音楽ナタリー Power Push - 夏の魔物×曽我部恵一×Sundayカミデ
曽我部とSundayが明かす 成田大致の制作スタイル
同じメンバーで作れた初めての作品
──以前組んでいたバンドでは成田さん自身も歌詞を書いていましたよね。
成田 いや、でも全然ダメだったんです(笑)。
曽我部 人に作ってもらったほうが、自分らしさが出るってことはあるもんね。
成田 本当に、そうなんですよ。
曽我部 全部自分で作ってるから偉いとか、誰かに書いてもらってるからクリエイティブじゃないってことはないから。自分が好きな音楽とかでも、作家が作って歌ってるものはいっぱいあるわけだし。今はみんな自分で曲作るから、それが当たり前みたいになっちゃってるけど。
成田 昔のバンドのときは、みんなで集まってああだこうだ言って、最終的には、場の空気で「じゃあこうしよう」って、曲を作ってたんですけど、やっぱりなんだか納得がいかない部分とか、妥協してる感じがどこかにあって。そういう形で作品が残ってくことがあんまりいいと思えなかった。
本多 以前成田くんがやってたTHE WAYBARKっていうバンドは、彼のバンドじゃなかったんですよね。彼はいちメンバーでしかなかった。
成田 そのあと、もう妥協せずにやりたいことを自分が舵を取って全部やろうと思って、SILLYTHINGというバンドを組んだんですけど、それもうまくいかなくて、僕以外のメンバー全員いなくなってしまった(笑)。200トラック以上あって打ち込みでやりたいとか、こういうフレーズでこういうニュアンスでと言っても誰もわかってくれないし納得もしてくれない。それでメンバーがいなくなったあとに大内さんが合流してくれたっていう。
──それが夏の魔物の前身に当たるDPGになるわけですね。
成田 そうです。でもDPGも「何をやってるかわからない」ってよく言われてて。奇抜な格好の人がなんかプロレスしてるみたいな。それでメンバーもどんどん入れ替わって。夏の魔物になってメジャーデビューが決まったタイミングで、やっと今のメンバーに固まったんですよね。
曽我部 今いる女の子たちはどうやって入ったの?
成田 今のメンバーは僕がやりたい作品を表現できる人、ちゃんと歌える子、踊れる子を探してて、それで声をかけたんです。この1年で、やりたいこととやれることが初めてリンクしたと思ってます。
大内 確かにそうだ。
本多 今の女の子2人が参加したときは「プロが入ってきた!」って思いました。
参加ミュージシャンを選ぶ基準
──ところでSundayさんが作った「ダーリン no cry!!!」は演奏しているメンバーも豪華ですよね。ピアノがハジメタルさん、ドラムがBOBOさん、ベースがPOLYSICSのフミさん、ギターがTHE STARBEMSの越川和磨さん。
成田 この人とやりたいっていう人にしか頼んでませんから。例えばBOBOさんは、くるりとかフジファブリックで叩いてるところを観てて、この曲に絶対マッチするだろうなって。そこにフミさんが弾いてくれたらもう最強のリズム隊だと思って。
──そのイメージが見えてるんですね。
成田 そうですね。
──じゃあ人選に関して、自分がファンであることは大前提としても、好きな人を上から順に選んでるわけではない?
成田 それは全然ないです。誰でもいいわけじゃなくて、自分が観に行ったり作品聴いたりして、自分の中で感動したポイントをイメージして考えてます。
──そこで成田さんの中の膨大な蓄積が生きてくるんですね。
成田 そうですね。ギターソロはジョン・フルシアンテばりに顔で弾きつつ、最後絶頂に達してほしい、みたいなことを西さん(越川和磨)に長文のLINEでお願いして。「アルペジオはこういう感じで」「じゃあイエモンみたいに弾いてみるね」みたいな。結果、皆さんリクエスト以上のことを戻してくれるんですよね。
Sunday 発注するときに「顔で弾いてください」ってすごいね(笑)。
成田 でもその絵が浮かぶんですよね。西さんが弾いてるところが。
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- 夏の魔物 ニューシングル「東京妄想フォーエバーヤング / ダーリン no cry!!!」 / 2016年1月20日発売 / 1000円 / ポニーキャニオン
- イラストジャケット Ver. [CD] PCCA-04334
- 夏の魔物 Ver. [CD] PCCA-04335
- ブラックDPG Ver. [CD] PCCA-04336
収録曲
- 東京妄想フォーエバーヤング
[作詞:山内マリコ / 作曲・ギター演奏:曽我部恵一 / RAP作詞・歌唱:BIKKE(TOKYO No.1 SOUL SET) / 編曲:ARM(IOSYS)] - ダーリン no cry!!!
[作詞・作曲:Sundayカミデ / 編曲・ピアノ:ハジメタル] - 邪88
[作詞:ノマアキコ / 作曲:下村陽子 / 編曲:増本直樹] - 東京妄想フォーエバーヤング(Inst.)
- ダーリン no cry!!!(Inst.)
- 邪88(Inst.)
「夏の魔物現象2016」ROAD TO 10th ANNIVERSARYシリーズ
♯1 INKT VS 夏の魔物 ~ギリギリで五日遅れのバレンタインツーマン~
2016年2月19日(金)東京都 新宿ACB HALL
OPEN 18:30 / START 19:15
<出演者>
INKT / 夏の魔物 / ブラックDPG
夏の魔物(ナツノマモノ)
2006年から青森県で毎年開催されているライブイベント「AOMORI ROCK FESTIVAL -夏の魔物-」の主催者である成田大致を中心として2015年3月に発足したユニット。成田のほか、塚本舞、大内ライダー、アントーニオ本多、ケンドー・チャンの計5人からなる。同年8月、シングル「恋愛至上主義サマーエブリデイ / どきめきライブ・ラリ」をポニーキャニオンより発表し、メジャーデビュー。2016年1月にはニューシングル「東京妄想フォーエバーヤング / ダーリン no cry!!!」をリリースした。対抗するヒールユニット・ブラックDPGとライブ中にプロレスを繰り広げるなど、破天荒なパフォーマンスで人気を博している。
曽我部恵一(ソカベケイイチ)
1971年生まれ、香川県出身のシンガーソングライター。1990年代からサニーデイ・サービスの中心人物として活躍し、バンド解散後の2001年からソロアーティストとしての活動を開始する。精力的なライブ活動と作品リリースを続け、客演やプロデュースワークなども多数。現在はソロのほか、再結成したサニーデイ・サービスなどで活動を展開し、フォーキーでポップなサウンドとパワフルなロックナンバーが多くの音楽ファンから愛され続けている。2004年からは自主レーベル「ROSE RECORDS」を設立し、自身の作品を含むさまざまなアイテムをリリースしている。3児の父。
Sundayカミデ(サンデイカミデ)
2010年に結成した6人組バンド・ワンダフルボーイズのボーカル兼リーダー。2013年には奇妙礼太郎(Vo, G)とテシマコージ(Dr)とともに天才バンドを結成しており、同バンドでは作曲とキーボード、コーラスを担当している。2013年9月にはソロ名義でのアルバム「MY NAME IS !!!」を発表。同アルバムには自身が執筆した小説が付属するなど、多彩な才能をさまざまな形で発揮している。