音楽ナタリー PowerPush -ななみ

13曲で届けるななみの愛

自分が満たされたいわけじゃない

──2ndシングル「I’ll wake up」のインタビューで、最後にななみさんが「男で人生終わるような生き方はもったいない」とおっしゃっていて、すごく印象に残っていたんです。

ななみ

そうでしたね。それは今でも変わらないです。

──そう言いながら「愛」というキーワードを根底に歌手活動を続けているのが少し特殊だと思うんです。もちろん「愛」という言葉の定義にもよりますが、一般的に言われている「愛」と、ななみさんが歌っている「愛」は、感覚的にギャップがあるのかもしれないと思って。

私は愛が男女の仲だけのものではないと思っていて、例えば男女としての関係で成り立つ愛よりも、別れたあとに友達になってから感じる愛のほうが信じられるものだったりすると思うんですよ。

──それはどういう意味でしょうか?

付き合っているときに生まれてくる、相手を束縛しようとしたり、自分のものにしようとする感情が愛ではないんじゃないかなって。家族にだって愛はあるけど、束縛はしないじゃないですか。たぶん「男で人生終わりたくない」って言うのは、そういう感情に支配されたくないからかなって思うんですけど……、改めて言葉にするのは難しいですね(笑)。結局、私は愛に満たされてないから歌ってるんだと思うんです。かといって、自分が満たされたいわけでもなくて、「愛が欲しい、愛がない」って叫んでる人たちに曲を作って届けていくのが、私のやるべきことなのかなって最近すごく感じているんです。

──曲を届けることが、ななみさんの考える愛の形の1つだということでしょうか?

前は自分のために歌ってた私が、今は曲を聴いてくれてる仲間のために歌っている。それが愛なのかなあと思っているところもあります。でもそれは自己犠牲とかそういう感じでは全然なくて、私は私でみんなに囲まれて歌を伝えられて幸せなんです。

──リスナーの反応はどうですか? ななみさんの歌や気持ちが届いている手応えは感じているんでしょうか?

Twitterとかをやってるといろいろ反響をもらえるし、歌えば歌うほど自分の中で伝えたいことが増えてるってことは、伝わってる手応えを感じているからだと思うんです。伝えたいことがなくなるとすれば、それは伝わらないってあきらめたときだって。人に対してあきらめてない自分がいるから、まだまだ歌うことはいっぱいあるなと思ってます。

世界を変えるのは、少しずつでいい

──「愛」をテーマに曲を作り続けているななみさんにとって、今回のアルバムはある意味これまでの活動の集大成的な作品だと思うんですが、今作をリリースしてからこれから先のビジョンってどう考えてますか?

ななみ

前のインタビューで確か、「私は世界を変えたい」って言いましたよね?

──言いました。

じゃあそれに向かって活動するだけです(笑)。ホントに変わってないですから。

──それでもメジャーデビューから7カ月間、濃密な時間を過ごしてみて何か変わったところはあるんじゃないですか?

そうですね。前みたいにがむしゃらに「世界を変えたい」って言ってるわけじゃないかもしれないです。以前はもっと一気に変えたいって思っていたんですけど、今は小さいところからやっていこうって。例えば、今は来てくれた人の顔が見える距離でライブをやってるんです。これが見えなくなったらつらいなって考えちゃうので。だから「世界を変えたい」っていう気持ちは変わらないけど、今はだんだん変えられればいいかなって思ってます。

──「世界を変えたい」というゴール地点は変わらないんですね。

そうですね。まず目の前の人を助けていって、その人たちがほかの人とどんどん手をつないでいってくれればいいなって思ってます。以前は「私がみんなと手をつながなきゃ」って思ってたんですけど、それはたぶん自分が無理をすることになっちゃう。

──今のお話はアーティスト・ななみとしての目標だと思うんですけど、プライベートで挑戦したいこととか、始めたいことは何かありますか?

うーん……。ホントに音楽しかしてなくて、それで満足してるから。音楽以外何も思い浮かばないんですよね。

──何か取り組みたい趣味とかは?

ななみ

趣味が音楽なので(笑)。恋愛も今してないし、ホントに何もないんですね。いい意味で音楽に集中せざるを得ない状況なのが少しいいような気がしてますし。ただ、もうちょっと頭がよくなりたいですね。歌詞を書くときに「やっぱり勉強しとかなきゃな」と思うんですよ。アルバムにも入ってますけど、英詞の曲だったらしっかり英語を理解してなきゃいけないなって思いますし。

──結局は音楽につながっていくんですね(笑)。ななみさんは音楽に没頭してる中で、同世代の女性たちをうらやましいと思うことはありませんか?

恋愛してる女の子はいいなって思います。かわいいなって。恋をするっていうのは、ある意味弱みを握られることなんです。私は今、それができないから。

──なぜできないんですか?

弱みを握られることが嫌だと思っちゃうから。そういう余裕も今のところはあんまりないですし。だから、今はいいかなみたいに思ってます。

1stアルバム「ななみ」/ 2015年5月13日発売 / 3000円 / e-stretch RECORDS / CRCP-40407
1stアルバム「ななみ」
収録曲
  1. I'll wake up
  2. 去れ負け犬よ
  3. 約束を果たすその日まで
  4. I live for love
  5. 愛してる
  6. 出逢えたのはあの店で
  7. 許されざる愛
  8. ポケットの恋花火
  9. 君という宝物
  10. 悲しみにありがとう
  11. Dahlia
  12. 涙レンズ
  13. 愛が叫んでる
“~73 Street Mission 2015~”
1st Album「ななみ」リリース全国ストリートライブツアー
  • 2015年5月13日(水)~17日(日)九州各地
    ※開催地、開催時間などの詳細はオフィシャルサイトや、ななみスタッフTwitterFacebookで随時発表。
  • 2015年5月23日(土)東京都 新宿駅、渋谷駅周辺予定
  • 2015年5月27日(水)愛知県 名古屋駅周辺予定
  • 2015年5月28日(木)愛知県 名古屋市内予定
  • 2015年5月30日(土)埼玉県 大宮駅、川口駅周辺予定
  • and more
  • ※6、7月も「73 street mission 2015」は全国で展開予定。
ななみ

1993年、大分県生まれ。学生時代から地元大分でライブの経験を積み、2013年1月に行われたヤマハグループ主催のコンテスト「The 6th Music Revolution JAPAN FINAL」でグランプリを受賞。NHK大分放送局のノンフィクション番組「ドキュメント 桃」の主題歌として書き下ろし曲「桜」がオンエアされるなど、地元大分での注目を集めた。グランプリ受賞後は、全国22カ所を1人で回る弾き語りツアーを行い、着実にその知名度を上げていく。2014年10月、自身が“暗黒時代”と呼ぶ学生の頃の経験をモチーフにした楽曲「愛が叫んでる」をシングルリリースし、日本クラウンとヤマハが合同で設立したe-stretch RECORDSよりメジャーデビュー。2015年2月に2ndシングル「I'll wake up」を、同年5月に1stアルバム「ななみ」を発表した。