたりします。

折原 メンバーそれぞれたまに落ち込むこともあるし、「今日は思い切りライブを盛り上げられるマインドじゃない」というときももちろんあるんですよ。そういうときは、「じゃあ、あなたは自分のパフォーマンスを魅せることに今日は専念しよう。それができてたらいいから」みたいなことを話します。

雨夜 調子が悪いメンバーの何倍もほかのメンバーが笑うとかね。

折原 「自分、今日は元気やからめっちゃ煽れるで!」とか。そうやって日々のライブを作ってます。