藤巻亮太×井ノ原快彦「Mt.FUJIMAKI 2025」開催記念対談|フェスは主催者の人間性が出る (2/2)

井ノ原快彦主催のフェスをやるなら

藤巻 井ノ原さん、最近は弾き語りでもライブをやられてますよね。

井ノ原 テクニックがあるわけじゃないですけど、やってます。僕は尾崎豊さんとか長渕剛さんに憧れた世代なので、ギターを買ってきて見よう見まねで曲を作ってみて。小学生のときに「僕の自惚れウィーク」という曲を作ったのが最初ですね。めっちゃ金持ちの1週間の生活を歌にしたんです(笑)。あと、一番影響を受けたのは五輪真弓さん。「恋人よ」が有名ですけど、歌に独特の暗さがあるんですよね。デビュー作の「少女」は、シンガーソングライターのアルバムとしてはおそらく、日本人として初めてロサンゼルスでレコーディングされた作品だったらしいです。

藤巻 和のテイストでありながら、海外の要素も取り入れてたんですね。

井ノ原 そうなんですよ。改めて聴くと、けっこうブラックミュージックのリズムなんですよね。高校の頃はフリッパーズ・ギターとか渋谷系も聴いたし、サニーデイ・サービスも好きになって曽我部(恵一)くんと友達になりました。もともとURCレコードのアーティストが好きだったんですけど、そのへんの音楽を曽我部くんからさらに教わったり。

井ノ原快彦

井ノ原快彦

藤巻 今も新しい音楽をチェックされてますか?

井ノ原 してますね。若い子の音楽はすごくカッコいいなと。最近知ったアーティストだと、近藤利樹くんという18歳のウクレレ奏者がいて、ライブに行ったらウクレレだけじゃなくギターもいいし、寺尾聰さんの「ルビーの指環」をカバーしてるし、すごく面白かった。

藤巻 井ノ原さん、すごくフットワークが軽いですよね。

井ノ原 僕ね、どこへでも行くんですよ(笑)。友成空くんっていうアーティストの曲をインスタで使ったら本人から連絡が来たので、やりとりしてるうちに今度遊ぶことになりました。「Mt.FUJIMAKI」にも誘ったら「行く!」と言ってましたよ。

藤巻 すごい! うれしいなあ。

井ノ原 この間、うちの庭にメジロが巣を作ったから、なんとなく「メジロ」という曲名を検索したら志摩陽立くんというアーティストが出てきて。ほかの曲もすごくよかったのでコンタクトを取って、もう2、3回会ってますね。

藤巻 これだけアーティストとつながっているなら、井ノ原さん主催のフェスもできそうですね。

井ノ原 もしやるなら、地元の浅草がいいかな。僕も改めて地元を見直しているところで。今めちゃくちゃ外国の人が多いんですけど、素顔で歩いていても誰も気に留めないからすごく楽なんですよ(笑)。大衆演劇を観に行くようになって、大人になるまで知らなかった文化が浅草にあることを知ったんです。大衆演劇と一緒に何かできたらいいなと思ってるんですよね。

このフェスの出演者は奇跡的なラインナップ

藤巻 今回、井ノ原さんをお呼びできたのは本当にうれしくて。楽曲提供させていただいた縁はありつつ、来ていただけるとは思ってなかったんですよ。

井ノ原 トニセンで歌った曲なので、できれば3人で出たかったんですけど、なかなかスケジュールが合わなくて。1人でも音楽をやっていきたいと思っていた矢先なので、マッチングできたのがありがたいですね。

藤巻 井ノ原さんには藤巻BANDをバックに歌っていただく予定なので、リハーサルのために「回れよ地球」をはじめ、改めて井ノ原さんの歌ってこられた楽曲を聴いているんですけど、ものすごくミュージシャンシップにあふれていることが伝わってくるんですよね。井ノ原さんの楽曲の世界観と「Mt.FUJIMAKI」がマッチングしたら、新たなステージに行けるんじゃないかと思っています。

井ノ原 僕も藤巻BANDはすごく楽しみです。周りのみんなも「山中湖交流プラザ きららのステージは最高だ」って言ってますしね。

藤巻 富士山をドーンと背負うロケーションも最高ですし、避暑地なのでそこまで暑くなく、出演者の皆さんも気持ちよくパフォーマンスしていただいてます。お客さんも、前のほうはすごく盛り上がって、後ろのほうは家族連れでのんびりされてますね。

井ノ原 うわー、そういう自由な感じがいいですよね。

藤巻 このフェスは、ちっちゃい子供からおじいちゃんおばあちゃんまで気楽に集まれる開かれたものにしたいし、でも行ってみたらドキッとするような音楽にも出会えるような場を目指してます。

藤巻亮太

藤巻亮太

井ノ原 その緩急がいいんですよ。やっぱりこういうフェスは、主催している人の人間性がめちゃくちゃ出ますよね。本当に楽しみ。藤巻さんは、本番前になると急にしゃべらなくなったりしないですか?「対談のときと全然違う!」ってならない?(笑)

藤巻 それは大丈夫だと思います(笑)。井ノ原さんは本番前どんな感じですか?

井ノ原 どうだろうな? 最近、1人で歌う機会が増えて「自分ってこんな歌い方をするんだ」と気付いたんですよ。アイドルをやっていると、常に誰かに合わせていくんですよね。だから、あるときに「どうぞご自由に」と言われて歌えなくなったこともあって。でも1人だと「もっとやっていいんだ」という発見があって楽しいですよね。

藤巻 新しい自分に出会うときは、緊張します?

井ノ原 しないですね。とりあえず飛び込むという感じです。V6で「選ぶ前に飛べ」という曲を書いたことがあるくらいですから。今思うと、岡林信康さんの「見るまえに跳べ」からの影響なんですよね。僕、買い物したら財布の中の小銭とお札がピッタリ同時になくなったことが2回あって。それは、「あと1円あればピッタリなのに」と思いながら1万円を崩してきた過去の積み重ねで、その財布の“中身”になってるんですよ。だから、たとえ今つらいことがあっても、それは未来のピッタリにつながっていると思うようにしてるんです。これを「ピッタリ論」と呼んでるんですけど(笑)。

藤巻 すごくポジティブ!

井ノ原 藤巻さんがソロ活動を始めたとき、悩まずにスッと活動していたらここで共演できなかったかもしれないですよね。ちょっとでもタイミングがずれたら、ここにはたどり着けなかったんだろうなと。そう思うと、このフェスに出演する皆さんは奇跡的なラインナップですし、きっとポカポカな晴れのいい日になりそうですよね。

藤巻 本当に、こうやって皆さんが集まって、みんなで音楽を愛して、この場所この時間でしか共有できないものを作り出すという、スペシャルな1日にしたいと思います!

公演情報

Mt.FUJIMAKI 2025

「Mt.FUJIMAKI 2025」告知ビジュアル

2024年9月27日(土)山梨県 山中湖交流プラザ きらら
<出演者>
吉井和哉(THE YELLOW MONKEY) / スガシカオ / スキマスイッチ / 井ノ原快彦(20th Century) / 阿部真央 / Lucky Kilimanjaro / 藤巻亮太

公式サイト

プロフィール

藤巻亮太(フジマキリョウタ)

1980年1月12日生まれ、山梨県出身。2000年12月にレミオロメンを結成し、ギター&ボーカルを担当。「3月9日」「南風」「粉雪」など数々のヒット曲を発表したのち、2012年2月にレミオロメンの活動休止を発表する。同月に初のソロシングル「光をあつめて」、10月には1stアルバム「オオカミ青年」をリリース。以降もソロ活動を活発に展開し、2019年4月にはレミオロメンの楽曲をセルフカバーしたアルバム「RYOTA FUJIMAKI Acoustic Recordings 2000-2010」を、2025年3月に5thアルバム「儚く脆いもの」をリリースした。2018年からは自身が主催する野外音楽フェス「Mt. FUJIMAKI」を山梨・山中湖交流プラザ きららで開催しており、2025年は9月27日に行われる。

井ノ原快彦(イノハラヨシヒコ)

1976年5月17日生まれ。東京出身。1995年にV6のメンバーとして「MUSIC FOR THE PEOPLE」でデビュー。「愛なんだ」「WAになっておどろう」など数々のヒット曲を飛ばす。現在は、坂本昌行、長野博とともに、20th Centuryとしても精力的に活動を行っており、2023年6月にアルバム「二十世紀 FOR THE PEOPLE」、2025年6月に17年ぶりとなるCDシングル「ネバギバ~Never Give Up!~」をリリースした。2018年から2025年までテレビ朝日系で放送されていた刑事ドラマシリーズ「特捜9」で主演を務めたり、情報バラエティ「出没!アド街ック天国」で司会をしたりと、幅広く活躍している。

衣装協力
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