ヒコロヒー×オズワルド畠中が語る「中島みゆきコンサート『歌会VOL.1』 劇場版」|地上に遊びに来た神様の宴 (2/2)

歌うときとMCのギャップが可愛い

──今回のコンサートはコロナ禍以来4年ぶりの開催で、その間には長年バンマスを務めてきた小林信吾さんがお亡くなりになるという出来事もありました。だからかはわかりませんが、「命のリレー」「愛だけを残せ」「体温」など、命にまつわる歌も多かったと個人的には感じました。

畠中 確かにそうですね。「ともに」「病院童びょういんわらし」「銀の龍の背に乗って」という病院ドラマの主題歌など医療関係の曲も3曲ありますし。「命のリレー」もいいですよね。「命のバトンを掴んで 願いを引き継いでゆけ」って、みゆきさんの中にずっとある精神だと思うんですが、僕もみゆきさんの歌からその精神を受け継がせてもらっている気がします。

──畠中さんは今年大きな手術があり、大変な年でしたよね。

畠中 そうですね。ただ生死に関わるほどではなかったですし、何より病院関係者の方々のサポートのおかげで無事に退院することができました。

ヒコロヒー ほんまに大変な年やったんやな。

畠中 でも僕、3月の頭に手術があって、「歌会」に行ったのが3月15日の公演なんですよ。もとからその日に行くと決まっていて。なので手術を乗り越えたら中島みゆきさんのコンサートがあるというのがすごくモチベーションになりました。

左からヒコロヒー、畠中悠。

左からヒコロヒー、畠中悠。

──「体温」では「生きてるだけでも奇跡でしょ」というフレーズもありますし、より心に響いてきたのでは?

畠中 命の重さを感じるというか、生きててよかったなと思いましたね。

──ほかには「ミラージュ・ホテル」から「リトル・トーキョー」まで、中島みゆきさんのライフワークとも言うべき舞台「夜会」の曲を5曲連続で披露するパートもありました。

畠中 1曲ごとに早着替えをしていてすごかったですね。ステージの中央後方に洋服のラックがかけてあって。「リトル・トーキョー」ではアウトロの間に早着替えして走って戻ってきましたけど、その仕草とかすごくチャーミングだと思いました。

ヒコロヒー かわいかったね。あと私はMCもすごく好きで。とってもユーモラスで、ちょっとしたボケとかもオモロいし。お客さんが会場で書いたメッセージを読み上げる「おたよりコーナー」でペンネームを読み上げるときとか、「『オールナイトニッポン』みたい!」ってちょっと感動したもん。

畠中 歌うときとMCのギャップがまたかわいいですよね。

中島みゆきは普遍的なものをずっと歌っている

──ライブ会場には親子連れのお客さんも多くて、お二人と同年代の方も多くいました。なぜ中島みゆきさんの歌は老若男女を惹き付けるんだと思いますか?

畠中 人生のテーマを全部みゆきさんの歌が教えてくれている気がするんですよね。ソクラテスや孔子の格言って普遍的だから今も語り継がれていると思うんですけど、みゆきさんも同じくらい普遍的なものをずっと歌っている。僕はお母さんからみゆきさんの歌を受け継ぎましたけど、もし自分に子供ができたら絶対に聴いてほしいし、その下の世代にも聴いてほしい。世界中の人がみゆきさんの曲を聴いたら戦争はなくなると僕は本気で思っていて、それくらい人として生きるうえで大切なことを歌っているからじゃないかな。

ヒコロヒー 私も普遍的だからだと思う。現に私が19、20歳のときに「化粧」を聴いて引き込まれたわけなので。時代が変わっても心に響くものは響くし、あとは40歳とか50歳になってようやくよさがわかる曲もいっぱいあるんだと思う。

左からヒコロヒー、畠中悠。

左からヒコロヒー、畠中悠。

──確かに、「昔はあまりピンとこなかったけど、この年になると沁みる」と感じる曲もたくさんありそうですね。

ヒコロヒー それこそ「蕎麦屋」だって最初に聴いたときは別になんとも思わなかったですから。なんで蕎麦屋に行ってるのにうどん食ってるんだろう、みたいな(笑)。

畠中 僕も最初、なんか退屈な歌だなって思いましたね。

ヒコロヒー だよね。でもお笑いをやり始めていろいろ賞レースに出るようになってから聴いたら「この曲えっぐ!」って(笑)。

畠中 なりますよね。

──お二人ともカラオケによく行くそうですが、中島みゆきさんの曲を歌ったりしますか?

畠中 ダイヤモンドの野澤(輸出)さんもみゆきさんが大好きで、それこそ“中島みゆき縛り”で歌うこともあります。「化粧」とか。

ヒコロヒー 私も「化粧」歌うよ。

──お二人で行ったことは?

畠中 ヒコさんと一緒に行ったことはないですね。

ヒコロヒー ないっけ? スナックとかもないか。じゃあ今度行こうよ。「蕎麦屋」とか入ってるのかな。

畠中 入ってますよ。「蕎麦屋」と「リトル・トーキョー」を歌いたいです。

──では最後に、劇場に足を運ぶ方たちに向けてメッセージをお願いします。

畠中 やっぱりCDで聴くのとコンサートで聴くのってまた全然違って、バンド演奏もコーラスも全部いいんですよね。みゆきさんが歌ってないイントロから圧巻で。あとは先ほども言いましたがみゆきさんの表情ですね。それを大きいスクリーンで観られるのは劇場版ならではの魅力だと思います。

ヒコロヒー 私も本当に顔を見ていただきたい。みゆきさんはもちろん、バンドメンバーの表情も含めて。人間が歌っているところを鑑賞するのって端末からイヤフォンで聴くのでは味わえないぜいたくな時間で、曲の捉え方が変わってくると思うのでぜひ体感してほしいと思います。

左からヒコロヒー、畠中悠。

左からヒコロヒー、畠中悠。

プロフィール

中島みゆき(ナカジマミユキ)

1975年にシングル「アザミ嬢のララバイ」で歌手デビュー。続く2ndシングル「時代」で「世界歌謡祭グランプリ」を受賞する。その後も「わかれうた」「悪女」「空と君のあいだに」「地上の星」など数々のヒット曲を産み続け、1970年代から2000年代まで4つの時代でオリコンシングルチャート1位を獲得。さらに提供曲では2010年代も加えて5つの時代で1位獲得の記録を持つ。1989年には原作、脚本、作詞作曲、演出、主演のすべてを中島が務める舞台「夜会」がスタートし、自身のライフワークとして親しまれている。2022年11月にシングル全94曲の配信を各ストリーミングサービスにて開始した。2023年3月に44thアルバム「世界が違って見える日」を発表。2024年1月から5月にかけて東阪2会場全16公演のコンサート「歌会VOL.1」を実施した。本公演の模様が12月27日より「中島みゆきコンサート『歌会VOL.1』 劇場版」として全国の劇場で公開される。

ヒコロヒー

1989年10月15日生まれ、愛媛県出身。ピン芸人。舞台でのひとりコントやバラエティ番組中心に活動。飾らない等身大のキャラクターで人気を博し、テレビ、ラジオのほかドラマ、映画などの出演も多数。エッセイや恋愛短編小説なども手がけ、その文才にも注目が集まっている。

畠中悠(ハタナカユウ)

1987年生まれ、北海道出身。NSC東京校17期の同期の伊藤俊介とともに2014年11月にオズワルドを結成。2019年から4年連続で「M-1グランプリ」決勝に進出し、2021年に準優勝した。2021年に「第42回ABCお笑いグランプリ」で優勝を果たしている。日本テレビ「超・乃木坂スター誕生!」、チバテレ「東京オズワルドランド」、STV「道産人間 オズブラウン」などにレギュラー出演中。またYouTubeチャンネル「オズワルドのおずWORLD」にて「オズ便り」を展開している。