フレデリックが先輩って気持ちは……そんなにない（三原）

三原健司（フレデリック）　3人でこんなふうに話すの初めてだね。

岩渕想太（パノラマパナマタウン）　健司さんとも四方とも2人で話すことはあるけど、この感じはなかったですよね（笑）。

四方颯人（YAJICO GIRL）　僕はこの前の「MASHROOM WEST」（2017年7月25日に大阪・梅田CLUB QUATTROで開催）でだいぶ打ち解けられた感じがしてますよ。

岩渕　うん。YAJICO GIRLには自主企画（2017年9月17日に大阪・ESAKA MUSEで開催の「ヤジヤジしようぜ! vol.2 Supported by NANIWAdelic」）にも呼んでもらったしね。

四方　ありがたいです、出てもらって。

岩渕　ヤジコとはMASHに入る前からの仲やしな。

四方　その点、フレデリックはまだまだ憧れの存在ですよ。

岩渕　そう！

三原　ホンマかいな（笑）。パノラマパナマタウンもYAJICO GIRLもけっこう昔から名前は耳に入ってきてるんやで。MASHのオーディションでファイナルに選ばれた時点で、「ああ、聞いたことあるな。噂になってるバンドや」みたいな感じやったし。俺も関西のライブハウスで育った人間やから、そこで熱いアーティストの情報は入ってくるんよ。フレデリックが先輩って気持ちは……そんなにない。

岩渕　なんでですか！（笑）

三原　メジャーデビューして3年やけど、日本のロックシーンで見たらまだまだ上には上がたくさんいるし、中堅でもないやん？ 「若手よりはちょっと上がったのかな？」くらいやで。まあ、MASHのイベントでいっしょにライブやると、先輩を自覚する瞬間はあるか。

四方　僕らからしたら、かなり売れてるんですけどね（笑）。

三原　オーラルは兄貴感あるけど、フレデリックは弟キャラとしてやってきたと思うから。もちろん、いろんなタイプのアーティストを抱えてるMASHをええ雰囲気にしたいっていう気持ちはあって。

岩渕　MASHは居心地いいですよ。俺、大人の付き合い自体が経験なかったんで、MASHに入る前は期待もあったけど、怖さもすごくあって。「ああしろこうしろ」って言われたり、縛りみたいなモンがめんどくさいのかなとか。初めて組んだバンドがパノラマパナマタウンやし、とにかくわからんことだらけで。でも、所属してみたら取り越し苦労でした。やりたいことをやらせてくれる。

四方　うんうん。

岩渕　例えば「先輩のオーラル、フレデリック、テレンのようなバンドになれ！」なんて言われないし、「僕らは僕らのよさをちゃんと伸ばしていけばいいから」って自然と思える。そのためにどうすればいいのかを考えてくれる事務所なんで、MASHに入ってよかったなと最近またよく思ってますね。健司さんや拓也さんも「パノパナなら、こうするのが合ってるんじゃない？」みたいな接し方をしてくれるやないですか。

三原　そうやね。それがMASHのええところなんちゃうかな。

四方　やっぱり大人との関わりって不安ですよ。「命令されて、実行せなアカンのかな？」みたいなんは同じく思ってましたね。

岩渕　せやろ？

四方　MASHへ入るちょっと前くらいに岩渕さんから「自分たちのことを考えてくれる事務所やで」とか「アットホームな感じ」とか、そういう情報を聞いて安心した記憶があります。

岩渕　そこは先輩としてな（笑）。四方はね、俺らの企画にお客さんで来てくれてたりもしてたんですよ。その昔。

三原　えっ！ そうなの？（笑）

四方　パノラマパナマタウンが好きで、普通に観に行ってたんです。でも、めっちゃペーペーやったので。ヤジコを組んだばっかの頃で、挨拶もできんかった。あとあと初めて対バンしたときに「ファンです！」って。

ライブ審査は別世界と言うか、ドキドキしました（四方）

四方　YAJICO GIRLはオーディションにたくさん応募しましたよ。とりあえず、出せるモン全部出しとこうと。さっき褒めといてなんやけど、僕はMASHのことを最初よく知らなかったんです。むしろ、岩渕さんが言うてくれはって（笑）。「ヤジコ、行けるんちゃう？ 出てみなよ」みたいに。

岩渕　言うてあげはった気がします（笑）。さかのぼればさ、最初は俺、四方がバンド組んでるのさえ知らんまま、Twitterをフォローしてたよな。友達の後輩やったんですよ。

三原　面白いねえ。

岩渕　そしたら、MVかなんかをある日ツイートしてたんです。「なんやこれ？ めちゃくちゃいいやん！」って。俺らがグランプリ取ったあとくらいやったかな。「こんなにいいんならオーディション行けるよ」と思ってさ。

四方　言われた次の日とかに詳細を見て、応募しました。でも、その前は苦労もしてるんですよ。

岩渕　そうなんや。

四方　大学に入ってオリジナルをやり始めたけど、ライブハウスのシーンとかまったくわかってなかったんですよ。だから、適当に大阪でハコ決めて、デモを送って。そしたらノルマがあって、めっちゃお金払ってた感じで。

岩渕　キツいな。

四方　対バンもしんどかったですね。自分たちよりもすごく年が離れたバンドとかとよくブッキングされて。

三原　あー、そういうのあるね。

四方　「え？ バンドってこれをずっと続けて、有名になっていくん？」みたいな。マジでなんもわかってなくて。

岩渕　別に有名な人たちではないもんな。

四方　たぶん社会人で、お金に余裕あるからやってそうな感じ。

三原＆岩渕　だはははは！（笑）

四方　そんなブッキングの中でも、友達をがんばって呼んでみるけど、ノルマ多いから自腹でたくさん払って。「何やっとんねん俺ら」状態やったのが、大学1年のときで。それでも曲は一生懸命作ってて、「いえろう」って曲が1年生の秋くらいにできて。

岩渕　あの曲ええよなあ。

四方　でも、それをライブハウスでやっても、年の離れた対バン相手からちょっと褒められて「あっ、ありがとうございます……」で済んじゃう感じで。基本的に自分らが出るハコにお客さんがいないし。せやけど「いえろう」に自信はあったので、やっと十代限定のオーディションとか含めて考え始めたんです。

三原　なるほどね。

四方　とりあえずYAJICO GIRLの名前が知れ渡らんと、一生この環境でライブするハメになると思った。

三原　それは極端な考えやけどな（笑）。

四方　オーディションのライブ審査で、ようやくやりたい対バンができた感じですよ。で、鹿野さんが僕らを選んだ理由とか言うてくれはったり。あのときは別世界と言うか、ドキドキしましたね。