鼻の奥に米がいる状態、経験ないですか?
峯岸 アルバムもすべて聴かせてもらって。1曲目の「正気じゃいられない」からめっちゃアガりました!
マハラージャン 本当ですか?
峯岸 はい。2曲目「鼻の奥に米がいる状態」のタイトルを見て、「なんということだ」と思いましたけど(笑)。それでも曲がカッコいいのはずるいなって。
マハラージャン 鼻の奥に米がいる状態、経験ないですか? ……って、こんなこと聞いて大丈夫なのかな。
峯岸 大丈夫です。私、NGないんで。でも、そういう状態を経験したことはないかも。飲み物はあるけど、固形物はないですね。
マハラージャン 僕、けっこうあるんですよね。
峯岸 それも実体験なんですね。
マハラージャン はい。あと、この歌詞にはお米の名前が入ってるんですよ。
峯岸 「ひとめぼれ」とか入ってますよね。あと、6曲目の「エルトン万次郎」も好きです。うまく説明できないんですけど、音の運びが普通じゃなくて、それが癖になるような感じがあって。
マハラージャン 「エルトン万次郎」のポイントはやっぱりグルーヴですね。もともとは倍のテンポだったんですけど、それを落として、気持ちいいグルーヴを練って。音楽的にもすごくカッコよくなったと思います。曲名に関しては、僕、タイトルの候補をいっぱい作ってあるんですよ。曲ができたときに、そこから選んでつけることが多くて。
峯岸 面白い。「エルトン万次郎」も前から考えてたんですか?
マハラージャン そうなんです。「エルトン」と「万次郎」の間にあるものを想像すると、“イマジン”になって、もう1人の名前が浮かび上がるという仕掛けなんですけど……答えを言うのもアレなのでやめときます(笑)。
もし峯岸さんが歌詞を書いたら、絶対いい曲にしますよ
峯岸 「正気じゃいられない」をアルバムのタイトルにしたのはどうしてなんですか?
マハラージャン いくつか理由はあるんですけど、今の世の中を反映している言葉かなと。
峯岸 それ、めっちゃ思いました。みんなすごく真面目にがんばっているから、「こんなこと言っちゃいけない」と思ってたんですよ。でも、「こんなの、正気じゃいられないよ!」って誰もが感じてることじゃないかな。普段は見て見ぬふりしてがんばってるんだけど、こうやって声を大にして言ってもらえると、「そうだよね。こんな世の中、正気じゃいられないよね」って。
マハラージャン ずっと真面目にやってるだけだと疲れますからね。世の中のこともそうだし、個人的にも正気じゃいられない瞬間ってたくさんあるんですよ。今日もそう。まさか峯岸さんと写真を撮るなんて思ってなかったし、汗かいちゃいました。
峯岸 そうか、ポジティブな「正気じゃいられない」もありそう。私はお酒を飲むと食欲が止まらなくなるんですけど、あれは正気じゃないんでしょうね(笑)。満腹中枢がすぐバグるんですよ。マハラージャンさん、好きな食べ物はなんですか?
マハラージャン あっ、それ僕も聞きたかったんです。エビが好きって本当ですか?
峯岸 好きです。あと餃子とか。
マハラージャン それもネットに書いてありました(笑)。
峯岸 「ポン・デ・リング」も好き。
マハラージャン 「ポン・デ・リング」ですか。
峯岸 切り干し大根も。
マハラージャン 切り干し大根。
峯岸 ……このくだり、いるのかな(笑)。マハラージャンさんは「カレー好きなんですか」って聞かれると鬱陶しいですか?
マハラージャン (笑)。実際にカレーは好きですよ。特に下北沢のとあるスープカレー屋さんは日本一おいしいと思います。あの、峯岸さんは趣味とかってありますか?
峯岸 えっ、急に? 私、あまり趣味がなくて、日々、退屈だなと思って過ごしてるんですよ。唯一、観劇は好きですけど。趣味は?
マハラージャン これを言うと引かれることがあるんですけど、土を作るのが好きで。
峯岸 土?
マハラージャン 特に変わったことではなくて、コンポストで野菜くずとか生ゴミを堆肥にしてるんですよ。何も育ててないんですけど。
峯岸 環境のことを考えて?
マハラージャン それもあります。
峯岸 やっぱり人とちょっと違いますよね(笑)。アーティストさんって作品を発表すると、周りからいろんな意見があると思うんですよ。「この方向性よりも、こっちのほうが」みたいなことを言われて、気にすることってあります?
マハラージャン まず、コメントした人の人間性を考えますね。そのうえで、その人が言ったことを真に受けていいか判断してます。なので意見を参考にすることもあるし、無視することもあって。
峯岸 Twitterだったら過去の履歴を調べられますけど、情報が少ない中、どうやってその人の人間性を見極めるんですか?
マハラージャン 匂いかな。その人がヤバそうかどうか、嗅ぎ分ける嗅覚が大事なのかなと。短い文章でも、なんとなくわかると思うんですよ。
峯岸 参考になります。そうやって見極められたら、心が軽くなりそう。
マハラージャン つらいときはミュートすれば大丈夫です。
峯岸 メンタル強そう(笑)。
マハラージャン 最後まではやられないという感じですかね。会社員時代にCM制作現場で働いていたんですけど、けっこうつらいこともあって。でも、決定的にやられることはなかったです。
峯岸 自分の世界をしっかり持っているからでしょうね。あと、嫌なことがあっても、別の角度から見て笑ってそう。
マハラージャン それはあるかも。僕の場合、音楽が一番大事なので。そのほかのことで何かあっても「それはそれ」という感じになっちゃうんですよ。
峯岸 すごいな。アーティストさんは人間的な弱みがあったとしても、「こういう人だから、オリジナリティのある音楽が作れる」というところにたどり着くじゃないですか。
マハラージャン 峯岸さんも何か作ればいいと思いますよ。
峯岸 うーん。アイドル時代は曲や振り付け、衣装もすべて用意していただいていて。卒業してから、1人で何かを生み出す力がないなって悩んでたんですよ。コロナで仕事が暇になったときに、コラムを書いてみたんですけど、それがすごく楽しくて。何もないところから自分の言葉を紡ぐって面白いなと。
マハラージャン だったら曲も書けそうですね。
峯岸 (笑)。適当にしゃべってません?
マハラージャン そんなことないです(笑)。ずっと思ってることなんですけど、誰でも1回はすごい歌詞を書けるはずなんですよ。色濃い経験やエピソードは誰にでもあるだろうし、それを歌詞にすればパワーのある曲になると思うので。
峯岸 でも、素人が書いてもポエムになっちゃう気がして。それを音楽にするために必要な要素ってなんですか?
マハラージャン 僕の場合は“執念”ですね。絶対にカッコいい音楽にするんだっていう。
峯岸 執念か。意外とシンプルなことが大事なのかも。
マハラージャン もし峯岸さんが歌詞を書いたら、絶対いい曲にしますよ。タイトルだけでも思い付いたら教えてほしいです。ちなみに今、何か思い付いたりしません?
峯岸 えっ?
マハラージャン あ、ムチャぶりでした? なんでもいいんですけど。
峯岸 そうですねえ……じゃあ、「ベリー・ベリー・ベリー・ショート」。
マハラージャン うわ、それ絶対いけますよ! サビにも使いましょう!
峯岸 (笑)。Aメロは?
マハラージャン その出来事にまつわることを書けばいいと思います。色濃い経験や強い思いがあれば、歌詞を書くのは意外と簡単なんですよ。
峯岸 なるほど。メロディに乗せるとまた違って聞こえるのかも。私、アーティストの方とのコラボは一度もやったことがなくて。今まで考えたこともなかったんですけど、マハラージャンさんの曲を聴いていたらやっぱり音楽って楽しいなって。またなんらかの形でご一緒できたらうれしいです。
マハラージャン ぜひ!
峯岸 ライブにも行ってみたいです。MCもしてるんですよね?
マハラージャン バンドメンバーがしゃべってくれないので、1人でしゃべってます。そういえば北海道のライブで泣いちゃったことがあって。ラジオ局が主催のイベントだったんですが、インディーズの頃からよく僕の曲をかけてくれていた局だったので、冒頭の挨拶から感極まっちゃって。レーベルの担当者には「感情がバグってる」と言われました。
峯岸 感情が表に出ることもあるんですね! やっぱり面白い(笑)。
マハラージャン ライブ情報
レッツ・ターバン!
- 2022年7月22日(金)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
- 2022年8月5日(金)大阪府 BIGCAT
プロフィール
マハラージャン
東京都出身の男性アーティスト。会社員生活と並行して音楽活動を続け、2019年11月に全曲の作詞作曲と演奏を手がけたデビュー作「いいことがしたい」をリリース。各音楽配信サイトで注目作として紹介され話題を呼んだ。2020年4月に配信リリースされた「ちがう」も大きな反響を呼び、この2作にゴダイゴ「Monkey Magic」のカバーを追加収録した初のCD作品をタワーレコードよりリリース。2021年3月にメジャーデビューし、7月にはメジャー初となるアルバム「僕のスピな☆ムン太郎」をリリースした。2022年1月より会社員時代を回顧した“心の傷三部作”を3カ月連続でデジタルリリース。7月にアルバム「正気じゃいられない」を発表し、初のワンマンライブ「レッツ・ターバン!」を東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)と大阪・BIGCATで開催する。
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峯岸みなみ(ミネギシミナミ)
2005年にAKB48のオープニングメンバーオーディションに合格。1期生として15年以上にわたってグループの第一線で活躍し、2021年5月に卒業した。卒業後は女優、タレントとして活動。2021年7月には主演映画「終わりが始まり」が公開された。2022年1月から2月にかけて舞台「パルコ・プロデュース 2022『ロッキー・ホラー・ショー』」に出演。同年秋公開の映画「大事なことほど小声でささやく」に出演する。Netflixのコメディシリーズ「トークサバイバー!~トークが面白いと生き残れるドラマ~」など、バラエティ番組でも活躍中。