マルシィ特集|ラブソングで生まれたZ世代との化学反応、世界観に魅せられたインフルエンサー9組の声も (2/3)

SNSの反応は見る

──「アリカ」のサウンド面でこだわったところは?

フジイ ベースに関しては、打ち込みのビートにどう合わせるかを考えました。1番がシンセベース、3番が生のベースなんですけど、この前のワンマンライブで、初めてシンセベースを弾いたんです。

吉田 けっこう忙しいよね(笑)。さっきも言ったようにメロディも歌詞の世界も今までと違うので、サウンドにもその雰囲気を持たせたくて。

shuji ギターのエフェクトにもこだわっているし、マルシィとしてはかなり新しいサウンドだと思います。「アリカ」は同じコード進行が循環しているんですけど、その中でも表情や色が違うんですよ。それがこの曲の魅力だし、自分たちがチャレンジした部分でもありますね。

──マルシィの楽曲はZ世代を中心に急速に浸透しています。SNSでは「恋愛感情の表現がリアル」「どうして私の気持ちがわかるの?」といった声もありますが、メンバーの皆さんはどう感じてますか?

吉田 僕らもけっこうSNSを見てますね。純粋に「どう受け取ってくれてるんだろう?」と気になるので。TikTokでマルシィの曲をカップルがいい感じで使ってくれてるのを見ると、普通に「いいな」と思ったり(笑)。

フジイ 「いい使い方してくれてるな」って(笑)。

吉田 そうそう。曲の感想も気になるタイプではあるんですけど、いろんな捉え方をしてくれているのが興味深いですね。自分も「この曲はこのフレーズが好きだな」と思うことがあるんですけど、全然違うところを「いい」と言ってくれることも多いんですよ。「そんな受け取り方をしてくれてるのか」と気付けるというか。「Drama」(2020年5月に発表されたの最初のオリジナル曲)をリリースした3年前に比べると、曲を聴いてくれる人自体がすごく増えたし、反応もコメントの数も全然違っていて。ちゃんと曲を聴いてもらえてるんだなと感じています。

──歌詞を書く段階から、リスナーに共感されやすいフレーズを意識しているんですか?

吉田 書いてるときはそこまで考えてないですね。曲ができたときに「この歌詞は刺さってくれそうだな」と思うことはありますけど、さっき言ったように、違うところにフォーカスされることも多いので。ただ、以前よりも言葉を吟味しているというか、歌詞に時間をかけるようになりました。

フジイ より共感できる歌詞になっていると思います。「幸せの花束を」「アリカ」もそうですけど、映像が浮かびやすくて。

shuji うん。最初の頃の歌詞に比べると、描写や表現が具体的なんですよね。

吉田 アレンジやサウンドもそうなんですけど、丁寧に作るようになりましたね。自信を持って出せるものしかリリースしたくないし、「これだ!」と思える曲を作るのが3人の共通認識なので。

マルシィ「Memory」ジャケット

マルシィ「Memory」ジャケット

誰かの人生のストーリーに存在できるということ

──楽曲を作るにあたって、例えば自分以外のカップルの話とか、友達の恋愛話を参考にすることは?例えば自分以外のカップルの話とか、友達の恋愛話を参考にすることは?

吉田 街でそういう風景を見かけたときは、気になって観察することはありますね(笑)。10代の若い人たちにも聴いてもらえているのは、僕の精神年齢が幼いからかも。

フジイ ハハハ。

吉田 あと、わかりやすい言葉を使うようにしています。聴いたらすぐにどういう曲かわかると思うし、だから10代の人たちにも届いているんじゃないかなと。その人がどういう状態のときに聴いてくれるかわからないけど、人生の一部というか、生活に寄り添って、一瞬の感情でもいいので、ちょっとでもいい方向にいってくれたらいいなという気持ちもあります。Instagramなどで、「こういうことがありました」と長文で送ってくれる方もいるんですよ。「落ち込んでいたけど、マルシィの曲に救われています」というメッセージを見ると、その人の人生のストーリーに僕らの曲が存在できているんだなと。救いになりたいなんて言うと傲慢だけど、実際に「救われた」と思っている人がいてくれるというのは、一生懸命に作ってきた意味があるなと思います。

──素晴らしいですね。作り手としてもモチベーションが上がるのでは?

吉田 はい。こちらが想像する以上にしっかり受け止めてくれているし、より一層、いい曲を作っていきたいと思えるので。楽しい感情にもつらい感情にも寄り添えて、聴いてくれる人の支えになるような。

──そのためにはボーカルの表現も求められますよね。

吉田 そうですね。バンドを始めたときに比べると表現の幅は広がってるし、「こう歌いたい」というイメージ通りに歌えるようになってきたと思います。もちろん、まだまだできてない部分もあるんですけどね。ライブと音源で表現が違ってもいいと思うし、聴いてくれる人にしっかり届けられる、共鳴できるボーカリストになりたいので。

──今も楽曲の制作は続いているんですか?

吉田 ずっとやってますね。昨日マスタリングが終わった曲があるんですけど、今日から次の曲の制作が始まるので。同時に複数のことをやるのが苦手なんですよ(笑)。これからライブが増えていったら、そんなこと言ってられないんですけど。

フジイ そうだね(笑)。2023年はさらにアップデートしたいし、音源もライブもよりいいものにしていきたくて。できれば5段飛ばしくらいでデカくなりたいし、どんどんチャレンジしたいですね。

shuji 大きい会場でやりたいという野望を持ちつつ、一歩一歩着実に進んでステップアップしていくのが大事なのかなと。

吉田 大切に作った曲をより多くの人に届けたいですね。今は恋愛の曲がほとんどですが、それ以外の曲も作っていきたいし、10代、20代はもちろん、いろんな年齢層の人たちにも聴いてほしくて。ライブも去年学んだことを生かしてさらによくしていきたいし、多くの人がマルシィという名前を知っている状態にしたいんですよね。2023年はマルシィの年にしたいです。