音楽ナタリー Power Push - 魔法少女になり隊×大谷ノブ彦(ダイノジ)対談

プレイヤー時代を突き進め!“RPG系バンド”がメジャーフィールドへ出発

魔法少女になり隊には説得力がある

gari バジルさんが何か書いています。

バジル (私はまだ魔法少女見習い。「魔法少女になりたい!」なんて言ったら普通みんな無理だとか不可能だとか言うと思うけど、私はその夢を追い続けたい。上に上に上がれたときに、私は魔法少女になれると思うから。)

大谷 おお……この子ジョー・ストラマーと同じことを言っていますね。「月に手を伸ばせ。たとえ届かなくても」ってことでしょ? それって言い続ければ絶対届くっていうことだもんね。その精神超パンクじゃん! いやー、すごい。この発言はものすごく腑に落ちますね。

gari バジルが夢を持っている人のアイコンになって、見ている人たちに「あいつがあんなこと言ってるんだから、自分も夢を持っていいんだな」って思ってもらえたらという願いも込めてるんですよ。だから魔法少女になり隊というバンド名なんです。

バジル (一見ふざけたバンド名なんですけど、そういう思いも込めてるんです。)

大谷ノブ彦

大谷 肯定感がありますよね。「君もできるよ」っていうメッセージで。

gari メジャーデビュー曲の「KI-RA-RI」の歌詞がまさにそういう内容なんです。バジルが初めて歌詞を書いた曲で。

大谷 ホントだ。ド直球の応援歌になっていますね。

gari まずAメロの「『夢を見るだけ無駄。』って友達はバカにして笑ってるけど なりたいものは全部わたしの手で絶対決めるんだ」っていう歌い出しが、まさに魔法少女になり隊の裏テーマというかそういうものに沿った曲なんですよ。

大谷 今苦しんでる子たちに寄り添うような内容にもなっているし。

ウイ・ビトン これから何かをしようと思っても、「こんなこと言ったらバカにされるんじゃないか?」って踏み出せない人の背中を押せるような曲になったらいいなって。

大谷 あくまでもファンタジーの世界の中でこのメッセージを発してるのはシビれますね。THE BLUE HEARTSの「人にやさしく」という曲の歌詞の1行目が「気が狂いそう」なんですよ。つまりあれって、気が狂いそうな人、限界スレスレの人が言う「ガンバレ!」だからグサッと刺さる……っていうのを曽我部恵一さんが言ってたんです(笑)。曲にどうやって説得力をどうやってもたせるかを考えたとき、魔法少女になり隊はストーリーがあるから、めっちゃ説得力があると思います。

ジャンルは使い分ければいい

大谷 魔法少女になり隊はアイドルとの親和性も高いんですよね? 私立恵比寿中学に「ちちんぷい」という楽曲を提供していたりもしますし。

gari ありがたいことにそうなんですよね。でも親和性の高い理由を僕らはちょっと気付いていて。アイドルのお客さんってノリ方が応援じゃないですか。“推しジャン”とか。あれって自分の好きな子に「応援してるよ」ってアピールするために跳んでるんですね。それってゲームをプレイしている感覚と近いんじゃないかなって。

魔法少女になり隊とダイノジ大谷ノブ彦。

大谷 なるほどね。僕は魔法少女になり隊はいくらでもチューニングができるバンドなんじゃないかと思っていて。アイドルがいっぱい出るイベントでもロックフェスでも魔法少女になり隊らしいライブができると思うんです。強いメッセージを持ったバンドである一方でバジルさんのかわいらしいボーカルもあるわけでしょ。だからいろんな角度から楽しめるというか。いろんな現場で観てみたいなと思わせてくれますね。プレイヤー次第というのはまさにそういうところなのかもしれないね。

gari 自分たちが勝手に言ってるだけなんですけど僕らはノンジャンルでいたくて。1つのジャンルを極めることは素晴らしいことだと思うんですけど、我々にとってはあんまり面白いことじゃないなって。決めちゃうことによって、このライブは出れる、出れないって可能性を狭めたくない。

大谷 ずる賢くいけばいいんじゃない? 使い分けるといいと思いますよ。ロックバンドにもアイドルにもなんでもなれると思うから。魔法少女になり隊っていうジャンルになっちゃえばいいと思う。

gari なるほど(笑)。それいいですね。

メジャーデビューシングル「KI-RA-RI」 / 2016年9月21日発売 / MASTERSIX FOUNDATION
初回限定盤 [CD+DVD] / 1800円 / SRCL-9178~9
通常盤 [CD] / 1300円 / SRCL-9180
CD収録曲
  1. KI-RA-RI
  2. ハレ晴レユカイ
  3. MEGA DASH
初回限定盤DVD収録内容
  1. 魔法少女になり隊 序章
  2. 冒険の書1
  3. 狂騒曲ザラキ
  4. RE-BI-TE-TO
魔法少女になり隊 ワンマンツアー 2017~メロディア王国にさよならバイバイ ワタシはみんなと旅に出る~
  • 2017年1月21日(土)愛知県 APOLLO BASE
  • 2017年1月27日(金)大阪府 Shangri-La
  • 2017年1月29日(日)東京都 TSUTAYA O-WEST
魔法少女になり隊(マホウショウジョニナリタイ)

魔女にしゃべることができない呪いをかけられてしまった魔法少女見習い・火寺バジル(Vo)の呪いを解くべく、“歌”という魔法を使いながら冒険を続けている“RPG系バンド”。メンバーはバジルのほか妖精のgari(VJ, Vo)、スナイパーのウイ・ビトン(G)、女剣士の明治(G)がいる。4人はバジルの呪いを解く鍵となる“ハピネス”を集めるため、ライブ活動や音源のリリースを行いながら冒険中。シャウトを多用したラウドロックにエレクトロポップ要素をかけ合わせたハイブリッドな楽曲でロックファンを魅了する一方、私立恵比寿中学に楽曲「ちちんぷい」を提供したことをきっかけにアイドルファンからも熱い支持を集めている。インディーズ時代にリリースした作品はアルバム「冒険の書1」、シングル「BA・BA・BA ばけ~しょん」の2作。2016年9月にソニー・ミュージックレコーズより「KI-RA-RI」でメジャーデビューを果たした。

大谷ノブ彦(オオタニノブヒコ)

1994年に大地洋輔とお笑いコンビ・ダイノジを結成。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。音楽や映画などのカルチャーに精通しており、コラムサイト「cakes」にてライターの柴那典と共に音楽放談「心のベストテン」を連載している。また相方の大地と共にロックDJ・DJダイノジとしても活動しており、DJパーティ「ジャイアンナイト」やロックイベント「DRF」などを開催している。