ナタリー PowerPush - 中ノ森文子

未来より今! バンド解散後に見つけた新境地

中ノ森文子のソロメジャー1stシングル「Get the glory」が6月11日にFlyingDogからリリースされる。タイトル曲はテレビアニメ「テンカイナイト」の主題歌で、アニメの躍動的なアクションシーンを彷彿とさせるパワフルなロックナンバーとなっている。

ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、シングル発表時に公開された大胆なイメチェンの理由や楽曲制作の感想のほか、上京や中ノ森BAND時代を経た今の心境を語ってもらった。

取材・文 / 鵜飼亮次 撮影 / 佐藤類

目の前のことに本気になる大切さ

──今作のリリースに関して、金髪パーマから黒髪ボブへのイメチェンにまずびっくりしました!(参考:中ノ森文子、新作ジャケでざっくり黒髪ボブにイメチェン

「Get the glory」ジャケット

色を変えるっていうのは大きかったみたいで、会う人会う人が「ええーっ!」って驚いてくれましたね(笑)。

──大胆なビジュアルの変化には何か理由があったのでしょうか?

「Get the glory」が少年向けアニメのタイアップ曲で、曲のテーマが「少年」だったんです。それで“少年感”を出したかったというか。少年で金髪だったらヤンキーですから(笑)。

──ビデオクリップも中ノ森さんの激しいアクションが印象的で、“少年感”がすごく出ていますね。

そうですね。あんな動きは今までしたことがなかったんです。バンド時代はギターを持っていたし、これまでリリースしたソロ作品もクラブ向けの音だったし。「少年」というテーマを映像でどう表現すればいいのかなあってスタジオに入ったり撮影直前までずっと考えたりした結果、「ただガムシャラに!」って出てきたのがあの形でした。

──なるほど。歌以外の部分でもさまざまな工夫があったんですね。

とにかく今回は黒髪にしたりPVで激しく動いたり、今までにない表現に挑戦しました。大人になっていくと経験や知恵が勝手に悪い方向に予測変換して、本能的にアクションを起こすっていうことの邪魔をしていくじゃないですか。何も考えずに恐怖心もなく突っ走ってたあの幼少時代が恋しくもあったので、「Get the glory」では「少年」っていうテーマのもと1つひとつ目の前のことに本気になる大切さをシンプルに伝えたいなって。

単純にカッコいいと思われる曲にしたい

──「Get the glory」は中ノ森さんが作詞を担当しています。詞のほうはアニメ「テンカイナイト」を観た上で書いたんですか?

中ノ森文子

はい。事前に3話くらいまでいただいたのでそれを観ながら。普段はテレビを観ていない……ていうか、そもそもここ何年かテレビ生活自体から離れていたんです。誰が死んだとか殺されたとか暗いニュースを観ていると、自分も落ち込んできちゃうんですよね。なので欲しい情報だけネットで調べたり映画を観に行ったりと、制作する上でいらないなっていう情報をここ何年かは遮断してました。でも半年前くらい前から自分が人として次のステージに来れたかなって思って(笑)、生活の中にテレビを入れようって思ったんです。

──ひさびさに観たテレビ番組がバトルもののアニメだと刺激が強かったのでは?

刺激というか、そもそも「テンカイナイト」が子供向けのアニメだから、20代後半の自分が観たときにこれを一視聴者として楽しめるのかなっていう疑問がまずあったんです。でも観てみたら意外と「面白いなーテンカイナイト」って(笑)。おもちゃ屋にブレイヴンとトリビュトンを買いに行きましたからね。知らない男の子とおもちゃを選んでました。

──歌詞にはアニメの勢いや友達と力を合わせていくことの大切さが素直に表現されているなあと感じました。

アニメでも使われる「コンストラクション」とか、ある程度「このワードは入れてほしい」っていうリクエストはあって。でも「『テンカイ』を入れたい」って聞いたときは「テンカイ? どこに入れよう!?」とか思いましたけど(笑)。

──「テンカイ 変えてやる」と見事に入ってますね(笑)。

中ノ森文子

はい。あとインパクトの強い言葉が歌詞に多いので、曲にハマらないと響かないと思うんですよね。アニメを観てこの曲を知ってくれた人だけじゃなくて、観なくても曲のクオリティで単純に「かっけーな!」って思われるものにしたかったので、歌詞がきちんとメロディに乗るように言葉のハメを重視しました。

──カップリング曲の「ROLL INTO YOU」は一転して打ち込みビートやシンセサイザーをフィーチャーした英語詞のナンバーですね。こちらの作詞はまず中ノ森さんが日本語詞を作り、それをKimotto(YOCCO)さんが英訳するという流れで作られたんでしょうか?

そうですね。私が詞のテーマを決めて「自分はこうしたい」「こういうことを言いたい」という部分を伝えて、それを汲み取ってもらった上で英語の微妙なニュアンスも含めて詞にしてもらいました。

──こちらは詞だけじゃなくて作曲も中ノ森さんが担当しています。「Get the glory」と比べて楽曲の制作スタンスも大きく変わってきますか?

自分の表現する度合いが変わりますね。カップリングは曲や歌詞の内容をアニメに寄せなくていいよってお話だったので、そのときの自分から出てきたものをそのまま形にしました。楽曲が用意されているときに比べて素の自分を反映する部分が多くなりましたね。でもどっちも好きです。自分で制作をして、歌っているので。

ニューシングル「Get the glory」/ 2014年6月11日発売 / Flying Dog / VTCL-35185
[CD] 1188円 / VTCL-35185
収録曲
  1. Get the glory[作詞:中ノ森文子 / 作・編曲:WEST GROUND]
  2. ROLL INTO YOU[作詞・作曲:中ノ森文子 / 編曲:堀江晶太,WEST GROUND / 英詞:Kimotto(YOCCO)]
  3. Get the glory(Instrumental)
  4. ROLL INTO YOU(Instrumental)
中ノ森文子(ナカノモリアヤコ)
中ノ森文子

1985年生まれ、福岡県出身のシンガーソングライター。中学時代に「スターライトオーディション2000」にてグランプリを受賞したことをきっかけに単身で上京。2005年には4人組ガールズバンド・中ノ森BANDのギターボーカルとしてメジャーデビューを果たす。2008年にバンドを解散し、2010年よりソロ活動を開始。1stアルバム「Follow me!!」やデジタルシングル「READ MEEEE!!!!」を発表し、ライブイベントにも多数参加した。2014年6月11日にはFlyingDogよりメジャーデビューシングル「Get the glory」をリリース。