音楽ナタリー Power Push - みみめめMIMI×fhána
シンクロする2組の両思いコラボ
タカオユキ(みみめめMIMI)、佐藤純一(fhána)、kevin mitsunaga(fhána)、yuxuki waga(fhána)
シンクロ率120%の「青い鳥」
──ニューアルバム「きみのヒロインになりたくて」では、1曲目のインスト「白い鳥」とラストの「青い鳥」の2曲でfhánaとのコラボが実現しましたね。
タカオ はい。まず私の中で「青い鳥」ができたときに、この曲は鳥が大空に向かって羽ばたいていくような壮大なサウンドにしたい、だったらアレンジはfhánaさんしかないなって勝手に思ったんですよ。今までずっと一緒に曲を作りたいなと思っていたので、だったらもうこの機会しかないだろうと。で、お忙しいことは重々承知していたのですが、思い切ってオファーさせていただいたんです。
佐藤 確かにそのお話をいただいた時期は、イベントライブもあったし、fhánaの曲や提供曲などの制作がかなり重なっていてけっこうヤバい感じだったんですよ。周りのスタッフさんたちも「無理にやらなくてもいいんだよ」っていうムードがあって。でも、とにかくまずは曲を聴かせてください、と。それで送ってもらった「青い鳥」のピアノ弾き語りのデモがめちゃくちゃよかったんです。なので、その瞬間「やります」と。「絶対にやらせてください」って言いましたね。
yuxuki シンプルなデモだったけど、ものすごくエモくて泣ける感じだったんですよね。これはもう断るなんてとんでもない、と(笑)。
タカオ このエピソード、実はレコーディングが全部終わったときに初めて聞いて。思わず泣いちゃいましたね。お渡ししたデモはワンコーラス分しかなかったし、歌詞もまだ完成していなくてラララが多い音源だったんですよ。なのに、デモからいろんなことを受け取ってくださったことが本当にうれしすぎました。
──アレンジのイメージはどう膨らませていったんでしょうか?
佐藤 実はデモを聴いた瞬間にアレンジがスッと浮かんだんですよ。だからこそ「やります」って即断できたところもあって。全体的にはわりとシンプルなロックサウンドで、そこに疾走感のあるストリングスと、ユキさんのピアノがこんな感じで入ってきて……みたいな具体的なイメージが湧きました。そういうタイプのアレンジを作るのは僕も好きなので、得意なところで勝負できるなっていう感覚もありましたね。
yuxuki アレンジが固まるのは速かったですね。佐藤さんがバーッと打ち込んだものをもらって、そこに僕がギターを入れるんですけど、2、3時間でできちゃった。
kevin 僕は、佐藤さんからもらったイメージに合わせて音を加えていったんですけど、その作業もすごくスムーズでした。曲調同様、制作も疾走感のある感じで(笑)。
タカオ 仕上がったアレンジを聴いたときはホントに感動でした。自分から曲が生まれた瞬間に湧き上がったエモーショナルな感情や思いが、サウンドでもちゃんと再現されていて!
佐藤 そもそもの曲がすごくよかったからこそ、ちゃんとシンクロできたんだと思います。シンクロ率120%みたいな感じがあって(笑)。
タカオ うれしい!
お互いが一切妥協しない制作作業
──タカオさんは、fhána渾身のアレンジが施された楽曲にどんな思いで歌を乗せました?
タカオ この曲に関してはサウンドに合わせた歌のニュアンスをしっかり出したいなという思いがあったんですね。なので、なるべく自分のクセを削っていく感じでした。佐藤さんに細かくディレクションしていただけたので、それに寄り添うように。
佐藤 一語一句かなり細かくディレクションさせてもらったので、こんなに色々言っちゃって大丈夫かなあ……って少し心配になったりもしつつ(笑)。普段、fhánaの曲ではなくて、誰かに楽曲を提供するときは相手側に委ねて、僕からはある程度の方向を示すぐらいな感じなんですよ。でも「青い鳥」に関しては気持ちがだいぶ入っちゃってたんで(笑)。自分の中にあるイメージを全部伝えさせてもらっちゃったっていう。とは言え、僕のイメージを伝えて歌ってもらうと、そこにはユキさんのニュアンスも当然入ってくるので、そこで新たな発見もあったりして。結果、さらにいい形に膨らんでいく相乗効果も現場ではありましたね。特に落ちサビのところには一番時間をかけたんで、泣けるニュアンスがしっかり出てるんじゃないかなって。
タカオ 今までで一番、ニュアンスに時間をかけたので、1行1行、ひと言ひと言に思い入れがありますね。お互いが一切妥協しない作業は自分としてもすごく勉強になりました。
──「青い鳥」が完成したあと、それと対になる「白い鳥」が生まれたんですか?
タカオ 「青い鳥」は初めから絶対に最後の曲にしようと思っていたので、「それと対になるオープニング曲もfhánaさんに作っていただきたいです」っていう無茶なお願いを最初にさせてもらっていたんですよ。1曲目で“白い鳥”だったものが、アルバム1枚を聴いていくことで、最後には“青い鳥”に見えたらいいなっていう思いがあったので。
佐藤 僕の中では「青い鳥」の仮歌録りのときに、なんとなく「白い鳥」のイメージが湧いたんですよね。タカオさんのコーラスをいっぱい重ねて、途中からベースとドラムが入ってくるみたいなイメージが。
タカオ まだ私の声が入る前のデモの段階から涙が出そうになる仕上がりで。壮大な感じを表現してくださったので、これはもう最高のオープニングになるだろうなって思いました。コーラスに関しては合計……“16人分”の私の声が重なってます! 4声を重ねることを“クアドラプル”って呼ぶことをこのレコーディングで知りました(笑)。とても広がりのあるコーラスになっているので、ぜひじっくり聴いてほしいですね。
次のページ » タカオユキ、fhánaの“ヒロイン”に
- みみめめMIMI 2ndアルバム「きみのヒロインになりたくて」2016年10月12日発売 / Astro Voice
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / AZZS-51
- 通常盤 [CD] 3024円 / AZCS-1059
CD収録曲
- 白い鳥
[作曲:ユカ / 編曲:fhána] - 晴レ晴レファンファーレ
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:CHRYSANTHEMUM BRIDGE] - 1/2ぶんこ
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:kz] - 1,2,少女
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:やしきん] - 相対性レプリカ(Album Version)
[作詞:ユカ、まふまふ / 作曲・編曲:まふまふ] - チャチャチャ
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:CHRYSANTHEMUM BRIDGE] - CANDY MAGIC
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:ARCHITECT] - 1メートル
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:柳野裕孝] - 天手古舞
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:野間康介] - チョコレート革命
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:大石昌良] - たからもの
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:PRIMAGIC] - 青い鳥
[作詞・作曲:ユカ / 編曲:fhána]
初回限定盤DVD収録内容
- オリジナルボイスドラマ「きみのヒロインになりたくて」
<出演者>
MIMI(CV:タカオユキ) / シロちゃん(CV:悠木碧) / あまなつ(CV:茜屋日海夏) - 「CANDY MAGIC」Music Video
- 「天手古舞」Music Video
- 「晴レ晴レファンファーレ」Music Video
- fhána シングル「calling」2016年8月3日発売 / Lantis
- アーティスト盤 [CD] 1296円 / LACM-14509
- アニメ盤 [CD] 1296円 / LACM-14510
みみめめMIMI(ミミメメミミ)
シンガーソングライターのユキことタカオユキとイラストレーターのちゃもーいからなる女性ユニット。タカオとちゃもーいが大学で出会ったことから活動をスタートし、2013年にアニメ「君のいる町」の主題歌「センチメンタルラブ」の制作をきっかけにみみめめMIMIとして始動する。2014年1月にでんぱ組.incが主演する映画「白魔女学園」の主題歌「瞬間リアリティ」を2ndシングルとしてリリースした。その後、アニメ「山田くんと7人の魔女」のエンディングテーマやアニメ「甘々と稲妻」のオープニングテーマを担当する中でアニメファンを中心に知名度を獲得。2016年10月に2ndアルバム「きみのヒロインになりたくて」を発表した。タカオのポップでチャーミングな歌と、ちゃもーいの描く繊細かつカラフルなイラストのコラボレーションが魅力。なおタカオは声優としても活躍している。
fhána(ファナ)
佐藤純一(FLEET)、yuxuki waga(s10rw)、kevin mitsunaga (Leggysalad)という3人のプロデューサーと、女性ボーカリストtowanaによる4人組ユニット。それぞれ個別に活動していた佐藤純一、yuxuki waga、kevin mitsunagaの3人が2009年に出会い、ボーカリストを固定しないユニットとして始動した。2012年秋にはゲストボーカルの1人だったtowanaが正式加入。「僕らはみんな河合荘」「ウィッチクラフトワークス」「ぎんぎつね」「有頂天家族」「天体のメソッド」といったアニメ作品でテーマソングを担当して高い評価を集めた。さらにChouChoや相沢舞のプロデュース、さよならポニーテールやDECO*27の楽曲のリミックスなども行っている。2016年4月には2ndフルアルバム「What a Wonderful World Line」をリリース。アルバム発売後には東名阪3都市を回るライブツアー「What a Wonderful World Line Tour 2016」を開催した。