ライブですごく緊張するようになった

──2015年9月にリリースされた2ndシングル「8ビットボーイ」の発売時にも音楽ナタリーの取材を受けていただきましたが（参照：三戸なつめ「8ビットボーイ」インタビュー）、あれから変わったことはありますか？

最近は、前よりもテレビでしゃべれるようになりました。これまでは意識して自分から前髪の話とかはしなかったんですけど、「今、前髪の話したほうがいいかな？」とか自分から考えられるようになったり（笑）。

──緊張はしなくなりましたか？

テレビに出るときの緊張はあまりなくなったんですけど、最近はライブですごく緊張するようになって。今年に入って「もっとライブをよくしたいな」っていう気持ちが生まれて、それを意識し始めたからだと思うんですけど。

──「ライブをよくしたい」って思ったきっかけがあったんですか？

まだ曲数が少ないっていうのもあるんですけど、ライブのたびに同じようなセトリとかパフォーマンスになってしまっていたんですね。このままだと毎回遊びに来てくれるファンの方が飽きちゃうんじゃないかなって思ったんです。それでセットリストを変えてみたり、最近は「I'll do my best」や、カップリングの「もしもクッキング」も歌ってるから、そのパフォーマンスのこともしっかり考えるようになりましたね。

──新曲が入ったことによって、変わったことはありますか？

「I'll do my best」がけっこう切ない感じなので、今までのライブとだいぶ変わったなっていう印象がありますね。これまでは振り付けもポップだし、ハッピーで面白いっていうイメージのライブだったと思うんです。自分も楽しい曲はお客さんたちとアイコンタクトを取りながら歌うことを意識してるんですけど、「I'll do my best」は自分の世界に入り込んで、みんなに思いを伝えることに重きを置いてます。

原点に戻れる曲

──「I'll do my best」の歌詞を最初に読んだとき、どのようなことを感じましたか？

自分が上京したときのことを思い出しましたね。

──三戸さんの上京のきっかけはなんだったんですか？

今の事務所に所属したことです。うちはもともと東京に行きたかったんですよ。

──三戸さんは学生時代を過ごした大阪に対してすごく愛がある方だと思うんですけど、躊躇はしなかったですか？

しなかったですね。大阪時代はフリーモデルだったんですけど、このままじゃ仕事の幅が広がらないだろうなって思っていて。だから東京に行くために1年間フリーターをやってお金を貯めてたんですよ。そのときにちょうど今の事務所に所属させてもらったから、タイミングがすごくよかったんです。でもやっぱり東京に行く日を迎えると不安もあって。当時のことを思い出すと、「I'll do my best」の「楽しい思い出に頼らなくても」っていう歌詞がすごくハマるなあって。

──当時、そういう気持ちになりましたか？

なりましたね。うちは東京に行く＝仕事しに行くみたいに割り切ってきたから、地元の子たちとの楽しかった思い出も大切ですけど、「頼りすぎないようにしなきゃ」「ちゃんと1人でがんばっていけるようにしなきゃ」っていうのを思っていて。だから歌詞を見たときに「ヤスタカさん、うちの心読んだ！」って勝手に思ったんです。

──そうだったんですね。

「遠くの街でも僕は頑張れるはず」っていう歌詞があるんですけど、うちが上京するときに新幹線の中で本当に思っていたことなんですよ。窓の外の富士山を見ながら「がんばろう」って（笑）。今回は「自分が書いた」って思えるぐらい、リンクする歌詞が多いですね。

──「I'll do my best」をどういう場面で聴いてほしいですか？

学生さんや新社会人の方など、これから新生活を迎える皆さんを勇気付けられたらいいなあと思っていて。「がんばっていこう」って思ってもらえたらすごくうれしいです。それ以外の人にも対しても壁にぶち当たったときやつらいとき、めげそうなときに「自分はなんでこの世界に入ったんだろう」「自分はこういう気持ちでやり始めたんだな」っていうような気持ちを感じてもらえる、原点に戻れる曲にもなってるかなって思います。