松尾太陽×Omoinotake|惹かれ合う熱が生み出した「体温」

松尾太陽 インタビュー

明確になるビジョン

──昨年9月にミニアルバム「うたうたい」を発表され、ソロ活動をスタートさせてから半年ほどが経ちましたが、ソロデビュー以前と比べて意識の変化などはありましたか?

松尾太陽

自分の中で、ソロ活動へのビジョンが明確になってきている感覚がありますね。「うたうたい」で楽曲制作までしっかりと携われたことが大きな理由だと思うんですが、豪華なクリエイターの方に曲を提供していただいたり、自分で曲を作ることにもトライできて、この半年の間でかなり色濃い経験をさせてもらいました。だからこそ「ああしたい、こうしたい」という気持ちが、以前と比べて圧倒的に大きくなってきているなと思います。

──さまざまな経験をする中で、今後の可能性も広がっているんですね。ソロデビューしてまだ半年ではありますが、作品制作や配信ライブといった活動をしてきた中で、一番テンションが上がったことを挙げるなら?

自分で「掌」という曲を完成させられたことかなと思います。自作曲を作るチャレンジはデビュー前にやった「うたうたい」というソロライブのときから行ってきて、そこからのブラッシュアップを経て仕上がったもので。「掌」は自分の歴史と言いますか、人生そのものを歌にしたような作品なので、感慨深かったです。あとはいろんな曲に出会って、これまでよりも深く制作に携われたこともうれしかったです。その経験は自分の中で手応えになっているというか、ソロアーティストとして音楽活動できているんだなと感じられる瞬間ですね。

──太陽さんの中で、ソロ活動と超特急でのグループ活動で明確に異なる部分などはあるんでしょうか?

エンタテインメントに対する姿勢かなと思います。まず、超特急のエンタテインメントはみんなで作り上げるものという感覚で……それは8号車(超特急ファンの呼称)のみんなも一体となって盛り上げていく感じ。ソロ活動はどちらかと言うと、自分自身でストーリーやドラマを作り上げて、それを観てもらうという気持ちが強いです。超特急は少年マンガで、ソロ活動はドラマやドキュメントに近いイメージというか。

──なるほど。

なのでソロ活動は、自分の一生の中でこんな活動ができてよかったと思えるようなものにしたいという気持ちもあります。なんというか……やれるうちにやっておきたいと思ったりもしていて。日々を過ごす中で、特に最近は1日の流れがすごく速いように感じるんです。だから思い立ったときに行動しなきゃと思うし、これまではやらなかったり口にしなかったりしたことも、後悔してもいいから発信していきたいなと思っています。

いろんな方向に矢印を向けて

──デビュー作の「うたうたい」には“City Pops”というテーマがありましたが、1月にスタートした3カ月連続配信の3曲は曲のジャンルも歌詞の内容もさまざまですね。

そうですね。「うたうたい」ではジャンルをかっちりと決めてやらせてもらったんですが、2021年になって、もっといろんな楽曲に触れたいなと。さらなる挑戦をして自分の中の“松尾太陽像”を明確にしたいという思いもあって、ジャンルを限定することなく3曲を歌ってみました。

──最初に配信された「Magic」は全英語詞の曲です。松尾太陽として全英語詞のオリジナル曲を歌うのは初めてですね。

僕の「挑戦したい」という思いや、いろんな方に聴いてもらえる楽曲にしたいという思いが表れた曲になりました。配信で3曲リリースすることになったとき、英語詞の楽曲だったらサブスクなんかでもたくさんの人に聴いてもらえるかなって思ったんです。

──より広いターゲットに向けて歌いたいという思いがあったんですね。

はい。一直線の矢印だけじゃなくて、いろんな方向に矢印を向けてもいいんじゃないかなと思って。

──曲についてはどんな印象を持ちましたか?

松尾太陽

ジャンルで言うとブギーファンクで、踊ったりもできるような軽快な曲なので、余計にネイティブなニュアンスが重要になってくるなと思いました。自分の高揚感もしっかり伝えつつ、違和感なく聴き手の耳に届く歌を演出することを重要視しないとなって。

──そうだったんですね。実際、耳なじみよく聴くことができました。

ありがとうございます。1つひとつの言葉とその意味を確認して、そういった準備をしっかりと整えたうえでレコーディングに臨めたこともあって、英詞曲の第一歩としてはよかったんじゃないかなと思えています。

──1つひとつ意味を調べたんですか。

はい、もちろんそうです。そうしないと、言葉をただ音に乗せているだけになってしまうから。そういう歌に説得力は生まれないし、聴く人にもちゃんと歌えていないことが丸わかりになると思う。ネイティブじゃないから英語詞のすべてを完全に理解できているわけではないかもしれないけれど、ニュアンスまでしっかりと伝えるためのベースは絶対に用意するようにしていますね。