ジャンルを超えて使われる爆発
みきとP 今回の動画に限らず、からめるさんの動画は爆発するシーンが多いじゃないですか。実は音楽でも爆発はギャグとして成立させやすいんですよ。
からめる え、そうなんですか?
みきとP 「ドカーン」という爆発音を何度か使ったことがあります。爆発ってすごく便利で、ギャグとかネタであることが伝えやすいし、使いどころによってはカッコよくすることもできる。ヒップホップなんかでも最後にドカーンという音が入ったりしますよね。
ナナヲ 確かに。
からめる 僕が描く動画では爆発をオチに使うことが多いんですけど、たまに爆発しない動画を作ると「爆発が足りない」ってコメントが付くんですよね(笑)。そんなに火薬が求められているのかと。
みきとP この間ひさびさに「ハリーポッター」を観たんだけど、あの映画、劇中で2回くらい爆発するシーンが出てくるんですよね。「逆走少女」のMVでは何回も爆発するシーンが出てくるし、国もジャンルも超えて共通することってあるんだなと思いました。
完全にオタク
ナナヲ MVを作るに当たって、どこか大変なところはありましたか?
からめる 2回目のサビで「反省中 反省中 反省中毒」という歌詞が出てくるんですけど、「反省中毒ってなんだ?」と思いまして。反省中毒という言葉をどう映像で表現するかをけっこう考えました。結果として、反省と言えば土下座ということにして、土下座のしすぎで地中を掘っていくという、謎の展開になってしまいました。
ナナヲ しかも地中を掘りすぎて、宇宙まで突き抜けちゃうんですよね。もう最高の展開ですよ(笑)。メチャクチャ笑いました。
──動画の中で布団の横にカルボナーラが置いてあるシーンがありますよね。アレって……。
からめる ナナヲさんが公式チャンネルでカルボナーラを作る動画を上げたことがあって、そこから来ています。それとそのシーンの棚にはヨーヨーが置かれていますが、これもナナヲさんがヨーヨーをする動画があるからです(笑)。
ナナヲ え、ナナヲのことすごく見てくれてる!
からめる もともとナナヲさんの曲は聴いていたし、いろんな動画も観ていたんですけど、MVを作るにあたってはもう本当に全部調べ上げたというか、完全にナナヲアカリオタクと化していました(笑)。
みきとP 僕、マリオが旗を取るところのオマージュが込められたシーンを観たときに「あ、この人天才だわ」と思った。
からめる ありがとうございます!
みきとP 自分では絶対思い付かない演出だったから。
からめる 実はゲームにまつわるメタファーがもう2つあって、少女が落ちてしまったときの光が……。
ナナヲ 「スマブラ」と同じだ!
からめる そうです。それともう1つはマイナーなんですけど、その次に出てくるゲームオーバーのシーンは、ファミリーコンピューターの「AKIRA」のゲームオーバー画面に寄せています。
みきとP すごく細かい!
ナナヲ 言われても全然わからない!
からめる 初見で気付く人、いるかなあ?
みきとP 今回の取材でちゃんと答え合わせができてよかったね(笑)。こういうネタばらしってなかなか自分からは発信しにくいから。
「からめるさんの猫が大暴れしたら」
──これはちょっと余談なんですが、完成した曲をMVにする際にはどのようなことを考えてクリエイターさんを選んでいるんでしょうか?
みきとP すごく難しい質問ですね。これまで何本もMVを作ってもらってますけど、僕もまだ明確な基準みたいなものは持ってないんですよ。ナナヲさんは?
ナナヲ 歌っているときにパッと思い浮かんだイメージを形にしてくれる人をすごく探します。(寺田)てらちゃんとか、いつもの感じでお願いできるパターンもあるんですけど、これまでナナヲになかったタイプの曲が完成したときは、誰にイラストや動画をお願いしようかとメチャクチャ探すんです。「逆走少女」のときはすぐに「からめるさんの猫が大暴れしたらメッチャよくなりそう」って思い付いたんですよ。みきとさんは最近1枚絵が多いですよね。
みきとP そうですね。僕は動画のイメージがあまり浮かばないタイプというか、なんとなく情景は見えていてもそれをどういう動画にすればいいかまではわからなくて。情景は思い浮かぶので、イラストで発注するほうが性に合っているんですよね。だからいろんなイラストレーターの作品が載っている冊子をペラペラめくってイメージに合った人を探すことも多いかな。
ナナヲ 今回のからめるさんへの依頼はけっこう丸投げっぽかったんですけど、大丈夫でしたか?
からめる 全然大丈夫でした。むしろ自由な発想で動画が作れたのが楽しかったくらいなので。
みきとP 今回の動画を観て、からめるさんに動画を発注してくれる人がもっと出てくると思うよ。
からめる 猫ばっかりじゃなくて少女のイラストも描けるようになったので、いろんなお仕事につなげたいですね。MVのお仕事もすごく楽しかったので、また挑戦したいです。
人生のトップ10に入る
からめる 動画を作りながら何度も何度も聴いていくうちにどんどん好きになっていって。今では「逆走少女」が人生のトップ10に入るくらい好きな曲になりました。
みきとP 人生のトップ10に入るくらい好きって、すごい上位ですね。
ナナヲ メチャクチャうれしい……!
からめる すごく思い入れの強い曲になりました。
ナナヲ ナナヲもこの曲、メチャクチャ好きなんです。それに、スタジオにあんなに人が集まってわいわいレコーディングするのとかも初めてだったんですよ。だから作っている最中もすごく楽しくて。
みきとP そうだったんだ。てっきりいつもあんな感じで録ってるのかと思ってた。
ナナヲ 初めての経験でした。「逆走少女」はライブ映えする曲なので、みんなで一緒に盛り上がりたいですね。MVの動きを真似てくれれば大丈夫なので。
みきとP からめるさんの猫が描かれた風船を作って、上から降らせましょうよ。
からめる フロアに僕の猫が降ってくるの、すごく見てみたいです。風船は爆発させないようにしますね(笑)。
一同 (笑)。
ナナヲ みきとさんがさっきクレイジーな曲と表現していた通り、本当に笑っちゃうくらい変なことを歌っているんですけど、なぜか勇気をもらえるのが「逆走少女」の魅力だと思うんです。がんばれないときとか、元気が欲しいときに聴いてもらいたい1曲になりました。早くライブで歌いたいな。