ナタリー PowerPush - MASTERLINK

“王道エレクトロポップ”でシーンに挑戦 シングル「Traveling」でメジャーデビュー

エレクトロをベースにしたドリーミーなポップサウンドが心地良い「Traveling」で6月9日にメジャーデビューを果たす3ピースバンド、MASTERLINK。エレクトロからロックまで、さまざまな音世界を自由自在に“LINK”していく懐の深さは新人離れしたもの……と思いきや、それもそのはず。実はしっかりしたスキルと経験値に裏付けされたものだった。

決して平坦ではなかったバンドの歴史や音楽性について、NARU(Vo, G)に深く語ってもらった。

取材・文/小暮秀夫

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オーケストラでバイオリンを弾いていた小学生時代

──新人離れした音作りをするバンドだなあと思ったら、実は2002年に結成されているんですよね。

そうですね。ちょうどその頃にDTM(デスクトップミュージック)が注目され出してて、面白そうだなと思ってパソコンを買って打ち込みを始めたのが(結成の)きっかけのひとつです。

──バンド結成以前、NARUさんはどういう活動をされていたんですか?

4歳くらいからバイオリンを始めました。それに、小学生の頃は親の仕事の関係で3年ぐらいアメリカのフィラデルフィアにいたんですけど、そのときはクラブ活動的な感じでオーケストラに入っていました。それで、日本に帰ってきて中学に入ってからメンバーのKOJI(B)と出会ったんですけど、彼はその頃からベースをやっていて、僕は僕でバイオリンを通じて弦に親しみを持っていたからギターを始めて。それがバンド結成につながったんです。

──オーケストラでクラシックをやっていたのが、ロックに移行していったのはどういうきっかけがあったんですか?

子供の頃はクラシックしか聴いてなかったんですけど、アメリカにいたときにGUNS N’ ROSESの「PARADISE CITY」がラジオでよく流れていて、それを聴いてロックってかっこいいなと思うようになったんです。それから、聴く音楽と共にロックな感じのギターが好きになってきました。バイオリンもギターも自分の指で弾く楽器なので、ギターに興味が移るのはそんなに不自然なことじゃなかったですね。

──じゃあ、日本のロックに触れたのは帰国されてからだったんですか?

はい。普通だったら小学生のときからちょっとずつ聴いていくんでしょうけど、僕は小学校の間はJ-POPをまったく聴いたことがなくて。帰国して、中学に入って初めて友達に「こういうのあるんだよ」みたいに聴かせてもらったんですけど、新鮮でしたね。日本人ならではの歌詞とかメロディとか、そういったところがすごく入ってきやすかったです。

──日本のロックバンドではどういうのを聴いてたんですか?

その頃はBOØWYばっか聴いてました。あとはKOJIの影響でユニコーンを聴いたりとか。それで自分たちもドラムがいて、ギターがいて、ベースがいてっていう編成になっていったんです。バンドとはそういうものだと思っていたんで。

初めてのライブは400人の観客の前で

──それで結成されたのがMASTERLINKだったと。KOJIさん以外の、当時のメンバーとはどうやって知り合ったんですか?

結成当初のメンバーは、中学の同級生で同じクラスで席が近い人(笑)。ベースのKOJIとドラムと僕ともう1人ギターがいた4人編成だったんですけど、家で勝手に(楽器で)遊んでたって感じで。それであるときデモをTOKYO FMのオーディション番組に送ったら、いきなり(番組のスタッフから)「番組主催のライブがあるんですけど」って連絡がありまして。「ライブやったことないんですけど」って返事したらかなりビックリしてましたね(笑)。それで急きょスタジオに入って練習して、いきなりELLEGARDENとNANANINEのオープニングアクトとして2曲やったんです。400人くらいお客さんがいる前で。

──バンドって、普通はまずライブありきですよね。小さいライブハウスからスタートして徐々にステップアップしていく、みたいな。そうじゃないところが面白いですね。

そうですね。実際、なんでライブやってこなかったかっていうと、自分がボーカルやる予定がまったくなくて。ギターだったんで、ボーカルを探さなきゃなってずっと思ってたんです。それが、デモだからいいかって軽い気持ちで歌って送ったらライブをやることになって、歌わざるを得ない感じになり(笑)、今に至ったって感じなんです。

──そのオーディションではグランプリを受賞したそうですが、その後すぐにデビューして、みたいにトントン拍子にいかなかったのはどうしてですか?

レコード会社からメジャーデビューの話がきたことは何回もあったんですけど、なかなかうまく決まらなくて。メチャメチャ時間かかっちゃいましたけど、ようやく形になってきたのかなと。

──その間、何度かメンバーチェンジもあったわけですよね。

一番多かったときはDJもいて5人とか6人編成だったこともありましたね。それが結果的に今の形に落ち着きました。

──DJがいるようなクラブミュージックの方向にシフトしていったのはどういう理由からですか?

DJがいたときは、その頃Dragon Ashが流行ってたっていうのもあるんですけど、ヒップホップ的なことをやってたんですよね。今やってる音に近い、エレクトロとかそっち系のDJがいたわけじゃなかったんです。でも僕らが鳴らしたい音はそれじゃない、ということになってラップはやらずに歌ものになっていき、今まで以上に打ち込み色の強いロックにするために四つ打ちにしてみたら上モノもエレクトロになり、だんだんと今のスタイルになったんです。

──90年代にロックとクラブミュージックをつなぐアーティストがたくさん出現しましたよね。そういう人たちに影響された部分はありますか?

そうですね、UNDERWORLDとかはけっこう聴いてました。あとUKロックが好きだったんで、RADIOHEADとかも。生楽器じゃない部分があるバンドがすごく好きで。それ以外の打ち込み系の曲……例えばFATBOY SLIMとかも聴いてましたし、いろいろなジャンルのいいところを取り入れて今のスタイルになってる感じですね。

1stシングル「Traveling」 / 2010年6月9日発売 / 105円(税込) / pure:infinity / JBCP-6003

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CD収録曲
  1. Traveling
  2. Miss You
  3. Traveling TAKU REMIX

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MASTERLINK(ますたーりんく)

NARU(Vo, G)、KOJI(B)、YASU(Dr)からなる3ピースバンド。打ち込みを多用した四つ打ちサウンドを軸に、ポップ感あふれる楽曲を作り出している。
2002年、東京都町田市で中学の同級生だったNARUとKOJIを中心に結成。2003年にTOKYO FMのオーディション番組にデモテープを送ったところ、リスナー投票で圧倒的な得票数を獲得しグランプリを受賞。3月に原宿アストロホールで行われた同番組主催のライブイベントに、ELLEGARDEN、NANANINEのオープニングアクトとして出演した。
2004年にYASUが加入した後は、楽曲制作を中心に活動。2009年春にはソニーのウォークマンに楽曲がプリインストールされ、知名度を高める。2010年6月、1stシングル「Traveling」でメジャーデビュー。