マンガ家は普通に毎週作品を発表している

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--まつきさんの活動のキーワードとして「初期衝動」というのがありますが、今はどうですか? 活動中期に入って初期衝動的なものは薄れてきてるんでしょうか?

いえ、より強くなってます。ただ言葉として初期衝動、初期衝動って言い続けてると、それがキャッチフレーズみたいになってしまうし、そういうのがもうイヤになってきちゃって。行動を見てもらえれば伝わるかなと思って、今年はもっと行動で示していこうと思ってるんですよ。だって「新曲の嵐」なんて、初期衝動以外の何物でもないじゃないですか(笑)。

--ですよね、毎週新曲を発表すると聞いて、最初は意味がわからなかった(笑)。

意味がわからないのが初期衝動ですよ。でもね、「新曲の嵐」の話をすると、だいたいみんな「毎週新曲を発表するなんてすごいね」って言うんですけど、僕としては当然って気持ちなんです。物理的にたいへんだっていうのはありますけど、だって「少年ジャンプ」なんて毎週マンガが連載されてますよね? マンガ家さんはそれが普通にできるのに、同じ芸術家でも音楽家がやったらすごいっていうのは違うんじゃないかと。毎週やってるということよりも、今週の曲はいい曲だとか好きな曲があったとか、そういうことに引っかかってほしいですね。

--今回のアルバムも全曲「新曲の嵐」で発表した曲を原型にしてますよね。

そう、「新曲の嵐」のおかげでできた感じですね。作ったものを毎週発表できる場があって、しかもそれが全世界に通じているっていうのはいい環境ですから。だから一生続けます。毎週月曜日には必ず切り取る瞬間が来るから、俺は自分の中のものを吐き出すきっかけになるし、聴く側はまつきあゆむという音楽の多面性を知るきっかけになるし。それってすごいことですよね。

最終的には曲が教科書に載る予定

--なんだかいまのまつきさんは一皮むけた感じがします。以前はもっと自意識の固まりというか、よくも悪くも若者特有の痛々しさが作品に強く出ていたと思うんですが。

自分でも人間性が変わったような気はしますね。前はもっといろんなことに打算的だったし、変な意味で野心的だったんですよ。そういう部分はもういらなくなってしまって、まつきあゆむっていうものの本質に迫ろうとしてるんです。俺が好きなものは何なのか、俺が聴きたい音はどういう音なのかを追求することに全力を注いでます。

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--曲を作るときに「こういう人に聴いてほしい」というのは想定してるんですか?

特定の層ではなくて誰にでも。外国の人でも、子供でも大人でもおじいちゃんでも、誰が聴いてもその曲の核になる、一番いいなって思える部分がみんなに伝わるようにと思ってます。あと、今のお年寄りに聴いてもらいたいというよりは、自分や今聴いてる人たちが年をとってからも聴けるようなものを作りたいんです。

--それすごくわかります。自分が持ってる20年前のCDでも、今でも聴けるものと聴けないものがありますしね。

うん、当時の思い出にすがって聴くしかないようなものもあるじゃないですか。でも今回はちゃんと音楽として、何年経っても聴けるようなものを作る基盤ができたと思ってて。だからタイトルも「まつきあゆむ」でいいんじゃないの?ってことで。「ミニアルバムにセルフタイトルをつけちゃうと、この先の大事なフルアルバムのときに使えないでしょう」ってみんなに言われるんですけど、僕もうそんな打算的なこと考えてないんで(笑)。このタイミングで自分にとってのプロトタイプができたんだから「まつきあゆむ」でいいんだよ!って、そのぐらいの気持ちで作りましたから。

--決意表明ですよね。ただ打算的な気持ちがないという言葉は、今のまつきさんを見ているとすごく納得できるんですが、でもそうは言っても、もっと売れたいとか、例えばテレビに出たいとか、そういう上昇志向みたいなものはないんでしょうか?

うん、そういう方向を否定するわけじゃないんだけど、今はあんまりそっちに興味はないですね。僕の職業はいい曲を書くことでしかないっていうのがはっきりしてきたんで、いろいろな計算や打算は自分の仕事じゃないと思うんです。ただ自分の音楽がヒットチャートとまったく関係ないとは考えてなくて、正直言って明日にでも「ミュージックステーション」に呼ばれてもおかしくないと思ってるし、最終的には曲が教科書に載るだろうと思ってます。それは「いずれそうなる」っていう確信ですね。今はそのときのためにいい曲をいっぱい書いておきたいし、自分の人生としてはそのほうがいいと考えてます。

まつきあゆむニューアルバム「まつきあゆむ」

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2008年5月21日発売 / 1500円(税込)
RESI-2013 / UMA/RESERVOTION RECORDS

CD収録曲
  1. バスストップ
  2. スプリングハズカム
  3. ファイブミニッツモア
  4. ブルースギブミーモア
  5. フェイドインアウト
  6. カフェオレと缶ビール
  7. ロックとロール
  8. メタモルフォーゼ
ライブスケジュール
まつきあゆむは「まつきあゆむ」を発売しますツアー
2008.6.27(金) 京都MOJO
Info.075-254-7707
2008.6.28(土) 神戸BACK BEAT
Info.078-231-3933
2008.6.29(日) 大阪CLUB☆JUNGLE
-ワンマンライブ「まつきあゆむ過ぎる大阪」-
Info.06-6282-1120
まつきあゆむ過ぎる日
2008.7.11(金)
下北沢MONA RECORDS
-ソロセットライブの嵐-
open:16:30/start:17:00
P292-977 L77188
下北沢CLUB QUE
-バンドセットライブの嵐-
open:19:00/start:19:30
P292-981 L77188
下北沢BASEMENT BAR
-スペシャルバンド&スペシャルゲスト&スペシャルDJ&スペシャルトーク&朝までスペシャルの嵐-
open/start:22:30
P292-984 L77188
各会場共 前売¥2,000+1drink order
6.14(土)チケット発売
Info.HOT STUFF tel 03-5720-9999
» http://www.red-hot.ne.jp/
-スペシャの生配信web番組、DAX LIVE! も同時展開!!!- 「まつきあゆむ過ぎる日」を楽しむ日from下北沢

MC:ブライアン・バートン ルイス
ゲスト:まつきあゆむ 他 下北沢の人々
» http://www.dax.tv/
まつきあゆむは「まつきあゆむ」を発売しますタワーレコードインストアライブ
2008.6.14(土)
タワーレコード新宿店
start:17:00 Info.03-5360-7811
2008.6.21(土)
タワーレコード梅田大阪マルビル店
start:15:00 Info.06-6343-4551
プロフィール

まつきあゆむ

1983年生まれの"初期衝動音楽家"。学生時代から自宅録音を行い、 2005年5月に1stミニアルバム「自宅録音」を発表。初期衝動を凝縮した宅録サウンドが話題を集め、2006年9月にフルアルバム「ディストーション」、2007年6月には「夕暮れの現代音楽」をリリース。バンドセットでのライブや、個性的な自宅録音など精力的な活動を続ける。

2007年9月からは「新曲の嵐」と称して、MySpace上で毎週月曜日に新曲デモを永続的に発表するという企画を開始。2008年5月にはミニアルバム「まつきあゆむ」を発表している。