中ノ森BANDをやっていたから音楽の深いところを知ることができた

──自分のプランが大きく変わってしまった、と感じた出来事は具体的になんだったのか、差し支えなければ教えてください。

中ノ森BAND解散のときですね。喉を壊すっていうのもプランにはなかったわけだし。ホント3カ月後すら何が起こるかわからないですよ、もしかしたら明日事故に遭うかもしれないし。だから先を描きすぎないで、もっと今を楽しく過ごしていこうって思ったんです。ほかにも的が外れた方向のまま走り続けるっていうことだってあるかもしれないし。今は着実に音楽に向き合っていこうって考えています。

──普通は解散をプランに入れてバンド活動をスタートさせたりしないですもんね。

そもそも自分のデビューの形は最初からソロだったんです。そこも私のプランとは違うんですよね（笑）。「あれ、私バンドなの？」って。そういうことがいっぱいありすぎて！

──え!? そうだったんですか？

実は当初ソロデビューが決まっていて、アー写やジャケット写真の撮影もして、デビュー日まで決まっていたのが全部なくなっちゃったんです。それから潜伏しつつ（笑）、いろいろな楽器だったり習いごとだったりを音楽の知識をつけるべくいろいろやってたら……バンドに？っていう感じでした。

──ソロのはずがバンドでデビューすることになった、ってめちゃくちゃデカいギャップじゃないですか。

そうなんです。小学校のときにテレビ観てて、Mステとかやってるじゃないですか。私はあそこに立つんだなって漠然と思ってたんです。そこは1人で立ってる絵が見えてたんですけど、現実はそうじゃなかったっていう。

──いろいろなどんでん返しを経験したからこそ、シンプルに目の前のことをがんばるという方向性にシフトしたんですね。そんな中でこれまでと今とで変わっていない考えみたいなものはありますか？

歌が好き、もっと歌いたい、歌うことで1人でも何かを感じてくれればいいっていう部分は変わってないと思いますね。

──バンドからスタートした中ノ森さんのキャリアですが、今は子供の頃に思い描いていた通りのソロシンガーになりました。今は「念願のソロ！」という気持ちですか？

それはないです。バンドをやっていたから音楽の深いところを知ることができて今があるって思いますし。中学から東京に出てきた私がただ歌だけ歌っていたら何もわからないままだったと思うんですよね。例えばメンバーと「グルーヴが」とか話したり、ひたすら練習したり、あと個々の演奏を1つにすると化学反応が起きるんだってこともバンドをやってきたからこそわかるもので。だからバンド時代の経験も生かして今ここまで来れたって思ってます。

──プレイヤー目線を養うことができた、ということでしょうか。

そうですね。ギターも中ノ森BANDのときはサポートの人がいて。プロの人と一緒にやれたっていうのは私には一番よかったのかなって思います。私、作家とかエンジニアの友達が多いんですよ、「オタク、飲みに行かない？」って（笑）。技術者の話を聞くのが好きっていうところがあるんですね。そっちのほうがためになるし楽しいし、知らないこと知れるし。

──常に勉強なんですね。

はい。今は「世の中にはこんなにすごい人がいるんだ」ってことに気付きたいっていうか、私が単純に音楽が好きだからもっと知りたいんです。そうして身になったものがライブなんかで最終的に誰かが何かを感じてくれれば、また違った喜びにもなるし。

まずは「Get the glory」に集中

──最後に、今後中ノ森さんはどういった活動を展開していきたいと思っていますか？

「Get the glory」に関しては、今まで私が子供向けアニメの歌を歌わせていただくことがなかったので、これから子供と触れ合う機会があるのかなあって楽しみだったりして。次の作品って言うよりはまず「Get the glory」に集中していくって感じです。

──まずは目の前のこと、と。

はい。まずはライブ会場に来てくれた人に全力で歌を届けていきたいですね。「Get the glory」はこれまでの作品とまったく違うからそれをどうセットリストに組み込んでいこうかなっていうことも考えていて。

──ライブのセットリスト、作るの大変そうですね（笑）。

前回は“おバカ”がテーマで、「どこまで下ネタつっこめるか」とかだったんですけど（笑）。そういったことも歌いつつ熱い曲も歌うっていう。心のバランス的にはいいんですけどね、熱さと下ネタ（笑）。