新人グループ・RIRYDAY、VIGUが参加するガールズグループプロジェクト「MY HERO PROJECT」が始動。10月17日、東京・EX THEATER ROPPONGIにてライブイベント「Finally!! The Hero Has Come Back To…」が開催される。
「MY HERO PROJECT」は、「アイドル」の枠を超えた等身大の“HERO”を世界に発信するプロジェクト。今年7月に6人組ガールズグループRIRYDAYが結成され、「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」などの有名オーディション番組出身者が所属していることから大きな話題に。そんな中、9月には“NEXT HERO“として、4人組の新グループ・VIGUの結成が明らかになった。
謎に包まれた「MY HERO PROJECT」。このプロジェクトは何を目指すのか、RIRYDAYとVIGUはどのような思いを胸に秘めているのか。音楽ナタリーでは、それぞれのインタビューと合同インタビューを通じ、「MY HERO PROJECT」の概要と、“HERO”を目指す10人の思いを聞いた。
取材・文 / 岸野恵加
「アイドル」「ヒロイン」の枠を超えた、同年代の女の子を中心としたリスナーから憧れられる等身大の「HERO」を世界に発信するガールズグループプロジェクト。今年7月にRIRYDAY、10月にVIGUというアイデンティティの異なる2グループがこのプロジェクトから誕生した。「誰も見たことのない新しい景色を作る」というコンセプトのもと新たなガールクラッシュを打ち出し、独自のビジュアル、楽曲、映像、ステージングを日本のトップクリエイターたちとともに作り上げていく。
「MY HERO PROJECT」では、ベースとなる「1990年代後半から2000年代前半の“続き”が存在する世界線」に現代のカルチャーを融合し、単なるリバイバルではない“今”を表現したクリエイティブを制作。所属グループ同士のセッションやスプリット盤のリリース、マンガ・アニメ・ゲームコンテンツとのコラボレーション、多くの人に愛される名曲のカバーパフォーマンスなど、多様な活動を展開していく。
10月17日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催される「MY HERO PROJECT」主催のライブイベント「Finally!! The Hero Has Come Back To…」では、RIRYDAYとVIGUがステージにそろい踏み。VIGUにとっては、これが初めてのステージとなる。
RIRYDAY(リリィデイ)
「女の子が迎えるすべての瞬間を肯定し、きらめく日々を記録する」というコンセプトのもと活動する、「MY HERO PROJECT」の第1弾アーティスト。サバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」に出演していたSAKURA(北爪さくら)やNONOKA(岡部望々花)、AYAKA(細井彩加)、韓国発のサバイバルオーディション番組「Girls Planet 999:少女祭典」に参加していたMIRI(桑原彩菜)、新人のJURI、MIONの6名で構成される。9月6日にはBull$EyEとBorn.Crushがサウンドプロデュースを手がけ、JUVENILE、清竜人が楽曲制作に参加したプレデビューEP「RIRYDAY」を配信リリースした。
VIGU(ヴィグ)
クリエイティブチーム・Born.Crushがプロデュースを手がける「MY HERO PROJECT」の第2弾アーティスト。「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」「Girls Planet 999:少女祭典」「Who is Princess?」という有名サバイバルオーディション番組を経験したHONO(黒川穂香)、AYA(藤本彩花)、YUME(YUMEKO)、そしてVaundyをはじめとした著名アーティストのバックダンサーとして活躍したRAREの4名が在籍する。
4人は「この人生はわたしが選ぶし、好きな人もモノも、わたしが選ぶ」「すべての垣根や既成概念を破壊し、すべてを繋げる」というメッセージを体現。パンクとヒップホップを融合させた攻撃的なサウンドを武器に、日本のガールズグループのイメージを覆すような“BADASSで新しいガールクラッシュ”を表現していく。10月にプレデビュー曲「Breaking Bud」「Walking Dead」をリリース予定で、両曲の作詞と振付創作にはHONOが参加した。
番組は不完全燃焼で終わってしまった
──まずは、それぞれ自己紹介をお願いします。
HONO メンバー最年少、19歳のHONOです。VIGUではメインボーカルを務めています。
YUME YUMEです。小1で始めたダンスが一番の武器だと思っていて、それをグループでも生かしたいし、さらに高みを目指せるようにがんばっていきたいです。
AYA AYAです! 歌やダンスはもちろん、子供の頃から芸能活動をしているので、精神面でもメンバーを支えて、みんなを調和させられるような存在になりたいですね。
RARE RAREと申します。高校を辞めて入った芸能学校で歌や演技をひと通り習い、ダンスの専門学校に入りました。MISIAさんのバックダンサーとして「NHK紅白歌合戦」に出させてもらったり、VaundyさんやSixTONESさんのミュージックビデオに出演したこともあります。日本とイギリスのミックスで英語が得意なので、ラップも率先して担当していきたいです。
──4人が集まってからまだそれほど日が経っていないと聞いたのですが、そうとは思えないくらい、先ほどの待機中から打ち解けたムードが漂っていますね。
HONO YUMEとRAREはもともとの知り合いで、私が2人をグループに誘ったんです。
AYA 私は事務所から直接お話をいただきました。でもなんだか4人ともフィーリングが合って、すぐに仲よくなりましたね。
──YUMEさんとHONOさんは2021年に放送された「Who is Princess?」、HONOさんとAYAさんは2023年に配信された「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」(以下「日プガールズ」)と、それぞれサバイバルオーディション番組に参加していましたね。惜しくも脱落となってからは、どんな日々を過ごしていましたか。
YUME 番組が終わった直後は不完全燃焼な感覚があって、いろいろなオーディションに参加していました。でも年齢制限で受けられないオーディションも多かったりして、昨年、一旦あきらめたんです。その後しばらくしてから、急にHONOが連絡をくれて。
HONO YUMEは本当に実力があるから、絶対にもったいないと思って。
YUME 急で驚いたけど、アーティストを目指して長い年月、歌とダンスの練習をし続けてきたので、「やっと夢が叶うんだな」とうれしく思いました。
AYA 私は「日プガールズ」の前に「Girls Planet 999:少女祭典」に出演していて、脱落後は韓国で練習生をしていたんです。そして「日プガールズ」でも脱落したあと、韓国の会社とデビューに向けた話を進めていたんですが、直前で白紙になってしまい。もう年齢的にもあきらめるしかないかと思っていたとき、タイミングよくVIGUのお話をもらって。これまで応援してくれた人の期待に応えたいと強く思い、参加を決めました。
HONO 私は「Who is Princess?」終了後、2年間はとりあえずアルバイトをしていました。そして「日プガールズ」に参加したけど、成果を出せないまま終わってしまい、もう夢をあきらめようと就職先も決めていたんです。でもやっぱり音楽がめちゃくちゃ好きで、一般企業で働く自分を受け入れられなくて。そんなときに今の事務所の方から話をいただいたんです。うれしかったんですが、最初は「私が参加してもいいのか」と悩んで……。
──何が引っかかっていたんですか?
HONO ご存知の方も多いと思うんですが、私は「日プガールズ」後にSNSで炎上してしまったんです。疑惑が出ただけで、応援してくださった人や家族、友達を裏切ったも同然だと思うので、本当に申し訳なかったし、しっかり謝りたいです。でも、何を言っても私のことを嫌いな人、応援したくない人も多いと思います。私が参加することで事務所やプロジェクトに迷惑をかけてしまうと思い躊躇したんですが、事務所の人たちから「全然気にしないよ」と言ってもらって、この機会を大事にしようと決めました。そしてメンバーも「HONOと一緒にやりたい」と言ってくれたので、過去の出来事はしっかり反省して、VIGUのメンバーとして自分の思いを音楽を通して伝えていきたいです。
同じ雰囲気の4人がそろっても面白くない
──アーティスト資料には“媚びない強い女”像とありましたが、楽曲もパンクやヒップホップなどハードなテイストですよね。VIGUはいわゆるガールクラッシュなグループに分類されるのでしょうか。
HONO はっきりとコンセプトが決まっているわけではないですが、“かわいい”系統ではないですね。カテゴライズにとらわられず、VIGUとしての色を出していきたいです。
YUME 個人的にはずっとこういう雰囲気の表現をやってみたかったので、すごくうれしかったですね。
AYA 私は清楚な表現が似合うと言っていただくことが多いんですが、自分としてはガールクラッシュなコンセプトをやってみたくて。元の自分から脱却した姿を見せたいです。
HONO AYAはそのままでいいと思う! 同じ雰囲気の人間が4人いても面白くないし、AYAがいることでいいバランスが生まれている気がします。
YUME いいスパイスだよね!
AYA ホント? じゃあこのままでいよう(笑)。
RARE 私も外見からこんな感じ(たくさん下がった耳のピアスを指差して)なので、VIGUのハードな雰囲気はすごくしっくりきました。
──ちなみにRAREさんは、音楽的嗜好としてもハードコアやパンクなどがお好きなんでしょうか?
RARE それが全然で、バラードばっかり聴いてます。清水翔太さん、川崎鷹也さん、keshiさんとか。
AYA ええー!? 意外すぎる(笑)。
RARE よく言われる(笑)。
万人受けしたいわけではないから
──プレデビュー曲「Breaking Bud」「Walking Dead」について、注目ポイントを教えてください。
HONO グループにお誘いをいただいたときに、「Breaking Bud」の音源が一緒に送られてきたんです。K-POPもJ-POPもロックもパンクも、いろんなジャンルを混ぜたような音の組み合わせだと感じて。すぐに「この楽曲を自分で表現してみたい」と思いました。
──作詞は2曲ともHONOさんが手がけたそうですね。
HONO はい。「Breaking Bud」はとにかく強くてカッコいい女の子像を描いているんですが、「過去のことは気にしないでほしい」「ほかの人と違う自分を持ってほしい」という思いを込めました。「Walking Dead」もベースは同じですが、より「ありのままでいてほしい」という内容です。聴いた方につらいことがあったときに、元気を与えられたらなと思います。
YUME 作詞ができるだけで大尊敬なんですけど、HONOが書いた歌詞を読んだら、すごく思いが伝わってきて。これまでメンバーそれぞれに悔しい思いをしてきたけど、それをしっかり詰め込んだ歌詞を書いてくれたと思うし、自分も思いを音楽で伝えられることがうれしいです。
AYA うん。めちゃくちゃ共感した。特に日本語の歌詞の部分が好き。自分にも、聴いてくれた人にも響くだろうなって。
HONO ホント? よかった! ありがとう。
RARE 私はみんなと違ってオーディション出身ではないですが、そういう人でも「チャンスさえつかめばこうしてアーティストになれるよ」ということをこの曲で表現したいと思いながらレコーディングに臨みました。ラップパートを多く担当したんですが、英語の部分はオラオラ系で歌ってみました。
HONO 以前から友達だけど、RAREの歌声をレコーディングで初めて聴いたら、意外すぎて驚きました。バーンと通るような声で、しゃべってるときの声と全然違って。AYAちゃんは逆に、清楚な見た目とはギャップがある、迫力ある声。みんな声質が全然違うので、聴いていて面白いと思います。
──今後はどんなグループになっていきたいですか?
AYA 芸術や音楽には、正解も間違いもないですよね。4人が個性を持ち合わせることで、いい化学反応が起こると思っています。それぞれの道を邁進してきた仲間たちだからこそ、これからいい景色を見られるようにがんばりたいです。
YUME 「脱落した人の集まり」と思われるかもしれないですが、「こんなに逸材がいたのに、落としたなんてもったいない!」と思ってもらえるグループになりたいですね。私、「努力は必ず報われる」っていう言葉が嫌いなんです。毎回100%努力してきたけど、そんなに人生甘くないことを10代の頃から何度も味わってきたので。今回こうしてスタートラインに立ったからには、同じ思いをしている人たちに「後悔がないように、何事も燃え尽きるまでがんばろう」と伝えられるようなアーティストになりたいです。
RARE どこにもいなかったグループになりたいですね。グループとなると、どうしても自分を少し曲げて合わせてしまうと思うんですが、メンバーみんなが自分の個性を消さずにやっていけたら、ほかとは違うまったく新しいグループになれるのかなって。
HONO それは本当に大事なことだよね。私はVIGUとしての色を出したい。万人受けしたいわけではないし、売れる売れないは気にしていなくて。とにかくずっと、誰かの真似ではなく、自分たちが表現したい音楽を作っていけたらうれしいです。
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RIRYDAYインタビュー+合同インタビュー